私たちの日々の食卓に欠かせない調味料のひとつ、みそ。広島で家庭の味を支え続けるみそメーカー「新庄みそ」が、今年2023年で創業100周年を迎えました。社長に就任して5年目の山本美香さんに、大きな節目を迎えたいま、これまでの道のりや商品への思い、今後の取り組みについて伺いました。
商品開発への思い
広島のスーパーに行くと、いろいろなコーナーで新庄みそさんの商品を目にします。種類豊富な商品展開をされていらっしゃいますよね。
山本:そうなんです。創業当初からある商品「ゴールデン新庄みそ」や時代の変化に合わせて作られた即席みそ汁、みそ作りで使われる麹を活かした「塩麹」など、約300種類の商品を製造しています。
数々の商品を生み出すその開発力は、どこからきているのでしょうか。
山本:ひとつはやはり、前社長で現会長である父(山本弘樹さん)の存在が大きいですね。父は小さな頃からみそ作りに携わっていました。みそについて長年研究してきており、作ることも大好きですし、アイデアをたくさん持っています。そんな父の開発力をもちろん尊敬していますが、それに頼りっぱなしではいけないと、課題にも感じていました。
山本:それまでは、当時社長であった父の一存で新商品が決まることが多かったので、どうしても女性の感性や市場動向といった視点が不足していました。そこで数年前に「商品開発委員会」を発足し、会長だけに頼らない体制での商品作りをスタートさせました。
なるほど。商品開発委員会のみなさんで作った商品で、印象に残っているものはありますか?
山本:代表のひとつが「塩麹」ですね。ちょうど流行りはじめたタイミングだったこともあり、先駆けて開発したことでとてもヒットしました。みんなで考えた商品が売れた喜びはすごく大きくて、印象に残っています。塩麹は、今でも調味料のひとつとして長く使っていただいている人気商品です。
新庄みそさんの「塩麹」、じつはわたしもヘビーユーザーです。
山本:使っていただけて嬉しいです。お肉の下味や、野菜の即席漬けなどに使っていただくのもおすすめですよ。
100年の伝統を守りながら変化を続ける
創業100年を迎えられますが、率直にどのような思いですか?
山本:小さな工場からはじまり、一度は原爆で建物も焼失してしまいましたが、そこから持ち直してくれた先代たちの並々ならぬ努力があり、今があるのだと感じます。
山本:この度100周年を迎えるにあたり、従業員やO Bの方々にも来ていただき、これまでの歩みを振り返り、みなさんへ感謝の気持ちを伝える会を開きました。改めて、これまで関わってくださったみなさんと、新庄みその商品を使っていただいているお客さまに支えてもらって今があるのだな、と実感しました。感謝の気持ちばかりです。
山本:100周年を記念して、やまだ屋さんと一緒に「白みそもみじ」という、白みそ餡の入ったもみじ饅頭を作りました。5万個限定で、やまだ屋さんの直営店や駅などでお買い求めいただけます。
山本:新商品の開発はもちろん、以前行っていたみそ作りやみそ玉作りのワークショップを、また再開していきたいですね。発酵食品の良さを、若い世代の方たちにもっと広く伝えていきたいです。
最後に、次の100年に向けて、抱負をお聞かせください。
山本:昔ながらの製法は守っていきながら、環境や社会の変化に合わせて、これからの人たちにも受け入れてもらえるようなみそ作りを続けていきたいです。会社としては「美味しんじょう! 楽しんじょう!」をモットーに、従業員ともども「美味しい、楽しい」日々が送れるよう、それをお客さまに届けられるよう、頑張っていこうと思います。
広島の地で小さな家内工業からはじまり、100年の歴史をもつ老舗へ。変わらない製法と、変わり続けるその開発力で、これからも家庭の味を支え続けていきます。みその力を誰より信じ、「楽しんじょう! 美味しんじょう!」な毎日を届ける「新庄みそ」の商品を、ぜひ味わってみてください。