呉市音戸大橋のすぐたもと、音戸の旧道にひっそりと佇む「天仁庵(てんじんあん)」は、明治時代から代々呉服店を営んできました。2012年3月に地域の賑わいを生む拠点として古民家をリノベーション。カフェでいただく新鮮な地元食材を使ったランチとスイーツは、まさに絶品。リピーターが絶えないおいしさの秘密に迫ります!
「音戸ならではの地元食材」を使った料理と上質な時間を楽しむ
数田:明治時代から続いている数田呉服店の建物をリノベーションし、2012年3月に「天仁庵」をオープンしました。「カフェ」「雑貨・食品」「服飾」「着物・イベント」、複数のコーナーに分かれていて、向かいの建物では「洋菓子店」を営んでいます。
食事と一緒にお買い物もできるのですね。カフェでは、四季折々の食材を使ったお料理でおもてなしをされているとお聞きしました。
数田:料理には海水から作った自然の天然塩を使用し、安芸いりこや鰹、昆布、干し海老からとったお出汁をベースにしています。倉橋島近海で獲れる新鮮な魚介類や、無農薬・無化学肥料で作られた地元の野菜をなるべく使っています。
ギャラリー「ゆらぎ」で販売されている商品もこだわりがありそうですね。
数田:地元をはじめ全国のクラフト作家さんの商品や、本物志向・安心安全な食品、雑貨は昔ながらの日本製のものを取り扱っています。
歴史あるものを次の世代へつなぐ
数田:子どもの頃から、祖父母や両親の仕事をしている背中を見て育ちました。音戸地域が少子高齢化が進み過疎化をしていくなかで、母が祖母の介護をすることになり、長男として家業を引き継いでいきたいと思ったんです。
数田:長い年月をかけて家族で話し合いを重ねました。着物を着る機会は減っているので、まったく別の事業を行うという新たな試みで、現在の「天仁庵」が生まれました。
「天仁庵」さんの名前には、どのような意味が込められているのでしょうか。
数田:「天」も「仁」も二人と書きます。「天」は宇宙の法則に従って自然を大切にする、「仁」は思いやりの心を持って生きる、「庵」はそんな人たちが集まる場所。そんな意味が込められています。
心豊かな生活を提供したい
お店を運営していくなかで、大切にされている思いを聞かせてください。
数田:ご来店されたお客様が感動し、喜んでいただけるのが一番うれしいです。「また音戸の天仁庵に来たい」と思ってもらえるようなお店づくりをしていきたいですね。そして、次の世代に継承していくためにも「心豊かな生活」のご提供を続けていきたいと思っています。
天仁庵で提供しているお料理は「本物の調味料を使っています」と数田さん。調味料やお出汁にこだわって作られたメニューは、どれにおいても素材を生かしたやさしい味わいでした。天気の良い日はちょっと車を走らせて音戸までドライブに行きませんか?どこか懐かしい景色と和洋折衷がもたらす「天仁庵のおもてなし」にきっと癒されるはずです。