「おしゃれな自転車カバーがほしい」という一心で生まれ、2019年に発売されたKABARS’。2023年3月に登場したミニベロ用も梅雨の時期に気分が晴れるような明るいデザインが印象的。開発者のzeven create.(ジブンクリエイト)・上田ななさんに、痒い所に手が届く機能性の高さや、開発秘話をお聞きました。
おしゃれな色とスムーズな着脱、そして透湿防水
自転車カバーといえば地味な色合いのイメージがあったのですが、こちらはカラフルで明るい色の自転車カバーですね。
上田:ミニベロ用カバーの色展開は、赤、青、緑です。薄い色は汚れが目立ちやすいので、この3色にしぼりました。前後のパーツに分かれているので、自分の好きな色の組み合わせを選ぶこともできます。
上田:前後で色が違うのでどちらが前か分かりやすいうえ、フロントファスナーを採用して掛けやすくしました。一般的な自転車カバーは掛けにくいので、みなさん使わなくなりますよね。それを解消したくてデザインを考えました。
上田:透湿防水という、湿気を外に逃がし雨水の侵入を防ぐ素材。さらに、豊富なカラー展開ときれいな発色がこの生地を選んだ決め手です。UV機能もあるので、タイヤのゴム部分やサドルの劣化も予防できます。
雨の多い梅雨の時期や夏本番に備えて、安心の機能性ですね。
クロスバイクを前に何度も試作を重ねた
そもそも、なぜ自転車カバーを作ろうと思ったのですか?
上田:15年ほど前、新しく買った自転車におしゃれでかわいいカバーを付けたかったのですが、探しても見つからなくて。結局一般的なカバーにしましたが、これがまた掛けにくくて大変でした。
上田:100円ショップの水玉のバスカーテンで自転車カバーを自作したら、すごくかわいかったんです。「これを商品にしたらいいんじゃない?」と思ったことがきっかけですね。
上田:実際に商品開発に動き出したのは5年前の2018年から。当時主人のクロスバイクと向かい合いながら、安い生地で作ってはサイズを合わせて…を繰り返しました。
思考錯誤を重ねた先に生まれた自転車カバーなのですね。
上田:三角形を基調とした平面設計のおしゃれなデザインができたときは、「あぁ、できた〜」とすごく感動したのを覚えています。
0からの商品開発は大変だったと思います。つらいと感じたことはありますか?
上田:いろいろなデザインを作りたかったけど、防水素材の生地が思った以上に少なく費用もかかるので断念したところですね。結果的に色の組み合わせを楽しめるデザインになったので、ピンチがチャンスになりました。
自転車ライフを長く楽しんでほしい
上田:雨の日の通勤や通学でも、自転車に乗る前におしゃれなカバーが目に入ると、それだけで晴れやかな気持ちになります。
「いいな」と感じるものを視界に入れる。そのちょっとした工夫で気分も変わりますよね。
上田:愛車にカバーを掛ける瞬間は、子どもやパートナーに毛布を掛けているような温かい気持ちになります。そんな優しい時間を持てることが心地良いんです。
KABARS’の自転車カバーをたくさんの人に使ってほしいですね。
上田:物を大切にする日本人だからこそ、カバーを掛けることが習慣になるといいですね。愛車も長持ちしますし、サイクリストには自転車ライフを長く楽しんでほしいと思います。
商品開発は迷いの連続。それでも、「しんどいことに気づかないほど没頭していた」と目を細める上田さん。こだわり抜いたKABARS’のデザイン、機能性は、これから多くのサイクリストを笑顔にするはずです。