元温室だった建物はガラス張りの壁面から明るい日が差し込み開放的。室内の中央は1階から3階まで吹き抜け、壁を彩る植物が印象的なminagarten。代表の谷口千春さんに話を聞くと、minagartenが地域の憩いの場でありつつ、自己実現の場でもある側面が見えてきました。
ベーカリーや日替わりバリスタ…。多彩なコンテンツが魅力
まずはminagartenについて教えてください。1階にはベーカリーとコーヒー、イートインスペースがありますね。
谷口:1階は立ち上げの時からパン、コーヒー、デリカフェの3者が共同運営する、いわばフードコートのような形をイメージしていました。昨年ベーカリーがオープンし、コーヒースタンドでは7人のバリスタが日替わりでコーヒーを販売します。
7人だと、いろいろなバリスタの味を楽しめそうです。
谷口:ラテアートが得意な人、焙煎にこだわる人など個性豊かなバリスタがそろうので、来店するたび雰囲気の変化を感じられると思います。
2階のシェアキッチンではどのようなことをされるのですか?
谷口:シェアキッチンではお料理教室やポップアップカフェ営業に加えて、読書会や講座、ワークショップも行われています。
谷口:クリエイティブスペース「屋根裏の猫」が8月25日にオープンしました。高校生からシニア世代まで、幅広い世代のクリエイティブ志向の方々が集い、企画や運営に携わるコミュニティスペースです。
谷口:岡山のアンティークショップ「海猫」のほか、子ども向けの造形教室や、通年で通えるアート系ワークショップの開催に向けて準備をしています。好きなブランドやアーティストを呼んで展示会を行うなど、関わるメンバー次第で無限の可能性が秘められていると思います。
谷口:日付に”5”の付く日に開催する「サンクスマルシェ」は、野菜や焼き菓子などのお店が出店し、とてもにぎわいます。出店者同士がつながって、「キッズ」や「和」をテーマにしたマルシェなど新たなイベントも生まれましたね。
たくさんの人が運営に関わっていらっしゃるのですね。
谷口:お客様で来店した人が、今度は出店者側にいるということもよくあります。minagartenは、「やりたい!」と思ったことを責任持ってやっていく場なので、関わる人みんなが楽しい場所にしようとしてくれています。
ライフステージに応じた働き方を後押しするシェアサロン
谷口:腸活セラピスト、美容師、ファイナンシャルプランナーなど各分野のプロフェッショナルの女性たちが、それぞれ週2〜4日、2室を交代で運営するパーソナルサロンです。
谷口:サロンメンバーは、勤務地や自宅サロンとこちらの2拠点で活動することで、現時点のライフステージに合った自由な働き方ができています。
場所をシェアする使い方でサロンを運営しやすいよう後押しされているのですね。
谷口:女性はライフステージの変化に応じて働き方を変えたい人が多いと思います。生き方の正解はありませんし、自分のやりたいことが一番モチベーションが上がりますよね。キラキラしている人は周りも応援したくなるはずです。
minagartenらしい「発酵」のカフェが11月に
今年11月オープン予定のデリカフェはどのような形になる予定ですか?
谷口:「発酵」をテーマに、パンに合うスープやお惣菜をイートインでも、テイクアウトでも楽しめるデリカテッセンとカフェレストランを合体させたような形を目指しています。「発酵に興味があり、料理が得意でカフェをやりたいけど経営が分からない」という人たちが共同経営で携わります。
”実践起業塾”のようですね。一人では一歩を踏み出せない人が背中を押されそう。
谷口:私自身、カフェ経営に携わるのは初めての経験で、また「発酵」という大変奥が深い分野の探究を考えたときに、「『相互に学び合うコミュニティ』なら解決できることが多いのではないか?」という答えに辿り着きました。私にとっても、みんなにとっても、実験の場であり、挑戦の機会です。
カフェを「発酵」にフォーカスしたのはなぜでしょう?
谷口:菌の世界は多様性そのもの。自分の役割を終えたら次の菌に働きを譲り、互いに争わない。そうしてバトンタッチしていくことで、時をかけてゆっくりとおいしくなっていく。体に良いということだけでなく、個の働き方、存在の在り方自体が、とてもminagartenらしいなと感じました。
生き方の選択肢が広がることは人生の豊かさにつながります。一輪の花の集合体が美しい花畑になり人の心を癒すように、集う人が思い描いた人生を咲かせるminagarten。訪れた人の誰もが笑顔になれる場所です。