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サイクリングを通して広島を知る! 自転車での街めぐり&観光を提案

多くの観光客が国内外から訪れる広島。観光スポットやグルメなど楽しみ方がさまざまある中、その一つとして観光客向けのサイクリングツアー「sokoiko!」を企画運営しているのが石飛聡司さんです。ガイドと観光客が一緒に自転車で広島の街や被爆遺構をめぐることで、より街の歴史や日常に触れられるこのツアー。県外で暮らして改めて広島の良さに気づき、Uターン後に地元貢献したいとの想いから立ち上げたという石飛さんの街への想い、これからの観光やツアーの展望について教えてもらいました。

原爆ドーム周辺をガイドツアーで楽しんでいる様子。

自分にできる地元貢献のカタチ

石飛さんがサイクリングツアー「sokoiko!」を始められたのは、どんなきっかけからですか?
石飛:僕は広島出身ですが、最初はアパレルの仕事に就いて全国を転勤しながら暮らしていました。30歳でUターンした後、仲間数人と会社を設立。メンバーの1人の経験を生かしてデザイン業務からスタートして、次第にもっと地元に貢献できる仕事をしたいと思うようになりました。
最初から観光業だったわけではなかったんですね。
石飛:そうなんです。あるとき「平和記念公園に外国人観光客が多く来て、経済効果が大きい」というニュースを観ました。でも平和公園から自転車で20分くらいの位置にある自宅周辺には全然観光客がいなくて、その差に違和感を持ったんですよね。それで調べたら、統計上は確かに観光客が増えているけど、平和公園と宮島にしか行っていないということで。
それは私も聞いたことがあります。広島の観光業の課題点としてよく挙がりますよね。国内外問わず、観光客の宿泊も少ないそうだし。
石飛:本当にその通りなんですよ。特に外国人観光客の人にとっては、平和公園や宮島以外に何があるのか知りにくいし、行く手段も分かりにくいし、きっかけがないんだろうなと思ったんです。それで地域に貢献したい気持ちとそうした疑問点、自分たちができそうなことの部分が結び付いて、広島の観光に目を向けました。
石飛さん自身もサイクリングツアーのガイドとして広島市内をあちこちめぐっている。

「プラス3時間」の価値をつくる

観光の中でも、インバウンド向けのサイクリングツアーだったんですね。
石飛:最初に知ったのが外国人観光客についてのニュースだったので、インバウンドで考えました。ガイドがいれば観光客とお店の方との会話をフォローできるし、自転車なら半径4キロ圏内を3時間程度で回ることができます。広島は日帰り観光をする人が多いので、そこに3時間プラスすれば宿泊という選択肢が増えますよね。「広島にプラスの時間をつくる」というコンセプトで、プラスの価値を与えられるツアーをつくることにしたんです。
なるほど~。とはいえ、言葉の問題や自転車の手配など、事前に準備すべきことも多かったんじゃないですか?
石飛:始めたときは、資金はゼロ、英語力もとても案内できるレベルじゃなく、自転車も持っていない。かつ観光の経験値も人脈もない…とすべてがゼロの状況でした。
なんだかもう、ないないづくしですね…。
石飛:そんな状況で始めたので、課題しかないですよね(笑)。英語に関しては、英語を学んでいる学生さんにお願いして、自転車は「ぴーすくる」という広島市のシェアサイクルに相談して、使用許可をもらいました。PRや販売については、サイクリングツアーのことを知ってもらうために多くのプレゼンやウェブサイトでの告知を行いました。少しずつ認知度が上がって、「sokoiko!」を始めてから3年目には年間約1,000人の方に参加してもらったんですよ。
サイクリングツアーでは、広島城の方へも足を延ばす。
え! それはすごい!!
石飛:これは全国的なサイクリングツアーの中でも集客力があると言われる数なので、本当にありがたいです。2020年7月からは、レストハウス公式のサイクリングツアーにもなりました。念願だったレストハウス発着で、広島の街をめぐりながら平和について考え、街の姿を見てもらうピースツアーを行っています。
編集部・中尾も、石飛さんと一緒に街を少しサイクリングしてみました。

