「広島RCスピードウェイ きらり」は、安芸高田市にあるラジコンカーのインドアサーキットです。青いカーペットの上に、直線、コーナー、急カーブなどで作られたコースがあります。コース全体を見渡せる2階には、ラジコンカー整備のためのピットスペースも。大手自動車メーカーを早期退職した鈴木哲夫さんが、大好きなラジコンカーと過ごせる第2の人生をスタートさせました。
「広島にラジコンのサーキットってないね」
インドアサーキットを作ったきっかけを教えてください。
鈴木:ラジコンカー好きな仲間達と10年以上前から「広島にラジコンのサーキットってないね」と話していました。一方、会社の早期退職制度に応募できる年齢になったとき、新しい道に挑むチャンスではないのかとセカンドキャリアを模索する中で、「近くにインドアサーキットを作って運営しよう」と決めました。
鈴木:当初は知識もなく、とりあえず物件を探しました。今思えば当然ですが、なかなか理想の場所が見つかりません。半ば途方に暮れていたとき、たまたま入店した不動産屋さんが、こちらの施設の理事長と知り合いだったんです。物件探しを諦めなくて良かった。人とのご縁は本当にありがたいと思いましたね。
ドライバーにもメカニックにもなれるラジコンカーの魅力
現在、「広島RCスピードウェイ きらり」は土日のみの開館ですね。
鈴木:今のところ、土日でそれぞれ5人ぐらいが来てくれます。県内に限らず、遠くは福岡県や静岡県など全国から訪れていただいています。4月に初めて開催したレース「第1回RCきらりGP」は県内在住のお客様ばかりでしたが、約20人が集まりました。
鈴木:レースを開催できることが一人前のサーキットと思っていますが、1回目はレース運営に慣れた人にオーガナイズしていただきました。今後は定期的にレース開催できるよう、僕自身の運営スキルを身に付けたいです。
鈴木さんにとってのラジコンの魅力を教えてください。
鈴木:自分が作ったもので競えることだと思います。ドライバーとメカニック、両方を楽しめるのが一番の魅力ですね。
鈴木:大掛かりに改造する人にとってはレーシングカーデザイナーの気分で物作りを味わうことができる。パーツの仕組みや角度、硬さなどコースによって合うもの、合わないものがあるので、それらを訪れたサーキット場に合わせて整備するテクニックが必要です。
鈴木:車高を変えてコーナーを曲がりやすくしたり、タイヤやバネを変えたり。オイル交換もあり、実車とほぼ同じです。全部自分の思い通りにできるし、車体のカラーリングも楽しいですよ。
子どもたちにラジコンの魅力を伝えたい
「広島RCスピードウェイ きらり」をどんな存在に発展させたいですか?
鈴木:愛好家には、僕のように子どもの頃ラジコン好きだったけど、学校や仕事でしばらく離れて、大人になって子育てが落ち着いたときまたラジコンを始める人が多いです。このサーキット場が、自分の時間ができた人たちの居場所になれたらうれしいです。
鈴木:子どもたちにラジコンカーを通してものづくりの楽しさを体験してもらうことも施設の使命と考えています。近所の子どもたちが気軽に来て、ラジコンカーの魅力を知ることができる場所にもしたいですね。
自分の人生を思い描いたとき、趣味を楽しみながら過ごせることが理想ではないでしょうか。鈴木さんが思い描いた「広島RCスピードウェイ きらり」は、愛好家や周囲のサポートを得てスタートを切りました。ラジコンカーのように加速、減速を繰り返しながらも前に進み、いつか地域に親しまれる場所になってほしいですね。