少しずつ暖かくなってきて、おでかけ欲が高まる時季。ドライブして出かけるのにおすすめなのが、広島市安佐南区毘沙門台にある『SPAGHETTI N34』です。和風スパゲティと広島市内を望む絶景が魅力のこちら。オーナーシェフ・新佛(しんぶつ)さんを訪ねて、お店について伺いました。
『Pパスタ』で出されていた懐かしの味が蘇る
新佛:1994年にオープンして、当時はレストランバーとして夜だけ営業していました。他の飲食店も経営していたのでここは2008年以降閉めていたのですが、2020年からランチ営業のみで再オープンしたんですよ。
新佛:はい。先ほどお話しした他の飲食店というのが、広島市中区にあった『Pパスタ』という店です。そこで出していた和風スパゲティを復活させました。
新佛:ありがとうございます(笑)。和風スパゲティとサラダにかけるにんじんドレッシングが人気で、ここでもその味を変えることなく提供しています。当時食べてくれていた方がこのお店に来て、「懐かしい味」だと言ってくださるのはうれしいですよね。
キッチンでは調理風景も見させてもらいましたが、かなり麺を炒めていくんですね。
新佛:昭和の時代のスパゲティのように、しっかりと炒めるのが特徴なんですよ。そこに明太子や大根おろし、大葉やミョウガなどを使って和風仕立てにしているのがポイントかな。
しっかり炒めるということは、麺にも特徴がありそうですね!
新佛:スパゲティは硬めに茹でた後に冷蔵庫で1日寝かせています。そうすると麺がもちもちっとした食感になって、辛子明太子とかの具材ともよく絡んで味が染み込みやすくなります。辛子明太子も、麺とよく絡むように小粒のものだけを福岡の名店から仕入れて使っています。
新佛:にんじんが80%、あとは酢などを使ったヘルシーな自家製ドレッシングです。スパゲティとサラダをワンプレートに盛り付けているのは、ドレッシングを麵と絡めて食べてもおいしいからなんですよ。
景色が主役になるような空間づくり
新佛:店内からは広島市内を一望できますが、電線や建物などの景色を遮るものがここまで少ない場所はなかなかないと思います。オープン当初は夜だけ営業していたから、夜景を目当てに来てくださるお客さんも多かったですね。
景色が生きる空間づくりになっているのも印象的です。
新佛:天井の部分から窓ガラスがくるように設計して、できる限り窓を大きくしています。カウンター席のテーブルも奥行きをとって、座ったときに窓に向かって開放感を感じられるようにしました。そのほかにも照明がガラスに反射しないようにしたり、店内にはモノを置かないようにしたりと、景色が主役になるような空間づくりを大切にしています。
新佛:この景色を求めてこの場所に店を構えたので、店内から見ていただく絶景はもちろん大事にしています。ただ和風スパゲティを食べて「おいしかった」「懐かしかった」と言ってもらえることもやっぱりうれしいので、食事と景色の両方を楽しみながらゆっくりと過ごしてもらえるのが一番ですね。これからもそこを変わらず大切にしていきたいです。
店名の『N34』は、“北緯34度”の意味だと教えてくれた新佛さん。目の前に広がるその景色を眺めていると、あっという間に時間は過ぎていきます。和風スパゲティが昔からのなじみの味だという人も、初めて味わうという人も、とっておきの場所として贅沢なランチタイムを過ごしに訪れてみてください。