
潮待ちの港として、美しい海景色と趣きを残した町並みが人気の福山市・鞆の浦。その港や町を象徴する常夜灯を遠く見下ろせる高台に構えられているのが、『阿藻珍味』の本社工場兼体験施設「鯛匠の郷」です。
ここ「鯛匠の郷」ではちくわの手握り体験などができます。そこで今回は、広島CLiP新聞編集部員がその体験に挑戦した様子をレポートします。
体験を通して、鞆の浦の歴史や文化も伝える
海産物を使った練り物などの製造が昔から盛んな鞆の浦。戦後、瀬戸内の海産を使って加工品を作り始めた『阿藻珍味』でも、ちくわをはじめとした練り物や塩辛などの珍味を手掛けています。
この「鯛匠の郷」で体験が始まったのは、なんと30年ほど前。今では社会科見学として地域の小学3年生を中心に毎年1,000人以上が体験に訪れ、週末には広島県や近隣県から一般体験者が多く訪れています。

そう話すのは、自らも福山市で育ったという『阿藻珍味』の川尻さん。食育とともにもう一つ大切にしているのが、地域貢献。この体験では、鞆の浦が「汐待ちの港」と呼ばれる理由や、練り物製造が盛んな背景なども一緒に伝えているといいます。創業から75年以上、鞆の浦とともに歩んできたからこそ、町の歴史や文化、景色を未来へとつなぐための、大切な取り組みになっているそうです。

ちくわ・ふりかけ・手焼きせんべ、3つの体験に挑戦
今回編集部員が体験したのは、ちくわ握り体験と藻塩せんべ手焼き体験、ふりかけ調合体験の3つがセットになった「お得なセット」。受付を済ませたら、まずはちくわ握り体験からスタート!




ちくわの焼き上がりは約20分後。待つ間に、ふりかけ調合と藻塩せんべ手焼きの体験を楽しみます。





3つの体験を終えると、お楽しみの試食タイム。ちくわをひと口食べてみると、皮の弾力と魚のギュッとつまった旨味が広がって、普段食べているものとの違いに驚きます。

鞆の浦の歴史の中で醸成されてきた、地場の海産でつくる練り物文化。「鯛匠の郷」では、体験を通してその歴史や文化を今に伝えています。国内外の食材を自由に選べるようになった現代の食事情において、手づくりできる楽しさとともに“地域の中で育まれてきた食文化を味わう”という豊かさにも改めて気づくことのできるひと時になりました。練り物を味わう機会が増える冬の時期。ぜひ体験を通して地産の美味しさを堪能してみませんか。

