江田島市で子ども向けの民泊体験や古民家カフェ、地域サロンを行う『こども自然体験くじら堂』の嶋 愛さん。島の自然や人の魅力が伝わる体験の提案とともに、三世代がつながり交流できる拠点づくりを目指して多彩な取り組みを行っています。
修学旅行生の民泊受け入れがきっかけに
くじら堂をオープンしたのはどんなきっかけからですか?
嶋:元々は、兵庫県の病院の小児科や小児集中治療科で看護師をしていて、出産を機に地元である江田島へ帰ってきました。子育てしながらどのように仕事復帰するかを考える中で、地域に根付いたところで子どもと関われる仕事をしたいと思うようになりました。
地域というと、やっぱりこの江田島がベースになるでしょうか?
嶋:そうですね。その頃ちょうど江田島市が修学旅行生の民泊の受け入れ先を募集していたんですよ。子どもたちと関われるならやってみようと挑戦したら、楽しくて自分のやりたいことにも近いと感じたんです。子どもたちが少しでも安心して楽しめる場所をつくりたいと考えたことが、くじら堂オープンのきっかけです。
江田島の自然と人の魅力が伝わる体験
現在はどんな形で民泊の受け入れをしていらっしゃるんですか?
嶋:民泊は、今は子ども限定で「えたじまファームステイ」という形で受け入れています。
えたじまファームステイでは、どのような体験ができるんですか?
嶋:その季節にしかできない自然の中での遊びをしています。えたじまファームステイのほかに親子で参加できる日帰り自然体験も開催していますが、春は田植え、夏は海や川遊び、秋は稲刈り、冬は餅つきなどをしていますね。野菜の収穫や魚釣り、自分で火をおこして調理したり、食育の要素も入っています。
嶋:自然の魅力はどの季節にもあるし、人の魅力も大きいです。農家さんや海遊びの専門家とか、江田島には魅力的な人が多いんですよ。いろんな人の力を借りながら私も企画して、子どもの健やかな成長を後押しするという点を大前提に、江田島の自然も人も両方の良さが引き立つようなものになればと取り組んでいます。
人とのつながりが生まれる場所に
くじら堂さんでは、カフェや地域サロンもされていらっしゃいますね。
嶋:多くの人と交流する中で、島内の子育て環境にも意識が向くようになりました。子育て中のお母さんが気兼ねなく行ける場所をつくりたくて、カフェを始めたんですよ。
取材中の今も、カフェではお母さんたちがゆっくりされていたり、子どもたちも一緒に遊んだりして楽しそうです。
嶋:お母さんたち自身が楽しめる場所があることで、島全体も明るくなる気がするんです。カフェも地域サロンも、子どもや親、地域の人、江田島以外から来る人など、三世代が広く交流できる拠点になればという気持ちでやっています。
嶋:コロナ禍を経て、人とのつながりは大切だと自分自身も再認識しました。これからも島内外の人に江田島の自然や世代を超えた人とのつながりの大切さを伝えていけたらと思っています。
自身の経験や暮らしの中で気付いたことをベースに、嶋さん自身も多くの人とつながりを深める中で形にしてきたくじら堂。江田島の魅力を発信し、人と人を結び付ける。その先には、「子どもも大人も自分を自由に表現でき、自分の力を発揮できるように」という嶋さんの思いがあります。これからもこのくじら堂が、今まで以上に人と人をつなげる需要な役割を担う場所になるはずです。