広島中の+(プラス)体験を集めるWebマガジン 広島CLiP新聞 広島CLiP新聞

公式SNS 広島の耳寄り情報配信中!

本と自由|音楽にアート、カフェバーでドリンクも楽しめる〜社交場のような古本屋

JR横川駅南口から徒歩約3分。広島で一番古いアーケード「くろすろ~ど商店街」を抜けた先、「星のみち商店街」の脇道にある

今なお、昭和の下町情緒を漂わせる街、横川にコーヒーやお酒も飲めて、アートギャラリーもあって、ときどき音楽ライブもやっている、そんな一風変わった古本屋があるのをご存知でしょうか? 小さいながらも個性的な店づくりでファンを集める、いわゆる“独立書店”といわれる古本屋「本と自由」です。

従来の本屋のイメージを覆す個性派古本屋

本と自由の店主・青山修三さん
「本と自由」は今年創業10周年だそうですね、おめでとうございます!
青山:ありがとうございます。コロナ禍もあったりして実感はないですが、みんなの支えがあってなんとか10年続きました。常連さんたちにもたくさん祝ってもらって、ありがたい限りです。
コロナ禍に「本と自由」を支援するため、常連客が制作したトートバックや漫画
「本と自由」はいわゆる一般的な古本屋とはちょっと違うようですね。
青山:居酒屋の多い場所でもあるし、店内にもカウンターがあって古本屋には見えないかもしれませんね(笑)。でもうちのように、本だけ売るのではなくカフェを併設したり、雑貨も販売する個人書店は全国的には増えているんですよ。
そうなんですね!青山さんはどうして本屋をしたいと思ったのですか?
青山:子どもの頃から本が好きだったので本に関わる仕事がしたかったんです。はじめは地元の書店チェーンに務めたんですけど、性格的に会社員は向いていなくて。2011年に東日本大震災が起きてから人生について深く考えるようになり、「このまま会社員を続けるより、好きなことをやって生きる方がいいな」と思い、会社員をやめて、2012年に「本と自由」を開業しました。
当時、広島ではこういう個性的な本屋さんは珍しかったのでは?
青山:全国的にちょうど「独立書店」といわれる個人が営む個性的な本屋が増え始めた頃でしたね。広島でも十日市に「nice nosense books」という古本屋さんがあって、そこは週に何日かだけオープンするスタイルで、古本と一緒に古着や雑貨も販売していて「こういうやり方もあるんだな、やり方を工夫すれば自分でもできるかも」と、勇気をもらいました。

約15坪の店内に4,000冊の本がずらり

雑誌、文学、美術本、絵本など多ジャンルの古本が所狭しと並ぶ
店内には本がたくさんありますが、どんな本があるのですか?
青山:ジャンルはいろいろです。ビジネス書や実用書は置いていないんですが、それ以外の本は大体…僕が音楽や映画が好きなので、「MUSIC MAGAZINE」とか「ROCKIN’ON」とか音楽雑誌のバックナンバーとか、アートや映画、音楽などカルチャー系の本が多いかな。
新しい本もありますが新刊も扱っておられるのですか?
青山:数は多くないですが、新刊も少しあります。ほとんど、リトルプレスやZINEと言われる少数部数の本です。リトルプレスやZINEというのは、大手出版社ではなくて、小さな出版社や個人がマニアックな視点でつくった本のことですね。個人が手作りした同人誌のような本もあります。
リトルプレスやZINEは店に入ってすぐの机の上に平積みされている

店のカウンターは人と人をつなぐ街の社交場

黒板にはドリンクメニューがぎっしり。カフェや居酒屋並みの豊富なラインナップ!?
ここはカウンター席もあって飲み物もいただけるんですね。古本屋ということを忘れそうです(笑)。
青山:コーヒー、紅茶、ソフトドリンク、アルコールはビール、焼酎、日本酒など色々あります。夜になるとおじさんたちが集まって、いろんな話が飛び交って、飲み屋みたいになってます。もっと本を売らなきゃいけないのに(笑)。
丁寧にドリップで淹れるコーヒー(500円)。ドリンクはなみなみと注ぐボリューム感が青山さんのこだわり
そうですね(笑)。でもこのカウンター席は、訪れる人にとって居心地のいい社交場でもある気がします。
青山:本好きな人はもちろん、地元のミュージシャンやアーティストだったり、いろんな人がふらりと訪れては、なんだかんだで盛り上がっている。初めましての人も、常連さんもここじゃ、最初から友達みたいに話してます。
すごくいい“場”ができていますよね。そういえば、ここで音楽ライブやアーティストの個展などもされるそうですね。
青山:店を始めた当時はライブや個展を開くことまで想定していなかったんですけど、店をするうちに、地元のミュージシャンやアーティストと仲良くなって、ライブやギャラリーをするようになりました。6月が10周年だったんですが、1ヶ月間、毎週、違うミュージシャンに来てもらって記念ライブを開催したんですよ。
ライブの日には店舗奥のスペースがステージに早変わり
小上がりの隅にあるギャラリースペース。本格的な絵画展や写真展、若手イラストレーターの作品展など展示内容はさまざま
地元にもたくさんのミュージシャンやアーティストがいらっしゃるのですね。
青山:彼らの音楽、すごくいいんですよ。地元にこんなミュージシャンやアーティストがいること、もっと知ってもらいたいなあ。彼らのライブの多くは投げ銭だったり、うちのドリンクオーダーしてもらえれば聴けたりするので、いろんな人に来てほしいですね。
本屋ってただ本を売る場所じゃなくて、街の人と人とをつなぐハブのような役割を担っているのかもしれないですね。
青山:そうかもしれないですね、まあ、いろんな人が来てくれます(笑)。横川は面白い街です。周りにも面白い店がいっぱいあります。夜も楽しいんですがカオスな夜もあるので、本をゆっくり選びたい人はお昼タイムがおすすめです。椅子もたくさん置いているので、お好きな飲み物を飲みながら、本を片手にゆっくりしてもらえたら嬉しいです。
青山さんお気に入りの1冊。「この本は売りたくないなあ(笑)」

10周年を迎えての抱負を伺うと、「真面目に本屋をやる」と真面目に答えてくださったお茶目な店主・青山さん。その独特のキャラクターで、本好きならずともファンの多い古本屋「本と自由」。カウンターに座って居合わせたお客さんや青山さんと会話を弾ませるもよし、音楽やアート作品を堪能するもよし、無造作に積み上げられた本の中からとっておきの1冊を探し出すもよし。社交場のような古本屋で、文化的な1日を過ごしてみてはいかがでしょうか?

本と自由

広島市西区横川町3丁目4−14

TEL.082ー233ー9239

OPEN.14:00〜0:00(土・日曜日は11:00〜0:00)

定休.木曜日

アクセス
JR横川駅から徒歩3分,広島トヨペット観音店より車で約10分