広島中の+(プラス)体験を集めるWebマガジン 広島CLiP新聞 広島CLiP新聞

公式SNS 広島の耳寄り情報配信中!

エスキーテニス|広島発祥のスポーツを体験!初心者でも楽しめる魅力と平和への思い

©西森哲

近年、気軽に楽しめるニュースポーツへの注目が高まる中、広島発祥のスポーツとして長年親しまれてきた『エスキーテニス』をご存じでしょうか。テニスや卓球、バドミントンの要素を取り入れたユニークな競技でありながら、戦後復興や平和への願いが込められた、広島ならではの歴史を持つスポーツでもあります。

エスキーテニスは、テニスコートの約8分の1(縦8m・横4m)の広さで楽しめるラケットスポーツです。コンパクトなコートのためラリーが続きやすく、子どもからシニアまで気軽に楽しめるのが魅力。ルールはテニスに近く、ラケットは卓球のラケットをひと回り大きくしたような形で、羽根付きの専用ボールを使用します。

エスキーテニス専用のラケットと羽根付きボール。

今回は、エスキーテニスの考案者・宇野本信さんのひ孫にあたり、現在も普及活動に携わる宇野本翼さんと、長男の愛生(あいき)さんにお話を伺いながら、実際に競技も体験。競技としての魅力はもちろん、世代を超えて受け継がれる平和への思いにも触れてきました。

写真右:宇野本さん、写真左:愛生さん

平和への願いから生まれた『エスキーテニス』

エスキーテニスが誕生したのは、戦後間もない広島でした。考案したのは、宇野本さんの曽祖父(そうそふ)にあたる宇野本信さん。原爆によって大切な娘を亡くし、深い悲しみを抱えながらも、「子どもたちに笑顔を取り戻してほしい」という強い思いから、このスポーツを生み出しました。

宇野本:戦争孤児や、心に傷を抱えた子どもたちがたくさんいた時代でした。子どもたちの心が元気じゃないと、本当の平和は来ない。ひいおじいさんはそう考えていたそうです。

広島の復興を願う中で、「子どもたちに楽しみを与えるスポーツを作ってほしい」という声を受けた宇野本信さんは、試行錯誤を重ねながらエスキーテニスを考案。当初はネットも手作りで、漁師から網の編み方を教わり、ボールの羽根には鶏舎で集めた鶏の羽を使用していたそうです。

写真は、考案当初の競技の一つ「ハネツキトリオゲーム」。その後、最も好評だった「ハネツキテニス」をもとに、ネットを低くするなどの改良が加えられ、1948年に現在の「エスキーテニス」として正式な競技となりました。

家族総出で用具づくりに取り組みながら完成したエスキーテニスには、戦後復興への願いと、子どもたちの笑顔を通して平和な未来を築きたいという思いが込められていました。その思いは、競技の楽しさとともに今も受け継がれています。「エスキー」という名称は、当時、広島から世界へ平和を発信していく機関として構想のあった「教育科学文化研究所(Education Science and Culture Institute)」の頭文字に由来しており、競技名にも復興への思いが込められています。

今回は、広島CLiP新聞編集部員も実際にエスキーテニスを体験し、その魅力を感じてきました。

初心者でもすぐ楽しめる!『エスキーテニス』を体験

まずはウォーミングアップとして、ラケットに慣れるため、ボールを軽く打ち上げるリフティングに挑戦。……が、これが意外と難しく、思った方向に飛びません。

編集部員が苦戦するなか、軽々とコントロールする宇野本さんと愛生さん。

そんな編集部員に、打ち方のコツを丁寧に教えてくれたのが、宇野本さんの長男・愛生さんです。幼い頃からエスキーテニスに親しみ、中学2年生で試合デビュー。2025年は個人戦シングルス級位の部で史上最年少優勝を果たした実力者ですが、初心者にも分かりやすくアドバイスしてくれました。

