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スパイスと酒 山椒魚|旅先の“おいしい”を一皿に込めた、創作スパイス料理

広島市中区、土橋電停から歩いてすぐの『スパイスと酒 山椒魚』。ここは、スパイス料理とお酒を楽しめる小さなお店。エスニック料理とはひと味違う、旬の地元食材と自家菜園で育ったハーブや野菜を使った創作スパイス料理が評判を呼び、県外から訪れる人も少なくありません。

「スパイス=辛いと思われがちだけど、もっと自由に楽しめることを知ってもらいたいんです」。そう話すのは、ホール担当の中西真誠さんと、妻で料理担当の宮前祥子さん。
実はお二人ともカメラマンという顔を持ち、仕事を通じて世界中を旅してきた経験の持ち主。各地で出会ったスパイス料理に魅了され、その記憶と感動をヒントに生まれたのが、今のお店で提供されている数々のメニューです。そんなスパイス料理へのこだわりについて、お話を伺いました。

旅先の“おいしい”がスパイス料理の原点

お二人がスパイス料理のお店を始めたきっかけは?
中西:“スパイス料理をやろう!”と決めて始めたわけではないんです。僕たちにとっては、旅先で出会った忘れられない味を、自宅で再現して楽しむのが日常でした。その食卓の延長線上に、このお店があるんですよね。
中西さん(左)と宮前さん(右)
料理は奥様が担当されているそうですね?
中西:タイやベトナムの屋台で食べて美味しかった料理を、その場で作り方を教えてもらったり想像したりしながら、妻が再現してきました。スパイスブームが来るずっと前の話です。そうやって、少しずつレパートリーが増えていって、気づけば今のお店につながっていたんだと思います。
ネパール・カトマンズの市場での一枚。ここで出会った蒸し餃子も、今ではお店の看板メニューとして親しまれています。
自家菜園の畑では、どのようなものを育てているのですか?
中西:北広島町に妻の実家の畑があって、そこで野菜やハーブ、唐辛子などを育てています。お店を始めたのを機に、畑で採れる旬の素材も料理に取り入れるようになりました。
山椒やフェンネルなど多種多様なハーブのほか、季節ごとに採れる山菜もお店で提供されています。

自由な感性で描くスパイスの世界

スパイスの魅力って、どんなところにあると思いますか?
中西:あるお客様に「スパイスって色みたいですね」と言われたことがあって。絵の具の色ってたくさんありますけど、1色でも絵は描けるじゃないですか。スパイスもそれと同じで、何十種類使ってもいいし、3種類だけでも成立する。表現の幅があるのが面白くて魅力だと思っています。
屋台の味を再現した山椒魚の看板メニュー『ネパール蒸し餃子・モモ』。使われるスパイスは日替わりで、この日はターメリックとチリのシンプルなソース。
『瀬戸内さかなと山椒魚の畑のセビーチェ』。セビーチェとはペルーで生まれた魚介類のマリネで、お酒のおつまみにもピッタリ。瀬戸内海産の鯛に、パクチーとディルの花、レモンバームやフェンネルなど、様々なハーブを和えて。
ネパールの定食『ダルバート・タルカリ』は、ごはんとおかずがワンプレートに盛られた一品。旬の野菜を使ったタルカリ(おかず)やアチャール(漬物)、ネパール風味のダルスープ(豆のスープ)は、やさしい甘みの中にスパイスがふんわりと香ります。
県外からのお客様も多いと聞きました。
中西:SNSや口コミで調べて来てくださる方が多いですね。「こんなに変わっている料理は初めて」とか「想像以上に美味しかった」という声をいただくと、やっぱり嬉しいですね。

お酒×スパイス料理のマリアージュ

日本酒だけで20種類もあったり、お酒の種類も豊富ですね。
中西:スパイス料理と日本酒って、実はすごく相性が良いんです。種類がたくさんあるので、ヒアリングをして、その人の好みに合うようなお酒をセレクトしたりもしています。
日本酒を使ったアレンジドリンクやオリジナルレシピのサワーなど、個性あふれるお酒が揃い、どれも料理との相性は抜群。
石見麦酒に委託醸造した山椒魚オリジナルのスパイスクラフトビール。しっかりと香るスパイスがアクセントとなり、料理の美味しさを引き立てます。

島根に誕生した姉妹店『CURRY & BEER 山椒魚』

今年(2025年)4月、島根県江津市に姉妹店『CURRY & BEER 山椒魚』がオープンしました。広島の店舗とはひと味違う、“食の循環”をテーマにした取り組みが行われているそうです。

中西:きっかけは、ビールの製造過程で出る麦芽粕(ばくがかす)を与えて育てた『麦酒羊肉(ビールマトン)』という羊の存在でした。この羊肉を新たにブランド化するべく、「料理に使えないか?」という相談から誕生したのが、『麦酒羊肉キーマカレー』です。
全国ご当地カレーグランプリ2024で3位に輝いた『麦酒羊肉キーマカレー』。独自の旨味たっぷりのマトン(成羊の肉)を使ったスパイシーな一皿です。

「このカレーを継続的に楽しんでもらえる場所をつくろう」との想いから、島根に誕生した姉妹店。クセの少ないさっぱりとした味わいのビールマトンは、現在のところこのお店でしか味わえない特別な羊肉です。

ビールづくりで出る麦芽粕が無駄にならず、食の循環につながっているのが素敵ですね。
中西:規模は小さくても、一次産業や醸造業とつながって、少しずつ“食の循環”が広がっていくような仕組みを作れたらと思っています。

「スパイス=辛い」のイメージを払拭する、山椒魚でしか味わえない創作スパイス料理。自家製ハーブやスパイスの力で、身体にやさしいのもうれしいポイント。

前日までの予約で楽しめる『山椒魚おまかせコース』のほか、当日来店では酒肴セットもご用意されています。暑い夏こそ、スパイス料理で爽やかに乗り切ってみませんか?

スパイスと酒 山椒魚

広島市中区土橋町4-19 向田ビル1F

TEL.082-232-9839

OPEN.12:00〜22:00
コースのお食事(前日まで予約)は12時以降お好きな時間から可能です。 当日来店は18時以降、酒肴セットのご用意となります。

定休.不定休

アクセス
広島電鉄・土橋駅より徒歩3分