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妖怪で商店街おこし!? ユニークな取り組みにこの人あり!

青木さんと、タカノ橋商店街によく訪れている編集部・藤谷。

大正8年にその歴史が始まったというタカノ橋商店街。妖怪で町おこしをしたりアーケード下でビアガーデンをしたりと、実はこれまでに他ではなかなか見られない独自の商店街活動をしています。学生時代に商店街の店でアルバイトをしていたこともある編集部スタッフが、『鷹の橋食品センター』店主でタカノ橋商店街振興組合の理事も務める青木清英さんのもとを尋ねました。青木さんには、子どもの頃から憧れている、商店街で叶えたい夢もあるそうで…。

現在のタカノ橋商店街の入り口。アーケードは2代目のものが架かっています。

商店街の歩みを振り返る

タカノ橋商店街というと、市内の中でもとにかくディープな雰囲気を持つ商店街、というイメージがあります。
青木:ここは古い商店街でね。原爆が落ちて荒れ野原だったこの辺りに、広島市が昭和21年に公設市場をつくったんですよ。それ以前の大正8年には市場ができて店自体はあったけど、戦後は特にモノがあるところに人は集まってくるから、この通りにさらに人や店が増えて、それから賑やかになっていったんよね。
昭和33年に開催された、広島復興博覧会(通称:広島博)の様子。
青木さんのお店もその頃からあるんですか?
青木:そうですね、うちは両親が公設市場で八百屋を始めたんですよ。私は昭和22年に産まれたから…。
明治40年頃の鷹野橋エリアには橋があったそう。現在橋はないものの、この地域を表す愛称として、橋の名前「鷹野橋」が残っています。
じゃあ青木さん、産まれたときからタカノ橋商店街を見てきたといってもいいくらいですね。
青木:そうかもしれんね。ただ実は、私は八百屋をするのが嫌で30歳くらいまで逃げとったんですよ。でも昭和53年に市場を建て替えるというときに、私がしないなら人に貸すと親がいうので、それならと。当時はサラリーマンよりも自営業の方がいくぶん収入が良かった時代だから、単純な気持ちでね(笑)。
お店を継ぐのを決められたんですね。
青木:建て替え後には『タカノ橋こうせつ』というショッピングセンターのようになって、ますます栄えました。八百屋、魚屋、肉屋、パン屋や酒屋、文房具屋、金物屋…、ここにはほとんどがそろっていましたよ。
昭和57年ごろ(上)と現在(下)の商店街入口。タカノ橋商店街は、中国地方で初めて商店街へのアーケード設置を実現したのだそう。
今ではそのこうせつもなくなって、少し寂しくなっちゃいましたね…。
青木:こうせつが閉鎖したのは2019年だけど、昭和の終わり頃には周辺にスーパーができ始めていたからねぇ。24時間開いているスーパーもあるし、それにお客さんも共働きが増えたりして。商店街がお客さんのニーズに合わなくなったという背景もあり、うちもこうせつから商店街の通り沿いに場所を移したけど、なかなか厳しい時代です。
ただ、こうせつの跡地には数年後にマンションが建つ予定ですよね。これからまた、若い世代も含めて商店街周辺に暮らす人も増えてきますね。
青木:私はここで育ってきたようなものだから、商店街や鷹野橋エリアが元気になるようにまだまだ活動をしていきたいなと思っているんですよ。

タカノ橋、独自路線の商店街おこし

商店街の活動といえば。この鷹野橋エリアには江戸時代にバタバタっていう妖怪がいたらしいですね!
青木:商店街の入り口には、そのバタバタの石があるよ。商店街としてもバタバタで町おこしをしたこともあって、けっこう盛況だったんですよ。
噂のバタバタ石がコレ。妖怪がバタバタと音を立てるところからこの名が付いたようです。
これまでに何度もタカノ橋商店街に来てるのに、バタバタのこと知りませんでした…。私みたいな人、けっこういるんじゃないですかね? ちなみにバタバタで町おこしってどんなことをされたんですか?
青木:漫画家の水木しげるさんを招いて、商店街のアーケード下で「妖怪バタバタ街角フォーラム」を開催しました。妖怪を切り口にした町おこしについてトークしたり、バタバタの話をしてもらったり。
水木しげる先生、タカノ橋商店街にてトーク。
商店街でこんなイベント、すごく楽しそう…!
青木:そのときにね、水木しげるさんが絵を描いてくださったんですよ。これ、原画です。
青木さんの後ろ、さらりと無造作に置かれていた水木しげる先生の原画(貴重)。
原画! すごい‼ めちゃくちゃレアじゃないですか! でもなんかちょっと…、段ボールに隠れてますけど…(笑)。
青木:隠れてますねぇ(笑)。このフォーラムをやって実感したのは、アーケード下を利用したイベントができるっていうことですよね。天候に左右されないし、予定通りに行事ができるのはいいなと思いました。市内でアーケードを持つのはここと本通りくらいだけど、本通りではイベントができないから。タカノ橋商店街の強みはここにもあるなと思ってね。
確かに、イベントをするにあたって天候の影響を受けないのは大きいですね。
古くから開催されて今につながっている、アーケード下を利用したイベント。
青木:それからアーケード下でけっこうイベントをするようになりました。“タカノ”つながりで県北の高野町と一緒にイベントをしたこともあったし、「ひろしま給食まつり」やビアガーデン、「はしご酒まつり」なんかは今でも続いています。給食まつりのときは3,000人とか、アーケード下がいっぱいになるくらいの人が遊びに来てくれるんですよ。
モーニング発祥の店も佇むなど、商店街とともに歴史ある一軒も多いタカノ橋商店街。

