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MIMI Voicing Academy 山下瑞紀さん|言葉と共に大切な“声のコミュニケーション”教育に力を

広島市中区銀山町で、コミュニケーションに特化した英語・音楽教室『MIMI Voicing Academy』を開いている山下瑞紀さん。アメリカでピアノ講師やベビーシッターをした経験から、声をつかったコミュニケーションの大切さを学んだといいます。教室を開いたきっかけや今後の思いを山下さんに尋ねました。

物事を伝えるために必要なこと

英語や音楽は子どものころからやっていたんですか?

山下:音楽はピアノを3歳から習い始めました。ピアノの上手な人が教会のオルガニストに選ばれて、毎週教会でパイプオルガンを弾くことができるというシステムがあったんですけど、中学・高校ともにそれに選出されてうれしかった思い出があります。パイプオルガンの迫力にとても感動しました。

幼少期からたくさんピアノに触れてきた山下さん。

すごいですね。その頃から音楽に関わる仕事をしようと考えていたんですか?

山下:そうですね。音楽で心身のサポートをする音楽療法士になりたくて、東京の国立音楽大学に行って学びました。卒業後は英語での子どもの教育を学びたいと思い始めて、アメリカの大学院に入ろうと決断しました。

すごい!本格的に学ぼうと決心されたんですね。

山下:とにかくお金をためるために、実家がある広島に戻ってきて必死に働きました。お金がたまって早速アメリカに行ったんですけど、大学院で勉強したい内容が、日本の大学で学んだことと全く違うから、まずは大学からやり直しって言われて。

えぇ!アメリカに行ってから大学院に行けないことが分かったんですね。

山下:そうなんですよ、かなり焦りましたね。あとどのくらいお金が必要か聞いてみたら、2,000万円って言われて驚きました。

高額すぎる…。

山下:アメリカの州立大学は、州外からの学生の学費は通常の何倍もするのが一般的なんです。私はそんなお金は用意できなかったので、結局大学院は諦めました。その代わり、教育現場で使われている英語とか、よく歌われている英語の歌を学ぶために、自分でアポイントをとってベビーシッターの現場や幼稚園を見学しました。そこからいろいろな家に「ベビーシッター探していませんか?」って自ら声をかけてコネクションをつくったりして。

「アメリカに来たからには、何かできることを」と積極的に行動した山下さん。
ベビーシッター先の子どもたちに着物などの日本文化を教えたりもしました。

飛び込み営業されたんですか!?

山下:そうです。あとは地域の交流掲示板に、ピアノを教えてほしい、ベビーシッターが欲しいという要望が書いてあったら、積極的に手を挙げてやりました。

そういった活動をしていくなかで大変だったことはありますか?

山下:自分は英語が話せると思ってアメリカへ行ったんですけど、全然通用しなくて大変でした。ある日、グラタンをつくろうと思って、大きなアルミの使い捨てケースを買いにスーパーマーケットに行ったんですよ。商品の場所が分からなかったので、レジの女性に聞いたら全然通じなくて。「グラタン」って英語じゃないんだってそこで気付いたり(笑)。

私も留学経験があるんですけど、英語だと思ってた言葉が違ったときすごい焦りますよね。

山下:そうそう(笑)。どうしても欲しいものが伝わらなかったから、家に帰ってアルミホイルで模型をつくってみたんです。それを持ってまたスーパーマーケットに戻って、模型を見せながら「This one! Big!」って訴え続けたらやっと理解してくれて、無事にその商品のある場所に連れていってもらえました。

話して伝わればそれが一番かもしれないけど、それが難しかったときに、言葉以外で伝えられることって大切ですね。そのお話を聞いてなんか私まで嬉しい気持ちになりました。

山下:そのとき、英語を勉強するだけじゃ駄目なんだなって痛感しました。言葉以外の表現方法や愛嬌で乗り切る大切さも感じましたね。

週に一回、アメリカ・シカゴの教会に通い、コミュニケーションを頻繁にとっていました。

保育現場で経験を積み教室をオープン

日本に帰国後、どのような活動をしていたのでしょうか?

