みんなの憩いの場所「サゴタニ牧農(久保アグリファーム)」は、年間10万人が訪れる人気スポット。新鮮な生乳をふんだんに使った手づくりジェラートや、子どもたちに人気の遊具コーナー、コミュニティースペースもある開かれた牧場です。地域の方々から愛され続ける砂谷牛乳のおいしさを伺ってきました。
おいしい牛乳の代名詞でもある「砂谷牛乳」
サゴタニ牧農さんでは、国内でわずか5%にあたる「低温殺菌のパスチャライズド処理した牛乳」を作られていますが、どんな特徴があるのですか?
久保:パスチャライズド製法は、牛乳の栄養や善玉菌を極力損なわずに殺菌することができます。超高温で熱していないので、殺菌時の熱でカルシウムやたんぱく質の変性が少なく、牛乳が持つ本来の栄養を最大限、身体に取り込むことができるのです。
なるほど、牛乳の殺菌方法でそんなにも違いがあるとはびっくりしました。人気のジェラートや乳製品は「パスチャライズド牛乳」がベースになっているからこそ、おいしいんですね!
久保:私たちは低温殺菌に特化していますが、どちらの殺菌方法も、メリットやデメリットはあり「違いを残しておく」ということが大事だと考えています。
世代を超えて、人と人が交わり心をつなぐシェアスペースで何をする?
地域内外の方がつながっていくシェアスペース「NYU sagotani」は、どのような方がご利用されるのですか?
久保:過去には、幼稚園児さんたちのピクニックでご利用いただきました。その際には、保護者の方と砂谷地区の高齢者の方たちで「シェアキッチンで一緒に料理をしてお弁当を作る」というサプライズもあり、とても楽しんでいただけましたね。
久保:「砂谷地区とのつながり」を大切にしていただける方に、今後もこのシェアスペースをご利用していただきたいです。
「放牧酪農」で人々と自然が共生できる未来を目指す!
2020年4月、新型コロナウイルスが感染拡大した際に、貴重な牛乳が大量に廃棄される危機がありましたが、サゴタニ牧農さんは「医療機関へ牛乳を無償で提供された」という事がとても印象に残っています。
久保:コロナ禍で最前線で戦っている医療従事者の方たちに牛乳を飲んでいただきたくて、自らハンドルを握り配送トラックを走らせました。牛乳のドライブスルー販売の時には、お客様からたくさん応援の言葉をいただき、それをきっかけに皆さんへ恩返しをしたいという思いから、2020年5月に放牧酪農に舵を切ることを決め、10月から放牧地作りを開始しました。そして、2021年12月に「牛の棲む森」というプロジェクトをスタートさせました。
そのプロジェクトとは、具体的にどのような取り組みなのですか?
久保:いま、私たちが目指しているのは放牧地で育てた牛から乳を搾ることです。放牧地に木々を植え、牛が休める木陰をつくり夏の暑さから守ります。育った木の実でクッキーを焼いたり、また100年後には木々を家具にしたいと考えています。
自然の循環を生み出し、さらに活用できる素敵な取り組みですね。
久保:これからの酪農のあり方は、安心安全でおいしい牛乳や新商品を作り続けることだけではなく、この時代において必要とされる役割から考えていくことが大事だと思っています。
牧場に来て「生きてて良かったなぁ」と感じてもらえるような、みんなの牧場を一緒につくっていきたいとお話をされる久保さん。私たちの生活は、自然や生きものから多くの恵みを受けています。面積35ha、マツダスタジアムが7個分という広大な自然のなかで、清々しい空気や風を感じながら味わう砂谷牛乳やジェラートは、まさに「究極の贅沢」。自然の恩恵に感謝の気持ちでいっぱいになりました。