
瀬戸内海を見下ろす尾道の小高い丘の上に、ロバやヤギと触れ合える『尾道ロバ牧場』があります。牧場内では、動物たちに直接エサをやったり、触れ合ったりできる体験が楽しめます。現在は、子ロバを含めた計11頭のロバと、3頭のヤギが飼育されており、穏やかなロバと元気いっぱいのヤギたちと過ごす時間は、大人にとっても心豊かなひとときとなっています。尾道の新しい観光スポットとして注目を集める『尾道ロバ牧場』について、今回はオーナーである田頭さんご夫婦にお話を伺いました。

牧場に着くと、ロバやヤギたちが元気いっぱいに迎えてくれます。ロバ牧場誕生の由来
田頭:現在の住まいである尾道の小高い丘に住み始めた頃、大学時代の授業で読んだ『プラテーロとわたし』を思い出しました。ノーベル文学賞を受賞したスペインの詩人J.R.ヒメネスの代表作で、ロバのプラテーロと過ごす日々を描いた作品です。その中に描かれるアンダルシアの情景が、目の前の風景と重なり、「ここでロバと暮らしてみたい」と思うようになりました。2012年に1頭のロバ「プラテーラ」を迎えたことが、その始まりでした。

田頭:その後、少しずつロバの数が増え、見に来てくださる方も増えたことから、2021年7月、長年の夢であったロバ牧場をオープンしました。
田頭:穏やかで人懐っこいところですね。うれしい時や寂しい時には鳴き声で感情を表現するなど、とても表情豊かで愛らしい存在です。最近ではロバの魅力が少しずつ伝わり、ロバを飼いたいという相談を受けることも増えました。これまでに、この牧場から6頭ほど譲渡しています。
ロバと触れ合う田頭さんの姿を見て、「令和のムツゴロウさん」と呼ばれることもあるそうです。それほど、ロバたちへの深い愛情が感じられます。エサやり&散歩体験!
『尾道ロバ牧場』では、ロバやヤギに直接エサをやったり、触れ合ったりすることができます。ロバは非常に穏やかな性格のため、小さなお子様でも安心して体験できるのが特徴です。
田頭:ロバの主なエサは、オーツヘイと呼ばれる、オーツ麦を乾燥させた牧草です。また、りんごや柿などの甘い果物も大好きです。手のひらにエサを乗せて、口元に近づけてあげてください。
おいしそうにむしゃむしゃと食べる姿もまた癒されます。田頭:ロバは3歳ほどで成長し、大人と同じくらいの大きさになります。ここのロバたちは好奇心旺盛で人懐っこく、人と触れ合うのが大好きです。穏やかな性格なので、小さなお子様も安心して触れ合っていただけます。
初めての人にもみずからすり寄ってきてくれるほどの人懐っこさ。また、平日のみのオプションとして、ロバを連れて近隣の里山を散歩する体験もできます。ロバのゆったりとした歩みと、道草を楽しみながら、癒しの時間を楽しめ、1時間があっという間に感じられます。広島CLiP新聞編集部員も、ロバの散歩体験をさせていただきました。
ロバの歩調に合わせて、のんびりと散歩を楽しむことができました。田頭:散歩中は、草を食べることに夢中でなかなか前に進まないこともあります。その際は、適度に手綱を引いて促しますが、基本的にはロバの行きたい方向に合わせ、ゆったりとしたペースで散歩を楽しんでいただいています。
ゲストハウスに宿泊!オリジナルグッズやクッキー缶も。
『尾道ロバ牧場』の敷地内には、宿泊ができるゲストハウスも併設されています。宿泊者は時間を気にすることなく、動物たちとともにゆっくりとした滞在を楽しむことができます。周辺はとても静かで、時折聞こえてくるロバの鳴き声が、穏やかで癒しのひとときを演出してくれます。

田頭:県内外をはじめ、海外から来られる方もいらっしゃいます。ご夫婦や小さなお子様連れの方も多いですね。ゲストハウスの窓からは、朝や夜など営業時間外のロバの様子を見ることができます。デッキにテーブルを出して、景色を眺めながら食事をすることも可能です。ご希望があれば、エサやりなど、ロバの日常的なお世話のお手伝いも歓迎しています。

牧場はご夫婦で運営。ゲストハウスの来場者へのおもてなしやクッキー作りも、新たな楽しみと語る田頭さんご夫婦。お土産のクッキー缶やオリジナルグッズも印象的です。
田頭:2024年度のクッキー缶のパッケージは、『プラテーロとわたし』の詩画集を手がけている銅版画家・山本容子さんに描いていただきました。牧場の子ロバをイメージして、特別に描き下ろしていただいています。中のクッキーは、尾道の海を望む丘の上で、ロバの親子がまどろむ様子をイメージして作りました。見てもかわいらしく、食べてもおいしいクッキーです。

今、牧場にいるロバたちに、生涯幸せで穏やかに過ごしてもらうことが目標だと語る田頭さん。ご夫婦が、我が子に接するのと変わらぬ愛情を注いでロバたちと向き合う姿が印象的でした。その人懐っこさも、日々の丁寧な関わりの積み重ねによるものだと感じられます。
瀬戸内海を望む小高い丘の上で、ロバたちと過ごす穏やかな時間。ドライブの立ち寄り先としても、『尾道ロバ牧場』を訪れてみてはいかがでしょうか。