山下:30歳で東京に帰ってきて、外国人を相手にベビーシッターや通訳などをしていました。活動を通して、いろいろな方とつながることができたりもして。ある日カナダ人に、カナダでベビーシッターとして住み込みで2年働けば、永住権が取得できるというシステムを教えてもらったんです。これは行くしかないと思って、東京都内でやっていたベビーシッターの経験を生かし、カナダのバンクーバーに行ったんです。

アメリカに続いて、カナダにも行かれたんですね。すごい行動力!

山下:それが全然すごくなくて…(笑)。バンクーバー空港に着いた途端、1人だけ違う部屋に行かされたんですよ。なんかそのときすごく嫌な予感がして。案の定、空港に5時間缶詰状態でした。

えぇ!なにを疑われたんですか?

山下:それが今でも分からなくて(笑)。「なんの嘘をついているのか分からないけど、とにかくきみは限りなく黒に近いグレーだ」「なんで英語が話せるんだ」とか言われちゃって(笑)。結局、1週間だけ入国が許されて、中5日しか滞在できませんでした。

大変だったんですね。無実を証明するって難しい…。

山下:本当にそう思います。カナダでもコミュニケーションの重要性を感じましたね。

予定よりも早くカナダから帰ってきて、その後はどういった活動をされたんですか?

山下:そこから生活を落ち着かせるために広島に帰ってきました。帰ってきてからは、今までやってきたこととは全く関係のない仕事をしていたんですけど、やっぱり子どもに関わる仕事をしたいなと思って保育士の資格を取りました。保育所やインターナショナルスクールで働くうちに、コミュニケーションをうまくとることがむずかしい子どもたちに何人も出会ったんです。それをきっかけに、これまで学んできた音楽や英語をベースにしたコミュニケーションの育成をしたいと思い、2018年に『MIMI Voicing Academy』教室を開きました。

広島市中区銀山町で教室を開いています。
絵本やおもちゃなど、子どもたちが楽しめるような工夫も。
カラフルな椅子で楽しい雰囲気が伝わってくる教室部屋。この部屋に入っただけで、やる気がでそうです。

そういったきっかけで今の教室があるんですね。ここでは英語クラス以外に音楽クラスもやっているんですか?

山下:そうです。幅広い年齢層を対象とした英語、音楽それぞれのコースと、大人向けに英検や保育士試験を受ける人のための単発コースなど、さまざまな形で行っています。

山下さんが今まで培ってきたことをうまく融合させているんですね。

英語と音楽を結び付けて学習を

教室で行われている英語や音楽をベースにしたコミュニケーションというのは、どんなものなんですか?

山下:私は声をつかったコミュニケーションを大切にしていて。編集部の皆さんは3Vの法則ってご存じですか?

3Vの法則…。知らないです。

山下:コミュニケーションは、Verbal(言語)、Visual(見た目)、Vocal(声)という3つのVに分けられます。この3つを合わせて100パーセントだとしたら、それぞれ何パーセントだと思いますか?

「人は見た目が9割」という本を見かけたことがあるので、Visual(見た目)が一番高くて90パーセントかなと思います。

山下:いい読みですね。実はVisual(見た目)が55パーセント、Vocal(声)が38パーセント、Verbal(言語)はコミュニケーションの中ではたったの7パーセントなんですよ。

Verbal(言語)はたったの7パーセントなんですか!?今までそこを中心に勉強してきたような…。

山下:そうなんですよ。日本の学校でやっている英語教育のほとんどがこの7パーセントの部分なんです。コミュニケーションはこの3つで成立しているので、伝えたいことをVerbal(言語)、Visual(見た目)、Vocal(声)すべてをつかって伝えることが非常に大切なんです。また英語はイントネーションやリズムも大切なので、これを音楽と結び付けて学習できるよう、私の教室では「英語と音楽」を重点的に行っています。

