廿日市市のJR宮内串戸駅近くにある、猫と働く就労支援施設「ねこぱんち廿日市」は、保護猫譲渡センターを併設しています。2022年10月には「cafe miore(ミオレ)」がオープン。ねこぱんちでの就労を通して、夢や希望を持ちながら動物に関わる仕事に就くための資格取得や独立を目指すことができます。「福祉 ✕ 保護猫 ✕ カフェ」と様々な面を持つ施設の運営についてお話を伺いました。
猫と働く就労支援
スタッフ:働くことに障がいのある方がサポートを受けながら仕事や活動が出来る事業所です。2022年6月に、猫と働く就労支援施設「ねこぱんち廿日市」をスタートしました。
スタッフ:弊社は作業所ではなく「好きを仕事にしたい」をテーマとした施設です。利用者さんが「誰かのために何かしたい、何か役に立ちたい」という思いのもと、動物に関わる仕事に就くための資格取得や将来独立した仕事に就けるようにサポートしています。
利用者さんの可能性が広がり、夢が持てる就労支援なのですね。利用者さんが働くスペースには猫がいるんですね。
スタッフ:これまで利用者さんと関わっていくなかで、自分の好きなことだったら、自宅から一歩外に出る勇気につながると感じていました。コミュニケーション障がいの方も、猫のおかげで、コミュニケーションが図れるようになったんですよ。
ねこぱんち廿日市は保護猫譲渡センターとしても運営されているのですね。福祉事業の始まりや保護猫をかけ合わせるきっかけは何だったのでしょうか。
スタッフ:今から10年くらい前に、身内や自分が精神的に病んでしまい、気楽に話せるような居場所があったらいいなと感じていたんです。そして私自身、猫が大好きなんですよ。つらい経験をした猫たちを少しでも救いたいという思いと福祉の力により、「ねこぱんち」が生まれたんです。
廃材を活用したDIY店内でこだわりスイーツを
スタッフ:お店作りはDIYが得意なスタッフたちの共同作品がほとんどです。カフェカウンターは、なんと昭和初期のもので棚や椅子も作ってくれました。
DIYとは驚きました。随所にこだわりやセンスが光っていて、長居したくなりますね。
スタッフ:最近では、ご近所の方や常連のお客様も増えてきて、とてもうれしく思っています。現在の営業時間は13時〜15時となっていますが、今後は長く提供できるように準備を進めています。
カフェで販売中の雑貨も、ねこぱんち廿日市の利用者さんが作られたのですか?
スタッフ:「猫柄くるみボタンのヘアゴム」は、手芸が得意な利用者さんが作ってくれました。利用者さんには、カフェのスタッフとしてコーヒーを淹れたり、ホールや調理の業務も任せているんですよ。
スタッフ:通常の猫カフェとは異なっていて触れ合うことは難しいのですが、事前に里親のご希望をいただければ、その後お引き合わせという流れで相談を承っています。また、譲渡センターなので、子猫を拾ったとか野良猫で困っているなどのお問い合わせには対応しておりません。
新しい就労支援とこれから
スタッフ:今後は、キッチンカーでピザやスイーツなどのテイクアウト販売を始めたいですね。就労支援の活動としては、利用者さんのスキルアップを目指しているので、ペットシッターやペットホテルの取り組みを考えています。私たちはみんな同じ人。誰もが隔たりなく共に生活し、保護された猫も一緒に共生できる社会をつくりたいです。
「人も猫も平等な社会を作りたい」という熱意が、新しい就労支援の形を生み出しました。今回ご紹介した「cafe miore」が皆さんの居場所になり、保護猫活動や就労支援の取り組みについて少しでも多くの人が知るきっかけとなれば、社会問題の課題解決にもつながるのではないでしょうか。