
育ちの地である広島や九州のクラブシーンで音楽活動を十数年続け、現在は一児の父として子育てをしながら親子愛にフォーカスした楽曲も披露しているシンガーのRED☆EYE(レッドアイ)さん。ソロはもちろん、中学1年生の息子とともに“親子シンガー”として一緒にステージに立っているのが、2人ならではの活動スタイルです。親子で活動するようになったきっかけや、地域の子どもたちに歌を届ける“歌育”活動について尋ねます。
年長でステージデビュー
“親子シンガー”は音楽業界でもなかなか珍しいですが、そのスタイルが誕生したきっかけは?
RED☆EYE:僕は平日はサラリーマン、週末はライブで歌うという生活を長く続けていて、息子は生後半年くらいの頃から、ステージ横につけた乳母車からライブを見るのが当たり前になっていました。4~5歳くらいになると時々ステージに上がり出すようになり少し困っていたのですが、テレビで歌舞伎役者さんが「子どもは年長になったら舞台デビューする」と話しているのを観たんです。息子がいたずらにステージに出てきてヤキモキするより、出たいなら演者として出てもらった方が良いなと考えました。それで息子も年長のときにステージデビューして一緒に歌うようになりました。
息子さんの初ライブ。「チビ☆RED」という愛称で父と一緒にステージへ。ご本人も一緒にステージに立つのが楽しかったんでしょうね。
RED☆EYE:最初の頃は歌詞の中にある掛け声の部分を一緒に歌ったり、タオルを回したりするくらいでしたが、それがもう本人には当たり前のようになっていたんだと思います。ワンマンライブでは1,000人のお客様の前にも出たりして本人もやる気になっていたのですが、その翌年からコロナ禍でライブができなくなってしまって。僕自身は配信ライブをしていましたが、子どもは配信には出られないんですよ。その頃「僕は一緒に歌えないんだね」とよく言われていて、一緒に歌うことに対して喜びを感じてもらっていたんだなと改めて感じました。
廿日市市のさくらぴあで行われたワンマンライブ。地域の子どもたちもステージに参加して、家族で楽しめるライブになった。楽曲制作の面では、親子シンガーとして活動するようになってから何か変化はありましたか?
RED☆EYE:子どもを溺愛しているので、親子愛をテーマにした作品がすごく多くなりました。僕自身はまったく器用ではなく、自分が体験していることや思っていることでないと楽曲として形にできないタイプです。そういう意味では自然体で曲作りができているのかなと思います。
息子さんから曲に対して何か言われたりすることはありますか?
RED☆EYE:中学生になって自立してきた最近は、曲のことからライブの構成まで意見を言ってくれるようになりました。それを組み入れると良くなったりもするんです。息子の視点も含めてブラッシュアップしていく作業は楽しいですね。
親子シンガーというスタイルで活動するにあたって大切にしていることは?
RED☆EYE:親としての目線とミュージシャンとしての目線のバランスを取ることを大切にしています。親としては「大きな声で挨拶してほしい」といったことを考えてしまいますが、ミュージシャンとしてはこの年齢になっても一緒にステージに立ってしっかりパフォーマンスしてくれるのはありがたいなと思う面もあって。僕自身は中学生の頃は親と一緒に行動していませんでしたから。


RED☆EYE:そうですね。中学生なので学業とクラブ活動に音楽活動もあるので忙しくなると思いますが、本人がやりたいという意思がある限りは一緒に歌っていきたいと考えています。
地域の子どもたちに地元愛を伝える“歌育”活動
“歌育”という活動もされていますが、どういった内容の活動になりますか?
RED☆EYE:2019年頃に改めてこれまでの音楽活動を振り返るタイミングがありました。そのときに、地域のことが大好きで地域のファンを増やしていく音楽活動、親子でやっているからそうした思いを子どもたちや親御さんに歌を通して伝えていくことが、自分が活動をするうえでの大義だと考えました。小学校の授業などで子どもたちから地域の好きなところを集めて、集まった言葉を使って一緒に歌にしていくこと。そしてその歌を一緒に地域に残していくことで地域愛を育てていく活動が歌育です。その他にも、地域の小学生を僕のライブに無料招待したり、保育所で歌わせていただく機会も増えています。もちろん僕一人だけではなく、周りの方からアドバイスをいただいたり協賛という形で応援してくださる方がいるから形にできていることでもあります。
大野東小学校での歌育活動。実際に小学校で歌育プログラムを実践したと聞きました。
RED☆EYE:廿日市市大野東小学校の創立150周年を記念して生まれたキャラクター「べにっち・ひがっち」と、地域の好きなところを歌って踊る曲を児童の皆さんと一緒に作りました。学校で開催した芸術鑑賞祭でも歌わせていただきましたが、児童の皆さんに楽しんでもらえる作品になったことを感じられて本当にうれしかったですね。今年の運動会では1年生の踊りのプログラムにもなったんですよ。
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▽併せてチェック!
大野東小学校歌育ソング「べに☆ひがと大冒険」MVはこちらから
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RED☆EYE:今ちょうど新たな歌育活動が始まったところで、今年は廿日市市立友和小学校の創立記念ソングを作らせてもらっています。また一つ地域に根差した歌育活動ができることにやりがいを感じていますし、完成までが楽しみです。親子シンガーとしての目標は、広島はもちろん全国の方にも歌を届けること。僕たち親子の歌で100万人の笑顔を作れるように頑張ろうと息子と話しているので、皆さんに喜んでもらえるように歌っていきたいです。
息子さんは中学生になったことをきっかけに、「チビ☆RED」から「RED☆Jr.(レッドジュニア)」へと改名し、父とともに活動中。親子で歌えば、楽曲へ込める思いも倍になる。親子シンガーという2人ならではのスタイルで、これからもまっすぐに歌を届けます。