すごく深いですね。ぜひMIMI Voicing Academyの教室を体験させてください。

山下:では子ども向け教室のプログラムを体験してもらいます。それでは英単語をリズム化して覚えていきましょう。

子ども向け教室では簡単な英単語から習得していきます。
先生に続いて、私たちも英単語をリピート。リズムにのって発声することが大切なポイントです。
リズムに合わせて発声すると、とても楽しい!自然と声が出て、英単語も頭の中にインプットしやすいです。

山下:英単語をひたすら書いて学習するよりも、このようにリズムに合わせて声をたくさん出していくことで、楽しく学習することができ、相手とのコミュニケーションもとりやすくなります。教室をやっていくなかで、ここは絶対に外せないポイントですね。

体験してみて、英語をちゃんと勉強したくなりました。大人から習い始めても身に付きますか?

山下:身に付きます。ただ英語を学習していくなかで、成果に絶対的に比例しているのが時間ですね。

どれだけ勉強の時間をつくるかが大切になってくるんですね。

山下:そうですね。あとは日々の生活の中で、目に見える物そのものの名称を使わずに、違う言葉を使って英語で表現するという練習も、考え方の幅がどんどん拡がっていいですよ。

なるほど。こういうところから英語になじんでいくともっと勉強したい、話してみたいって思えてきますね。山下さん自身、英語力を高めるために普段していることはありますか?

山下:私は洋楽やラジオを聴いたり、洋画に英語字幕をつけて見たりしています。映画は、日本語で内容をある程度理解した状態で、英語版を見たときに、ここってこんな風に言ってるんだって気付くこともたくさんあって。ひたすら「見て、聴く」を繰り返していますね。

ピアノでリズムを取りながら発音練習をしました。山下さんのレッスンを受けてみたら、編集部 藤安が想像していた以上にネイティブな発音ができてみんなびっくり!笑いが絶えない、充実した時間でした。

教室から「夢」を提供

教室をしていくなかで、感動したことやうれしかったことはありますか?

山下:高校生の生徒さんがこの教室に通うようになって、英語を使ってコミュニケーションをとる仕事をしたいという夢が見つかったって言ってくれたんです。それを聞いたとき、すごく感動して。

それはとってもうれしい出来事ですね。

山下:夢が見つかったという生徒さんのように、ここの教室に通うことで、子どもたちの将来が広がればいいなと思っています。

今後、やってみたいことはありますか?

山下:2021年中に2つやりたいことがあって。まず1つ目は、英語の学童保育を始めようと思っています。子どもたちが英語を学んで、大人たちに教えていく環境をつくっていきたいですね。2つ目は、子どもたちのダンスクラブイベントをやりたいと思っています。例えば80年代がテーマだったら、その時代の格好をしてダンスするとか、楽しそうだなって考えています。

とてもおもしろそうですね!ぜひCLiP HIROSHIMAで一緒にイベントをやりましょう。

5月30日(日)に、子どもたちのダンスクラブイベントがCLiP HIROSHIMAで実現!皆さんで盛り上げていきましょう。

5月30日(日)イベントの詳細はこちらをクリック ⇒ KID’S CLUBBIN’

自分自身の思いを形にするために、留学や資格取得など積極的に行動してきた山下さん。とても気さくで明るく、場の空気をすぐに楽しい雰囲気に変えてくれる山下さんの人柄やコミュニケーション能力は、周りの人の心を動かすと感じました。英語と音楽を楽しく学べるMIMI Voicing Academyで新しい自分に出会ってみませんか。

MIMI Voicing Academy

山下 瑞紀さん

子どものころから音楽を学び、大学卒業後に渡米。アメリカでのピアノ講師やベビーシッター経験を経て、2018年に地元・広島でMIMI Voicing Academyを開校。コミュニケーションに特化した教室として、英語と音楽のレッスンをしている。

MIMI Voicing Academy

広島市中区銀山町16-18-304

アクセス
広島CLiP新聞編集部(CLiP HIROSHIMA)から車で約5分