
白い熊のロゴが目印のキッチンカー『BEAR’S COFFEE(ベアーズコーヒー)』。オーナーの山本大輔さんは、人々がくつろぎ、にぎわい、繋がっていくとき…そっと寄り添うような一杯を届けたいと、様々な場所で自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供しています。
「ご縁でここまで来れた」と振り返る多くの人々との出会い、そしてこれから。人懐っこくて魅力的、思わず応援したくなる…。「昔から人が大好きなんです」と話す山本さんに、一杯のコーヒーに込めた思いを伺いました。
オーナーの山本大輔さん『負けず嫌い』から始まったコーヒーストーリー
山本:中学3年生のとき、親に「ブラック(コーヒー)飲めないんじゃない?」と言われて、負けず嫌いのスイッチが入ったんです(笑)。意地でブラックコーヒーを飲み始めたことがきっかけでした。
大人になってからは会社員として働く傍ら、カフェ巡りを楽しんでいた山本さん。ある日、馴染みのバリスタから「豆を卸してあげるから、自分でやってみな」と声をかけられ、自家焙煎をスタートさせました。
大人になってからは会社員として働く傍ら、カフェ巡りを楽しんでいた山本さん。ある日、馴染みのバリスタから「豆を卸してあげるから、自分でやってみな」と声をかけられ、自家焙煎をスタートさせました。
はじめは趣味の延長でしたが、自家焙煎の奥深さにどんどん夢中になっていったそうです。
山本:焙煎技術は独学で習得しました。とにかく色々と試して、試して。自分の好みにあった豆とか鮮度、焙煎具合、淹れ方など、同じ工程でも若干の違いがあり、それをどうやって安定させるかなど、試行錯誤の日々でした。
豆は厳選された生豆を使用。焙煎後には一晩寝かせて風味を安定させています。BEAR’S COFFEEはいつ立ち上げたのですか?
山本:ひょんなことから私の友人(OKAJIRli)が開催するイベントへ出店の話をいただいて。そこから慌てて店名やロゴを考え、バタバタと2021年の3月に『BEAR’S COFFEE』として初出店しました。
OKAJIRliさんは以前取材させていただきました!どこか山本さんと通じるものを感じます。
山本:彼とは専門学校からの付き合いなんです。彼が会社員を辞め、革製品のアーティストを本業として活躍している姿を見ていてとても刺激を受けました。私もコーヒーの専門店としてやってみたいという思いが強くなり起業を決心しました。私の周りには他にも多才な友人がたくさんいて。なので自分も置いていかれないようにがんばろうと。彼らの存在に引き上げてもらっています。
OKAJIRli(オカジリ)さんの取材記事はこちら
左がOKAJIRli(オカジリ)さん
間借りカフェから広がったご縁、気づけば多くの人が集うコミュニティスペースに
イベント出店での活動をしばらく続けた後、間借りカフェでの営業をスタートさせた山本さん。起業当初は、パン屋やお好み焼き店など、ジャンルを問わず様々な場所にアタックしたそうです。
山本:最初はコーヒーを置いてもらうのが目的だったんですけど、途中から人に会うのが楽しくて、いろんな所へおじゃましました。
間借りカフェでコーヒーを淹れる山本さん。訪れた場所は多方面で、人脈作りの大切な時間となったそう。
たくさんの人との出会いを重ねる中で、「どこにでも行けるカフェ」という形が自然と浮かび、2024年にキッチンカーでの営業を始めました。

BEAR’S COFFEEが提供するのはどんな人でも飲みやすく、コクや苦味がほどよく感じられるオリジナルブレンドのスペシャルティコーヒー。今までは甘味がないと飲めなかったお客様がブラックでも楽しめるようになったと嬉しいエピソードも聞かれます。山本さんがBEAR’S COFFEEで特に大切にしているのがお客様との信頼関係。
山本:山本が売ってるものだから安心して頼めると、新しいイベントを紹介していただいたり、人の輪が広がっていったりと、ありがたい流れが生まれています。遠方のイベント出店にも関わらず、広島市内からコーヒーを飲みに来てくれるお客様もいて驚かされます。ありがたいですよね。だからこそコミュニケーションは大切にしています。
キッチンカーには「山本さんが淹れるコーヒー」を目当てに多くの人々が集まります。
「会いに行きたくなるコーヒー屋さん」でありたい
CLiP HIROSHIMAのお仕事体験イベントにも出店。キッチンカーでのドリンク作り体験は一日で50人以上のお子様が参加しました。
「コーヒー屋なので大人向けではあるんですけど、お子様も楽しめるようなメニュー展開を意識しています。キッチンカーで大人と同じように特別な雰囲気を楽しんでもらえたら」と山本さん。大人たちがコーヒーを手にしたときの柔らかな表情や自然に溢れる笑顔を見て、コーヒーへの憧れも持っているはずと考えます。
山本:期待というよりこちらが楽しませてもらっている感じです。自分でブレンドした世界に一つだけのドリップバッグ作りや、キッチンカーでカフェラテやソフトドリンク、コーヒー作りに挑戦してもらっているんですけど、子ども達が真剣に作っている表情がとても素敵なんです。コーヒーがコミュニケーションツールとなってあたたかい空気が流れていく光景を見るのは至福の時ですね。イベント後のアンケートでは「カフェ屋さんになりたい」という声もあり、これからも継続していこうと思っています。
テイストの違う粉でオリジナルブレンドのドリップバッグを手作り体験。
イラストと文字を書き込んで世界に一つだけのオリジナルドリップバッグが完成。
山本:おかげさまで最近では活動の場が広がっていて、キッチンカーとイベントという風に同日2拠点で出店するケースも増えてきました。忙しくなってきたからこそ、これまでと変わらず、コミュニケーションを大切にしています。コーヒーが飲みたい、だけではなくBEAR`S COFFEEのコーヒーが飲みたい、もっと言えば山本に会いに行きたいと思ってもらえるのが何よりの喜びでありモチベーションですから。
イベント出店はブース・キッチンカー問わず、企業ケータリングにも出向き、活動の場所が広がっています。
2025年、オリジナルキッチンカーを制作するクラウドファンディングにもチャレンジした山本さん。多くの賛同を得て現在キッチンカーを制作中です。「応援してくださるみなさんと一緒に、この夢を形にしていけたら」と期待に胸を膨らませ、「とってもかわいい雰囲気に出来上がってきていますのでお楽しみに!」と微笑む姿には優しさに滲むブレない強さを感じます。
絶賛制作中のキッチンカーをチラ見せ。イベントで見かけるのが楽しみですね。
真新しいキッチンカーで様々な場所へ出向き、もっと多くの人に笑顔溢れる一杯を提供できる日はすぐそこ。ますますパワーアップする山本さんの活動から目が離せません。白い熊のアイコンを見つけたら、ぜひ、至福の一杯を味わってみてはいかがですか?