移植医療や命の大切さを伝えるグリーンリボン活動。アーティストの月山翔雲さんは、音楽を通してその活動を行っている一人です。テーマソングの制作や音楽イベントの運営を担う月山さんに、活動への思いを聞きました。
一人ひとりの思いが尊重される活動 月山: 2013年に別のイベントで一緒に活動した、森原大紀くんとの出会いがきっかけです。イベント後は友人関係が続いていて、彼が病のため補助人工心臓を入れる手術を受けた後にグリーンリボンキャンペーンというものがあることを聞きました。臓器提供については、免許証の裏側に意思表示をする箇所があったりするので、知っている方も多いと思います。
イベントを通して、森原さん(右)が手術をする前から親交のあった2人。森原さんは現在、グリーンリボン推進協会の広島支部長を務めています。 月山: 「このキャンペーンはその意思表示がYesでもNoでも尊重されるから、そこに感銘を受けている」と大紀くんが話していて、僕も同じように感じました。広島でもこの活動をしていきたいと2人で話し合ったのが最初です。
◇『NPO法人グリーンリボン推進協会』広島支部長・森原大紀さんの記事はコチラ
多くの人の気持ちをのせたテーマソング 月山さんは協会のテーマソングを制作されていますよね。
月山: 最初はイベントをしようと動き始めましたが、この活動をもっと知ってもらって、自分たちも一丸となって取り組んでいくために、みんなが共有できる音楽があればいいねという話になったんです。それで僕がテーマソングの制作をさせてもらうことになりました。
月山: 大紀くんを通して、移植を受けた方や臓器提供をされた方のご家族から実際にメッセージをいただいたのですが、その中にはリアルな思いもたくさんあって、そうした気持ちをどのように伝えていくかを大切にしました。そのうえで、意思表示は尊重されることをフラットに伝えられたらいいなと思って制作していきました。
自分以外の方の気持ちを反映させながらつくるのは、これまでの楽曲制作とは少し違うアプローチになったんじゃないでしょうか。
月山: この楽曲の背景には、僕一人の思いだけではなくてたくさんの方の思いがあるので、創作するうえでいろんなものを僕自身問われているような感覚もありました。聴く人がどう受け止めるのかっていうことは、楽曲の披露前も後もずっと考えましたね。
月山: 僕としては、まず大紀くんに響くようにと制作していたので、彼がこの音楽を受け入れてくれたのがうれしかったです。音楽のジャンルも悩みましたが、最終的にミドルテンポにして、その中でキャッチーなメロディーを入れて、聴いてくれた人の記憶に残る楽曲になればと願ってつくりました。タイトルの『Life is colorful』は、“色とりどりの人生を”という、大紀くんがこの活動をするうえで大切にしている思いと僕が楽曲づくりをするうえで込めた思いとが合致して決まったものです。
◇『Life is colorful』のMVはコチラ から
2019年に行われた「ひろしまグリーンリボンフェス」の様子。イベント内では『Life is colorful』が歌われます。 グリーンリボンキャンペーンの「個人の思いが尊重される」という活動の根幹にも通じるものがありますね。
月山: そうなんです。皆さんに聴いてもらってグリーンリボンについて知ってもらうことはもちろん、一緒に活動するメンバーにとってもこの曲に触れることでよりお互いに歩み寄れたり、知識の向上に努めたりして、一つにまとまっていく共通認識にもなりました。テーマソングって意義のあることだと改めて実感しましたね。
イベントに参加するメンバーも、それぞれの形でグリーンリボン活動のメッセージを発信している。 楽しみながら学ぶことができたら 2022年10月29日にエールエールの地下広場で行われる「ひろしまグリーンリボンフェス」は、どんなイベントになりますか?
月山: 今回のテーマは“エール”です。ステージでは歌やダンス、書道パフォーマンスなどを披露しますが、どれも“エール”をテーマに表現します。トークセッションやクイズ形式でグリーンリボンについて知ることのできる時間もありますよ。いろんな人に楽しんでもらえるよう、今準備しているところです。
森原さんと月山さんが広島でグリーンリボンの活動を始めてから、今では活動メンバーが増え、移植医療について知る方も増えてきたと思います。これからはどのように活動していきたいですか?
月山: 自分がやっている音楽をはじめとしたエンターテインメントを通して、ずっと向き合っていきたい活動です。まずは意思表示をする人が増えれば一つステップが上がるのではと思っていますが、それは1日で簡単にできることではないですよね。皆さんが楽しみながら学べるように、地道に活動を続けていきたいと考えています。少しずつでも年々できることを増やして、仲間も増やしながら、しっかりと歩み続けていきたいと思います。
コロナ禍となった2020年や2021年のフェスはYouTubeのライブ配信も行いながら、それぞれがそれぞれの場所でイベントに参加できるようにするなど、森原さんやメンバーとともに歩みを止めずに活動してきた月山さん。テーマソングでたくさんの人々の思いをつなぎながら、これからも活動を通して命の大切さを伝えていきます。