商店街と子どもたちの思い出

お~、それはかなり多いですね! イベントの中には、鷹野橋エリアや千田エリアの地域の人々と一緒にやっているものもあるんですか?
青木:千田小学校と一緒にやっているものがあるね。ずいぶん前に、小売店とスーパーの違いを社会科の教科書に入れたいということで小学校の先生が相談に来られたことがあって、商店街として協力したことがあるんです。今でも社会科の教科書には、うちの店のところに女房が載ってるはず(笑)。
それは見てみたい…! ただきっと、かなり昔のお写真、かも?
青木:改訂版になっとるかもしれん(笑)。まあそういうことがきっかけで、毎年11月頃に小学2年生の子どもたちに店で商品の売買を経験してもらう「5の市」を開催したり、毎年8月6日の原爆慰霊祭で原爆のことについて考えてもらったり。
慰霊祭の後には、子どもたちが灯篭をつくって商店街に飾ったりも。
商店街での課外活動みたいなことですね。
青木:あと、僕が小さい頃は商店街のお祭りで大人神輿が出ていたんですよ。威勢が良い感じに僕は憧れとってねぇ。そういう祭りの雰囲気を子どもたちにも体験させてあげたいと思って、まずは子ども神輿を始めたんです。担ぐには重いから、コロで引っ張るという形で。一人じゃ難しくても、みんなで力を合わせればこういうこともできるんよっていうことを伝えられるしね。
いいですね、楽しそう! 子どもたちにとっては良い体験ですよね。学校の近くの商店街でこんなにたくさんのことができるって。
青木:小学校の時にそうして商店街に来てくれた子が、中学生とか高校生になっても覚えてくれてて。会ったら話したり挨拶してくれたりすることもあるから、やっぱりうれしいですねぇ。
子ども神輿で鷹野橋エリアを練り歩く。

大人神輿復活に向けて…

青木:あと、これから大人神輿も復活させたいと思っとるんですよ。そのためには神輿もいるし法被もいるし、どんな準備をしていけばいいんかなと今検討しているところなんです。男女関係なく参加できるようにもしたいし。
それこそ、タカノ橋商店街から「CLiP HIROSHIMA」まで練り歩くっていうのはどうですか!
青木:ルートとかも考えていきたいよね。祭りにしても神輿にしても、僕はみんなに参加してもらいたいと思っとるんですよ。参加することで人と人のつながりができてくる。これに勝るものはないですよ。お互いに助け合って、自分ひとりじゃないよっていう。今の社会はそれが一番必要なんだろうと思うんですよ。
大人神輿が行われていた頃の様子。
昔から祭りの中で人と人の交流が生まれている。
ここ数年は特に、地域とのつながりということを考える人もきっと増えていますしね。それにしても、祭りとか神輿っていうワードを聞くだけで高揚感が…! 祭り好きの血が騒ぎます(笑)。
青木:みんなに楽しんでもらえることをやりたいので、商店街という垣根を越えて「やりたい人この指とまれ!」っていう感じでやってもいいかなと思うとるんですよ。大人も子どもも関係なく顔見知りが増えて、いろんな経験ができる。そういう活動を僕はしたいし、商店街からの発信もその一つになればなぁと。まずは、神輿の復活に向けて準備できればなと思っています。

商店街の歴史からさまざまな活動、大人神輿復活への夢まで、タカノ橋愛とともに語ってくれた青木さん。長く商店街を見つめてきたからこその想いが、言葉の中に数多くありました。妖怪バタバタ石を探しに、食事や買い物をしに、イベントを楽しみに、ぜひ商店街を訪れてみてください。広島CLiP新聞も、商店街と一緒に鷹野橋エリア&千田エリアを盛り上げていきたいと思います!

広島市タカノ橋商店街振興組合 理事

青木 清英さん

『鷹の橋食品センター』の店主でもあり、タカノ橋商店街振興組合の理事も務める。商店街を盛り上げるため、さまざまな活動・取り組みを行う。

タカノ橋商店街

広島市中区大手町5丁目7-27

TEL.082-249-9077(広島市タカノ橋商店街振興組合)

アクセス
広島CLiP新聞編集部(CLiP HIROSHIMA)から車で約5分