エスキーテニスは段級審査制度があり、実力を審査し段位・級位が認定されます。シングル戦で優勝・準優勝すると昇段します。愛生さんは現在、初段に認定されています。
トスを受けたボールを打ち返す練習。

練習を始めて10〜15分ほど経った頃、宇野本さんから「では、試合形式でラリーをやってみましょう」と一言。

「もう試合ですか!?」と思わず驚きましたが、初心者同士でも予想以上にラリーが続き、その楽しさをすぐに実感。短時間でもゲームとして成立するのは、エスキーテニスならではの魅力です。

一方、経験者同士のプレーは想像以上の迫力。コンパクトなコートながらボールのスピードは速く、前衛・後衛の連携や相手の動きを読む駆け引きが勝負を左右します。

宇野本:狭いコートだから簡単そうに見えるんですが、実は戦略性が高いんです。ブラインドで相手の視界を遮ったり、あえて返しづらい場所を狙ったり、奥が深いですよ。テニス経験者や卓球経験者が、『ゲーム性はエスキーテニスが一番面白い』と言ってくれることも多いんです。
今日初めてエスキーテニスを体験した編集部員も、最後には試合形式のラリーで見事なスマッシュを決めることができました!

初心者でも気軽に始められ、それでいて上級者は奥深い駆け引きを楽しめる。誰もが自分のレベルに合わせて夢中になれるスポーツだと感じました。

平和への願いを、次の世代へ。

現在、宇野本さんは普及活動の中心メンバーとして、小学校や地域・公民館などでの体験会や各地でのイベントを行っています。

宇野本:本音を言えば、最初は継ぐつもりはなかったんです。でも、小さい頃から手伝ううちに、このスポーツが本当にたくさんの人の人生を豊かにしていると感じるようになりました。

その思いは、次の世代へも受け継がれています。長男の愛生さんをはじめ、子どもたちも自然と競技に親しみ、宇野本さんとともに体験会へ参加するなど、その魅力を伝える活動に参加しています。

愛生さんは、幼い頃からエスキーテニスに親しみ、競技だけでなく普及活動にも参加してきました。2024年には「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でファイナリストに選出。今後はジュノンボーイとして俳優活動を行う一方で、エスキーテニスの魅力をより多くの人へ届けるPR活動にも力を入れていきたいと話してくれました。

愛生:僕は人と関わって話をすることが好きなので、俳優として活動しながら、エスキーテニスや平和への思いも発信していけたらと思っています。
「エスキーテニスの王子様」として活動する愛生さん。(©明知優子)

現在、広島県内では大学のサークルや社会人チーム、市役所のクラブ活動などでも親しまれ、学生からシニアまで幅広い世代がエスキーテニスを楽しんでいます。

また、日本エスキーテニス連盟では体験会を随時開催。毎週水曜日の夜(19:00〜21:00)には、新牛田公園エスキーテニスコートにて、誰でも参加できる練習会が開かれており、ラケットなどの道具は無料で貸し出しているため、手ぶらで参加できます。初心者には指導員が丁寧に教えてくれるので、初めての方でも安心です。(※事前予約不要、参加費200円/回、雨天中止)

さらに、エスキーテニスを始めたばかりの方向けの初心者大会「ひよこ杯」も開催。小学生からシニアまで、親子ペアでも参加できるなど、気軽に楽しめる環境が整っています。

中国地区エスキーテニス大会の様子。

宇野本:やれば絶対、楽しいと思ってもらえる自信があるので、まずは一度やってみてほしいですね。

初心者でも気軽に始められ、親子や友人同士でも楽しめるエスキーテニス。実際に体験してみると、ラリーが続く楽しさや、思わず夢中になるゲーム性にすっかり引き込まれました。競技を楽しみながら、その背景にある歴史や平和への願いにも触れられるのが、このスポーツならではの魅力です。ぜひ一度、体験会でその面白さを味わってみてください。

日本エスキーテニス連盟 事務局

広島県広島市南区出島2丁目10-18

TEL.082-251-1436 (FAX:082-251-1438)

OPEN.9:00〜18:00

定休.日曜日