1947年創業の『体育社』。昭和世代の方の中には「スポーツの体育社♪」というCMを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?地域密着のスポーツ店として地元民に長く愛される体育社。広島市中区の本店に潜入し、常務執行役員の波田誠司さんにお話を伺いました。
昔の話で恐縮ですが、高校生の時に部活のユニフォームの購入でお世話になったことがあります。広島でスポーツ店といえば体育社さんですよね。
波田:ありがとうございます。以前は総合店としていろんな競技の商品を展開していましたが、多種多様な商品を扱う大型総合店や便利なインターネットショッピングとの差別化を図るために、現在は野球用品に注力した店づくりにしています。さっそくご案内しましょう。
今の強みは「野球」!アフターサービスも充実
波田:現在はバットだけですが体育社で「TB(Try Baseball)」というオリジナルブランドを立ち上げました。長年の接客の中で蓄積したお客様の声を最大限に生かし、より使いやすいバットを開発しました。製造工場にダイレクトで依頼しているのでコストパフォーマンスもいいと評判なんですよ。
波田:呉店、東広島店は本店よりさらに野球関連の商品が充実していて、試し打ちできるバッティングスペースもあります。
あちらに「修理工房」という看板もありますが、ここでは道具の修理などもしていただけるのですか?
波田:はい。ここには野球用品専門のエキスパートリペアマンが常駐していて、グラブ・スパイクの修理や加工、クリーニング等のメンテナンスに対応しています。
長く使う道具だからこそ、サポートが充実しているのはありがたいですね。
現役のスポーツ選手にアドバイスがもらえる!
店舗スタッフの方はやはりスポーツ経験者が多いのですか?
波田:そうですね。スポーツ経験者が多いですし、2階のバドミントン売り場には現役のバドミントン競技者もいます。うちは中学生や高校生のお客様も多いのですが、現役選手や経験者から直接アドバイスしてもらえるというのは、彼らにとっても大きな魅力となっているようです。
リアルな店舗だからこそ提供できる価値とも言えますね。
波田:そうですね。例えば接客面では、商品一つ一つがどんな思いで、どんな目的でつくられているのかということを職人さんやメーカーさんに直接聞いて、勉強する。そうして蓄えた情報からお客様ごとに必要な情報を厳選して提供する。それはネットショッピングでは味わえない、実店舗だからこそ提供できる自社にしかない付加価値だと考えています。
地域密着型企業としての新たな挑戦
体育社さんはスポーツ用品店以外だと、学校の体操服を販売する会社というイメージもあります。
波田:そうですね。最近は学校販売でも新しい取り組みを行っているんですよ。コロナ禍をきっかけに、学校へ来なくても体操服を採寸するということができないかという相談を受けました。そこで、スマホで採寸から注文・支払いまで一括してできるアプリを導入し提案したところ、時代に即した提案をスピーディに行えたことで受け入れていただき、広島県内の学校に一気に広まりました。
学校販売の形もどんどん新しくなっているのですね。他にも地元に根付いた取り組みはありますか。
波田:広島の医療法人とパートナーシップ提携をして、アスリート支援を行っています。医療法人に所属する理学療法士やトレーナーが怪我予防やトレーニング面でサポートし、弊社はユニフォームやシューズなど道具面のサポートを担当しています。
まさに広島のスポーツ文化を支えているといっても過言ではありませんね。
波田:ありがとうございます。また当社は「広島から世の中に誇れるアスリートを輩出する」というビジョンを掲げています。その一環として、県内の学校で職業講話なども行っています。スポーツに関わる仕事についてや働くことの意味、やりがいなどをお話しさせていただき、これから社会に出ていく次世代の子どもたちの少しでも役に立てればと考えています。
波田:当社のビジョンが示す「アスリート」には、スポーツ選手だけでなく人として愛されるような人材が広島で育ってほしいという思いを込めています。精神面での成長も、スポーツを通じて身につけていくという手助けを我々ができたら嬉しいなと思います。
波田さん曰く「専門店なので入りにくいと思われるかもしれませんが、どんなものがあるか見るだけ、相談するだけでも大歓迎です」とのこと。長く広島のスポーツ文化をけん引してきた豊富な知識による接客やサポートは、まさに体育社ならでは。スポーツの秋、新しい出合いを探して気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?