戦後、モノクロだった広島を、カラフルなビーズを作ることで、色鮮やかな明るい世の中へと発展させ、世界中の人々を魅了し続けてきた「TOHO BEADS(トーホービーズ)」。ビーズの穴が大きく、形状にバラつきが少ない高品質なビーズは、使い手にとって貴重な素材として重宝されています。そんなグラスビーズのトップブランドであるTOHO BEADSの工場見学に行ってきました。
お客様のご要望を叶えるために、新しい技術に挑む
山仲:私たちは、使い手にとって扱いやすいビーズ作りにこだわっています。ウエディングドレスにビーズ刺繍する際にも、ビーズの穴が大きいと針と糸が通りやすいですし、ドレスを着用した際の重さも意識して、ガラスの面を極力薄くすることで軽量化を実現しました。また、表面加工の技術でクリーニングした際にも変色しにくいのが特長ですね。
アクセサリーショップではアクリルビーズも見かけますが、ガラス製のビーズにこだわる理由はなんでしょうか?
山仲:ビーズは数万年前からガラスで作られて世界中で愛用されており、「ビーズ=ガラス」なんです。また、ガラスの特徴として対候性が高く劣化しにくいのも理由のひとつです。
なるほど。ビーズ製造においてガラスは外せませんね。現在、TOHO BEADSさんでは1万種類以上ものグラスビーズが作られているんですね。
山仲:お客様からご要望をいただきまして、そのニーズに答えるうちにたくさん増えたのが現状です。過去には、紫外線を吸収する蓄光顔料をグラスビーズに加工して、暗闇で光る「蓄光ビーズ」を製造しました。
とってもキレイですね!斬新なアイデアでびっくりです。
山仲:また、2022年5月には、安佐市民病院のエレベーターホールの内装に、TOHO BEADSのアートを採用し設置していただいたんですよ。
均一な形状のTOHO BEADSだからこそ、できる技術ですね。常に新しいことにチャレンジすることで、モチベーションも上がり、1万種類以上もの良い製品が作れたのではないでしょうか。
山仲:そうですね。職人さんたちの持っている技術をいかに高めるには、新しいことに挑戦していくことで、普段やっていることの価値が生かされていくのだと思っています。
「打ち込め魂一粒に」広島のビーズ工場から世界へ
製造から出荷までを一貫して行っているTOHO BEADSの工場を見学してみました。
ガラス原料の調合から始まり、多いものは30工程もの加工を経てやっと出荷されるのですね。
山仲:大変な作業ですが「打ち込め魂一粒に」をスローガンに、ビーズ一粒一粒に魂を吹き込むように、職人たちは心を込めてつくっています。
自然豊かな大林地区だからこそ可能なプロダクト
山仲社長が身に着けられているピンバッチ、とても素敵ですね。
山仲:ありがとうございます。これは、弊社と自治会の大林間伐材再生研究会が連携して、大林地区の里山環境を持続可能なものにつなげるために、SDGsの取り組みで製作したものです。
過去には土砂災害に遭った大林地区ですが、日頃から地域の方との連携が図られているからこそ、そういった取り組みが可能なんですね。
山仲:私たちは、地域と共にグラスビーズを製造させていただいております。お客様との交流を大切に、年に一度「TOHO BEADSオープンファクトリー」というイベントを旧ガラスの里で開催しています。
TOHO BEADSは広島の特産品で特に優れたもの「ザ・広島ブランド」にも認定されているのですね。
山仲:世界中のユーザーさんにおいては、TOHO BEADSは広島産だと知られているのですが、国内ではまだまだなので、もっと価値を上げて地域ブランドにしていきたいです。
安佐北区大林の地域が活性化していくことで、地元で働きたいと思ってくれる有志が増えていくといいですよね。
山仲:それが私の願いです。お客様のご期待に応えるためにも、若手職人を育てていく環境作りが、より良いもの作りを続けていくためには大事なことだと思っています。
広島市北部にある、自然豊かな地域でビーズ製造されているトーホー株式会社は、2018年に閉館した「TOHO BEADS STYLE ガラスの里」というミュージアムも運営していました。家族での大切な思い出や懐かしい記憶がよみがえる方も多いと思います。形状やサイズ、カラーなどバリエーションが豊富で、ハンドメイドの可能性が広がるTOHO BEADS。初心者キットの商品も販売されているので、ぜひ手作りアクセサリーに挑戦してみてはいかがでしょうか。