街をめぐればめぐるほど、広島が好きになる

ツアーではどんなことを大切にしているんですか?
石飛:外国人観光客が広島に来る理由を考えると、やはり平和については外せません。ただ原爆資料館と同じ内容を伝えてももったいないので、少し離れた場所にある被爆遺産を回っています。
そういうときに自転車だと、街なかをまわりやすいのですごくいいですね!
石飛:広島は街が誕生したときから平和都市なのではなく、戦前から平和公園があったわけでもなく、普通の人々の暮らしに突然原爆の存在が生まれ、そこから復興して今の緑豊かな街がある。戦前・戦中・戦後を物語のように知ってもらえると分かりやすいかなと思って、その構成でツアーをしているんですよ。
参加したお客さんの反応はどうですか?
石飛:国によっても違うけど、みんな必ずいうのは「広島は美しい」ということですね。おそらく、皆さん広島というと被爆直後の写真の印象が強いからなのか、「緑が多い」「人々の笑顔が素晴らしい」という話はよくされていますよ。
東千田公園で、ツアー参加者に平和について伝える。
今の広島の街の姿に感動されているんですね。
石飛:そうですね。僕自身県外で就職する前はちゃんと街の良さに気付いていなかったんですけど、外に出て発見した広島の良さもあるし、ガイドツアーを始めてから観光客の方に教えてもらうことで知った広島の魅力もあります。街をめぐればめぐるほど、地元のことを好きになりますね。
国内からの観光客と海外からの観光客とでは、気付きの視点が異なったりもしますしね。
石飛:日本と海外では旅文化が違うということもツアーを始めてから知りました。海外の方は1日の現地滞在でもツアー参加への抵抗が少ない方が多くて、どの国に行ってもガイドツアーに参加するっていうお客さんがけっこういらっしゃるんですよ。旅先での時間の使い方の感覚が違うんだなと感じましたね。

広がるサイクリングツアーの楽しみ

旅文化の違いというのは面白いですね。2020年は特に、旅や観光への考え方が世界的にも大きく変わった年でもありました。
石飛:自分の根本にあるのは、サイクリングツアーを始めた当初と変わらず「地元に貢献したい」という気持ちなんです。このようなときだからこそインバウンドだけではなく日本人観光客に向けても広島の魅力を発信したいと思って。広島市内中心部をまわるピースツアーだけじゃなく、瀬戸内の島や県北エリアでのサイクリングツアーを考えているんですよ。
海と山の両方があるのは、広島の大きな特徴でもありますよね。
石飛:海も山もそれぞれに豊かな食材があるし、絶景スポットも多いですよね。ソーシャルディスタンスを保ちながらでも、地域の文化や歴史についてガイドを通して学びつつ、地元の方とも触れ合いながら、サイクリングでめぐることはできると思っています。
緑豊かな街なかはもちろん、島や山でのサイクリングも気持ちよさそうだし、何より楽しいですよね。
石飛:地元に貢献したいという気持ちからsokoiko!を始めて、これまで多くの皆さんが喜んでくれる姿を見てきました。サイクリングツアーだからこそ伝えられる広島の姿をより多くの人に知ってもらえるように、これからも頑張っていきたいです。

自身も自転車でガイドをしながら、日々街のさまざまな表情に触れているという石飛さん。ツアー参加者に広島を安心して楽しんでもらうために、今の広島の姿を伝えるために。サイクリングツアーだからこそ発見できる街の魅力を、これからも国内外へ発信していきます。

sokoiko! 主催

石飛 聡司さん

大学卒業後、アパレル業界での勤務を経て出身地である広島にUターン。株式会社mintを設立後、外国人観光客向けの自転車ガイドツアー「sokoiko!」を立ち上げ。現在、広島市平和記念公園レストハウス発着のツアーなどを展開する。

広島市平和記念公園レストハウス

広島市中区中島町1-1

TEL.082-546-9133

OPEN.8:30~17:00(時季によって変動あり)

定休.無休

アクセス
広島CLiP新聞編集部(CLiP HIROSHIMA)から車で約10分