デニムに帆布、革や木。素材の良さと細やかな技術が光る文具と雑貨の数々。今男子学生を中心に、熱狂的な支持を受けている文具メーカーが福山市にあるのをご存じでしょうか。今回はそんな『Luddite』(ラダイト)の本社に伺い、商品開発の秘密やものづくりに対する思いを取材してきました。
素材も縫製もこだわり抜いたものづくり
『Luddite』は福山市新涯町に本社を構える文具・雑貨メーカーです。ペンケースや筆記具といった定番文具に加えて、カードケースや手帳など革小物も多く手掛けています。
特筆すべきはその人気っぷり。高価格帯の製品が多いのにも関わらず、他にはないデザインや機能性・素材の良さが評判を呼び、新商品は即完売が相次ぐほど。
そのものづくりのこだわりについて、生産・企画部部長の石田誠太郎さんにお話を伺いました。
石田:ものづくりの軸として”良い素材をアピールできる”製品かどうかを大切にしています。ペンケース一つとっても、綿や帆布・デニムなど様々な生地を使っていますが、まずは素材をきちんと確かめて厳選したものを使用しています。
石田さんはアパレル業界の出身。そのため縫製にも詳しく、布製品に関しては製造のしやすさや製品の使いやすさをチェックする役目も担っています。
石田::福山市は繊維産業が盛んな地域。工場もたくさんあるので、すぐ製造現場に行って素材や工程の調整ができるのが魅力的です。こちらのペンケースはデニムを使用していますが、切れ端のほつれを防ぐ特殊加工を施しています。また、水平に開いて使いやすいように、左右を独立した設計にして縫い合わせているのもポイントです。
社員全員が企画担当!商品開発の秘密
『Luddite』の製品でとりわけ目を引くのが、消しゴムカバーやシャープ芯ケースといった小物類。使い捨てというイメージが強い製品にも光を当て、より長く使いたくなるような愛着を持たせるプロダクトを次々と生み出しています。
このような新しい着眼点は一体どこからきているのでしょうか。
石田:実は、弊社は社員5人で運営してるんです。そのため営業のスタッフも含め全員が新製品のアイデアを出しています。企画会議があるわけでもなく、それぞれがつくりたいものを発案して形にしていますね。これをつくりたい!と思ったら、言い出した人が製造工場まで見つけてくるようになっていますよ(笑)
石田:私もアパレル業界の出身ですが、社員それぞれが音楽・ファッション・カルチャーなどさまざまな分野に関心が高いのも特徴かもしれません。実際、ペンケースは服を作る工場で製造しているものもあります。そういった他業界の考え方をものづくりに取り入れることで、独自性の高い製品に繋がっている部分はあると思いますね。
古き良きものを人の手でつくりたい
『Luddite』の前身は同じく福山発の雑貨メーカー「UNITED BEES(ユナイテッドビーズ)」。同社は2018年に惜しまれつつも廃業となったのですが、そのものづくりの精神を継承するべく、残った有志5人で立ち上げた会社が『Luddite』です。
社名の”ラダイト”の由来は、あの「ラダイト運動」(※)からと話す石田さん。
(※)ラダイト運動…1810年代にイギリスで発生した機械打ちこわし運動。産業革命による機械化に伴い多くの手工業職人が失業し、各地で反発が起こった。
石田:帆布やミシンを使った”古き良きものづくり”を続けていきたいという思いがありました。前社時代からのファンの方への使命感も大きかったです。自分たちが受け継がなければ誰がやるんだ、という気持ちでしたね。
”人の手”による工程を大切に、使いやすさ・丁寧さにとにかくこだわった製法と斬新なアイデアから生まれるプロダクトの数々は、まさしく唯一無二。
最後に『Luddite』の今後について、石田さんに伺いました。
石田:うちの製品でペンケースの中が全部揃えられるように、もっとアイテム数を増やしていきたいですね。もちろん今ある製品も改良を重ねながら、パワーアップしていく予定です。また『Luddite』の文具で筆箱をいっぱいにしたい!と言ってくれるようなファンの方も、もっと増やしていけたら嬉しいです。
『Luddite』が生み出す製品は、ものづくりの温かさと良いものを大切に長く使うことの素晴らしさを再認識させてくれます。職人の手によって細部までこだわり抜かれた文具は、学生や新社会人の方への贈り物にもぴったりです。これからのギフトシーズンにぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。