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千田祭|歴史ある学校が支える、中区千田地域のこれから

広島市中区東千田町に校舎を構える広島大学は、前身校時代の75年と、新制広島大学が誕生してからの75年を合わせると、2024年にちょうど150周年を迎えます。そして同じく東千田町にある広島市立千田小学校もなんと2024年で創立100周年。

広島CLiP新聞の編集部も位置する千田地域。かつて広島大学の学部の多くは東千田町のキャンパスにあり、町は学生で賑わっていました。その後東広島キャンパスに移転統合しましたが、2023年に法学部が再び東千田町のキャンパスに帰ってきました。

若者の賑わいが戻り始めた今、この地域を長きにわたり支えてきた両校がちょうど節目の年を迎えることを記念して、連携企画に取り組んでいます。企画の成果は、2024年10月26日に学生が中心となって開催される大学と地域が連携した「千田祭」で披露されるということで、広島大学地域連携部の片岡さんと千田小学校PTA会長の佐々木さんに、千田祭の準備の様子や地域連携への思いを伺いました。

「千田祭」で大学生×小学生の連携企画

広島大学の75+75周年と千田小学校の100周年を記念し、両校の連携企画が行われています。大学生と小学生が共同でアート制作とダンス交流を行っており、その成果は、10月26日に広島大学東千田キャンパスと東千田公園で開催される「千田祭」で発表されます。

1つ目のペットボトルキャップアート制作は、法学部の大学生有志と小学校の児童全員が参加し、ペットボトルキャップを並べて1m×3mの大きな絵を作ります。完成品は10月26日の千田祭や小学校の周年記念式典で公開されます。どんな絵が完成するのか楽しみです。

2つ目は、大学のダンスサークルと小学校の授業の一環で取り組むダンスクラブの皆さんによるダンスステージです。大学生と小学生合わせて50人を越えるパフォーマンスに期待が高まります。練習は6月頃から月に一度、大学生の皆さんが小学校に赴いて練習を重ね、現在では毎週土曜日に大学の体育館で汗を流しているそうです。パフォーマンスは千田祭の特設ステージで披露されます。

千田通りから東千田公園の並木道をまっすぐ進んだ右手の場所にステージが設置されます。ステージでは地域の方の音楽ステージもあります。

今年は特に盛大に開催される千田祭。大学生と小学生が時間をかけて一緒に取り組んだ成果を見るのが待ち遠しいですね。次に、広島大学地域連携部の片岡さんと千田小学校PTA会長の佐々木さんに、学校と地域のかかわりについて伺いました。

千田地域の人々に交流の場を

広島大学東千田キャンパスでは様々な地域貢献活動に取り組まれているそうですが、千田地域に対して取り組んでいることはありますか。
片岡:最近だと、2023年に多目的スペース「SENDA LAB.」を大学内に開設しました。法学部が東千田キャンパスに移転したことを契機に新設され、大学関係者だけでなく地域の団体や自治会などの人々も利用することができます。実際に千田通り商店街の皆様や町内会の皆様などに、地域の方々の交流の場として活用していただいています。
広島大学の地域連携部として東千田キャンパスに勤める片岡さんは、「SENDA LAB.」の運営・管理を担当しています。
片岡:ここは防災の拠点としても活用されています。防災に関する大学の研究や知識を地域に還元するため、7月には千田地域の住民の方を対象とした防災セミナーを開催しました。
「SENDA LAB.」で開催された防災セミナーの様子。千田祭での連携企画もここで行われた地域交流会をきっかけに企画が立ち上がったそう。
役立つ知識を教えてくれる機関があるというのは、地域の方にとっても心強いことだと思います。次に、千田小学校PTA会長の佐々木さんから見て、千田地域はどんな地域ですか。
佐々木:この地域の皆さんは、千田地域に思い入れを持って暮らしている方が多くて、町内の結束も強くイベントの参加率も高いんですよ。さらに千田小学校は広島市中区で一番児童数が多い小学校なので、世代関係なく活気のある地域だと言えると思います。
千田小学校PTA会長を3年務める佐々木さん。
佐々木:ただPTAの取り組みとしては、共働きなどが理由でPTA活動が負担になってしまうご家庭が増え、地域を盛り上げていくための活動が難しくなっているという課題がありました。そのため近年はPTA参加を持ち回りではなくボランティア制に切り替え、できるだけ負担なく楽しく参加してもらえるよう工夫しています。PTAの運営だけでなく、地域の活気を生む場でもある楽しいイベントがなくなってしまうのはもったいないですからね。

安心して楽しく暮らせる地域づくり

将来の千田地域にとって大切なことは何だと思いますか。
佐々木:地域内でのコミュニケーションを活発にしていくことが大切だと思っています。どの地域もそうだと思いますが、昔から住んでいる高齢世代と若い世代の価値観のすれ違いはやっぱりあります。ですが、お互いが歩み寄り、災害など有事の際に助け合える環境を整えていきたいです。
片岡:大学では、法学部の学生が主体となって行う新入生オリエンテーションで千田地域の商店街を周ったり、地域のイベントに学生が参加したりするなど、学生主導で地元の人々との交流が生まれ始めています。かつて東千田町のキャンパスにたくさんの学生が通っていた頃は、学生が地域行事に参加することも多かったようで、地域の人々と学生との交流は今より盛んだったそうです。それを知る地元の人がいるうちに、若い世代と地域との繋がりを強めていければと思います。
2023年10月には、学生と千田通商店街の方との交流会が開催されました。学生による演奏会や地域に関するクイズ大会を通して、地元の方との交流が深まりました。
片岡:また大学だけで取り組むのではなく、今回の千田小学校との連携のように、他の専門学校の学生や企業も巻き込んだ町づくりも大切だと考えています。
佐々木:千田小学校では、地元企業にご協力いただき、地域の歴史を学ぶ授業や施設の見学などを行っていただいています。地域のことを知り、大人になっても地元の良い思い出として残るような体験をさせてあげたいと思っています。
2024年9月、千田小学校の全校生徒が参加した「エディオンピースウイング広島」見学会の様子。

有事から人々を守るために、誰もが思いやりをもって暮らすことができる地域にするために大切なのは、人と人との繋がりづくり。広島大学東千田キャンパスと千田小学校は、学生や児童が学ぶ場所というだけでなく、知識や人との繋がりを通して町の暮らしを支えています。千田祭で発表される連携企画の成果、そして幅広い世代が作り上げていく千田地域のこれからが楽しみです。

千田祭 2024

日時:2024年10月26日(土) 10:00〜18:00
場所:広島大学東千田キャンパス・東千田公園

広島市立千田小学校創立100周年記念式典

日時:2024年10月27日(日)9:00~10:15
場所:広島市立千田小学校体育館

広島大学 東千田キャンパス

広島市中区東千田町1丁目1-89

アクセス
広島電鉄・日赤病院前駅より徒歩約2分

広島市立千田小学校

広島市中区東千田町2丁目1-34

アクセス
広島電鉄・日赤病院前駅より徒歩約6分