さまざまな機能を持つモビリティが続々と登場している昨今。その一つに、歩く速さでの移動が可能な乗り物「C+walk(シーウォーク)」があり、ひろしまゲートパーク内では試乗ができます。C+walkはどんな風に活用して楽しむことができるのか、担当の広島トヨペット・河江直輝さんに話を聞きました。
人の歩行による移動をサポート
河江:トヨタ自動車が提案する、日常の歩行をサポートする新しいモビリティがC+walkです。3輪のBEV(バッテリー式電動自動車)で立ち乗りタイプと座り乗りタイプがあって、歩道(公道)を走行できるんですよ。
河江:人の歩く速さと同じ速度なので、一緒に歩く人と会話しながらC+walkに乗って移動できます。例えば日常生活の中で長時間の歩行を困難に感じている方の移動をサポートしたり、観光場所での移動手段として活用したりすることが期待されていて、実際に以前、大久野島で実証実験をしたんですよ。
河江:大久野島は一周4㎞くらいなので、その一部を走るようなルート設定をして体験者に楽しんでもらいました。C+walkは最高速度が6㎞/hと自転車よりかなり遅いので、ウサギや人との接触の危険性が少ないんです。また乗り降りがしやすいのですぐにウサギと触れ合えたり写真を撮ったりもできます。C+walk特有のゆっくりとしたスピードが、島の観光課題の解決策の一つになることが実証実験を通して分かりました。
各エリアの新しい魅力に気付くきっかけを
今はひろしまゲートパークで乗れるようになったんですよね。
河江:はい、2023年4月から立ち乗りタイプのC+walkTの乗車体験を始めました。広いパーク内を周遊できるよう、移動手段としての役割を担っています。
河江:あと、このパークにはホームベースやピッチャープレートなど旧球場の歴史や、被爆樹木といった街の歴史を感じさせる場所があります。そうしたスポットをめぐってもらうことで学びや気づきの体験とともにエリアの魅力を伝えられればと思い、C+walkTには観光ガイド機能付きスマートフォンを設置しているんですよ。
ゲートパークでの乗車体験を始めてから、反応はいかがですか?
河江:現状、体験者の6~7割はお子さんなので、お子さんに楽しく乗っていただくことはできていますが、先ほどお伝えした学びや発見を得ていただくような移動の楽しさという部分ではまだこれからかなと思っています。でも利用状況としては好スタートですね。
先ほど私も体験させてもらいましたが、風を感じられて気持ち良いし、大人でも充分にパークならではの雰囲気を感じながら楽しめました。
河江:そうですね、他の体験者からも「歩くより、自転車より快適」「操作が簡単でスピードが出すぎない安心感がある」と言ってもらっています。パークではこれからイベントも多く開催されるので、今後はより人が多い状況での安全性をしっかりと確認していく必要があります。安全に楽しく乗っていただくために、日々ブラッシュアップしていきたいと思います。
▷「C+walkT」利用方法や体験料金などはこちら
街あそびや観光をもっと充実させる移動手段としての未来
マイクロモビリティ自体は、これからますます必要とされるシーンや場所が増えていくと思います。今後はどのような活用方法や展望を考えていますか?
河江:これから中央公園には新しいサッカースタジアムができ、広島城三の丸も商業施設が整備されていきます。このゲートパークからはもちろん歩いていけるのですが、歩くには少し遠く感じる場合もあると思います。電車やバス、タクシーで移動する程でもない距離だからこそ、このC+walkの出番だと思うんです。
たしかに! 絶妙な距離間をC+walkで移動できたらすごく便利です。
河江:広島に暮らす人にとっては街あそびをもっと充実させる方法の一つとして、観光で来られた方には便利な移動手段の一つとして、このC+walkを使って気軽に3スポットの周遊を楽しんでもらえたらいいなと考えています。そのためには機能面でもっと改善していくべき部分があるので、しっかり検証していきたいですね。そのほかにも、例えば動物園や美術館などでもC+walkをいかして施設内をめぐる魅力を生み出せそうなので、そうした場での活用についても考えていきたいです。
他県ではこうした取り組みがまだ少ない中、ここ広島では先駆けてC+walkを中心にした体験ができるマイクロモビリティの世界。ひろしまゲートパークのほか、7月からは大久野島でも再び乗車が可能になる予定です。ただ乗るだけではなく、付加価値を得ながら移動を楽しむ。そんな新しい移動体験コンテンツに、ぜひ触れてみてください。