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津島織物製造株式会社|受け継がれる伝統織物『江田島紙布』

広島市内から車で約90分。瀬戸内海に浮かぶ江田島市に、伝統織物「紙布(しふ)」を守り続ける津島織物製造株式会社があります。 昭和35年、3代目の時代には全国に50社あったと言われる紙布壁紙製造会社も、現在は静岡の会社と津島織物の2社のみ。地域の知られざる職人技と伝統を未来へつなぐ思いについて、5代目・津島久人さんにお話を伺いました。 

136年前、木綿織物からはじまった『津島織物製造』

紙布は、江戸時代から日本各地で織られてきた伝統織物。和紙を細く裁断し、撚り(より)をかけて紙糸にし、織り上げることで独特の風合いと通気性を持つ、優しい紙布が生まれます。明治23年に木綿織物工場として設立した津島織物製造では、昭和14年から紙布の製造を開始。当時流行していた「パナマ帽」の生地を生産するところから新たな歴史が始まりました。

こちらは、昭和10年代に制作されたパナマ帽。帽子の生地に紙布が使われています。

近年では、壁紙として使用されることが多く、高級ホテルや大型物件の内装、さらには海外のインテリア界からも高い評価を集めています。また、2027年春に移転オープンする広島市「カミハチクロスタワー」内のホテル客室にも津島織物の紙布が使用されるそうです。

「紙布は呼吸する天然素材で壁紙に適しています。部屋の湿度が高いときは湿気を吸い、乾燥しているときは蓄えた水分を放出するなど環境に応じて「呼吸」してくれるんです」と話す津島さん。令和2年3月の就任以来、海外へのアプローチも積極的に行い、需要も増加、工場見学も増えるなど、関心が高まっているといいます。

G7広島サミットでは安田女子大学の学生が紙布を使った折り鶴を展示しました。

1本の紙糸が紡ぐ、紙布づくり

紙布の仕上がりを左右するのが、緻密な「整経機(せいけいき)」による縦糸づくり。和紙を撚った紙糸は伸縮性がないため、整経機で大量の縦糸を完璧な張りで揃え、均一に巻く作業は熟練の勘が欠かせません。

506本の紙糸を整経機で巻き取り縦糸を作る工程。紙糸は途切れないようにボビンを取り替え、創業当時から継ぎ足しています。
次に織機に縦糸をセット。80年以上稼働している機械の速度に合わせて手作業で平らに補正し、ズレを防ぎます。
横糸は機械で流し込み。製図通りに織られているか、ねじれはないかなど目視で確認しながらの作業です。

「実際に織ってみると、想像とは違った出来上がりになることも珍しくないんです」と微笑む津島さん。 1本1本丁寧に撚りをかけた紙糸は、太さや色使いの組み合わせによって無限の表情を見せるそうで、自然素材ならではの素朴な凹凸と、織り目が織りなす複雑な風合いは、量産品には真似できない「味」そのもの。美しい状態を保ち、空間に優しい癒しをもたらします。 

糸の太さや色の組み合わせ、織り方で無限の表情が生まれるという紙布。経年変化も楽しみの一つ。

複雑な柄や編み方の製図をパンチカードに記録し、その模様を織機へと反映させます。メンテナンスを重ねて動き続ける機械は、最新の装置では再現できない独自の味わいを生み出す要。歴史ある機械と職人技の融合が、唯一無二の伝統織物を紡ぎ出しています。 

製図をカードに落とし込むカードパンチ機。製図と共に、これまで大切に受け継がれてきました。

伝統工芸を継承する、これからの歩み

製造された紙布は主流である壁紙やインテリア素材に加え、コースターやバッグに姿を変えます。手触りの良さや美しい模様が映え、日本はもちろん、外国の方にも人気だそう。

温かみのある風合いと多様な柄が楽しめる、紙布のコースターやブックカバー。バッグはオンラインでも購入可能。

HIROSHIMA SHIFU オンラインショップはこちら

また、「問屋任せにするのではなく、自ら動いて本物の良さを直接伝えていきたい」との思いから、自社オリジナルの紙布サンプル付き製品カタログ『ザ・紙布コレクション』を手掛け、国内外のデザイナーや設計士へダイレクトに魅力を発信する新たな挑戦を進めています。端材を活用したワークショップや工場見学(3名〜・要予約)など、紙布の魅力を身近に感じてもらう取り組みも行っています。

紙布サンプル付き製品カタログ『ザ・紙布コレクション』の詳細はこちら

授業の一環で地元の小学生が工場見学に訪れることも。「伝統工芸に興味を持ってもらえるきっかけになれば」と、熱い思いで向き合います。

和紙ならではの優しい手触りと優れた吸湿性。地球環境にも優しい天然素材としての本物の価値。130年を超える歴史のなかで紡がれてきた確かな手仕事で、これからも伝統を守りながら江田島の地から世界へ、そして次の世代へ向けて紙布の新たな可能性を紡いでいきます。 

津島織物製造株式会社

広島県江田島市能美町中町2267-2

TEL.0823-45-2626

OPEN.08:00~17:00

定休.土日祝

アクセス
広島市内より車で約90分