広島中の+(プラス)体験を集めるWebマガジン 広島CLiP新聞 広島CLiP新聞

公式SNS 広島の耳寄り情報配信中!

Re:ADY B(レディビー)|着物や帯をアップサイクル!
広島発エシカルファッションブランド

日本の家庭で、タンスの奥に眠る着物や帯。美しい柄や繊細な織りが施されたものでも、現代では着る機会が少なくなり、そのまま使われずに保管されたり、やむを得ず処分されてしまうことも少なくありません。そうした着物や帯に新たな価値を与え、バッグやアクセサリーとして生まれ変わらせているのが、広島発のエシカルファッションブランド『Re:ADY B(レディビー)』です。

同ブランドは、着物の廃棄問題に加え、福祉施設との協働による就労支援や、ライフステージに左右されない働き方、伝統文化の継承といった社会課題にも向き合っています。その背景には、「誰もが自分らしく働ける社会をつくりたい」という思いがあります。

今回は『Re:ADY B』を手がける野田さんに、ブランド誕生のきっかけや、ものづくりに込めた思いについてお話を伺いました。

『Re:ADY B』代表・野田さん。

ブランド誕生の背景にあった「働くこと」への思い

『Re:ADY B』というブランドが誕生したきっかけを教えてください。
野田:もともとフリーランスとして働いていましたが、結婚や出産をきっかけに仕事を失い、社会との関わりがなくなってしまった時期がありました。その後、自宅でできるアクセサリー制作を始めたことが、再び社会とつながるきっかけになりました。この経験から、個人の事情に関係なく、誰もがやりがいを持って働ける場所をつくりたいと考えるようになりました。
寺院や神輿に使われる、金メッキ仕上げの装飾用金具で作られたアクセサリー。
野田:出産や介護など、さまざまな事情を抱える方がキャリアをあきらめるのではなく、むしろ前に進めるような場をつくりたいという思いが強くなり、ブランドを立ち上げました。

その中で出会ったのが、使われずに眠る着物でした。知人が亡くなった際に大量の着物を譲り受ける機会があり、一軒の家にこれほど多くの着物や帯があることに驚いたんです。『こんなに美しいのに、このまま使われないのはもったいない』と感じて、『これを服にできないか』と考えたことがきっかけでした。

野田:さらに福祉施設との出会いも大きな転機でした。高い縫製技術がある一方で、就労継続支援B型事業所の工賃が低い現状を知り、その状況は女性の働き方の課題とも重なると感じました。そこで『Re:ADY B』では、福祉施設と協働しながら製品をつくる仕組みを取り入れました。ものづくりを通じて、誰もが適正に評価される環境をつくっていきたいと考えています。

伝統素材を生かした、シンプルで日常的なデザイン

着物に使われている生地は、もともと高品質な素材でつくられているものが多く、柄や織りには日本の伝統的な技術が凝縮されています。『Re:ADY B』では、そうした素材の魅力を損なうことなく、現代の暮らしに寄り添うバッグやアクセサリーへと再構築しています。

着物や帯の金糸・銀糸を閉じ込めた、一点もののアクセサリー。和装にも普段使いにもなじむ、透明感のあるデザインです。

プロダクトのデザインは野田さん自身が手がけており、いずれもシンプルなフォルムが特徴です。あえて装飾を抑えることで、着物や帯が持つ本来の美しさを引き立てています。帯は特にデザインのバリエーションが豊富で、同じ柄に出合うことはほとんどないといいます。

野田:一番多いときは700本以上の着物や帯がありましたが、同じ柄はほぼありませんでした。そのため、あえてプロダクトの種類は増やさず、同じ形のバッグでも柄の違いを楽しめるようにしています。また、デザインでは、なるべく生地を切らないことも大切にしています。帯の幅をそのまま生かすことで、素材の美しさを最大限に引き出すことができるからです。

着物として着るにはハードルが高い生地でも、バッグや小物としてなら自然に取り入れることができ、日々の中で無理なく使い続けることができます。こうしたアイテムは、海外から訪れる人々にも人気を集めており、広島城などで販売されるバッグは、日本文化を感じられるお土産として選ばれているそうです。

着物の帯を使用したカードケース。
野田:一点一点柄が異なるので、世界にひとつだけのものとして選んでいただけるのも魅力だと思います。日本ならではの素材やデザインを、身近なかたちで楽しんでもらえたらうれしいですね。

広島仏壇とのコラボレーションバッグや、オーダースーツも

『Re:ADY B』では、伝統文化の継承にも取り組んでいます。そのひとつが、日本の伝統的工芸品に指定されている「広島仏壇」の彫金技術を取り入れた帯バッグ「MIKOSHI Series ハンドバッグ」です。

このシリーズでは、手彫りの技術を受け継ぐ職人・吉田氏が金具の製作を担当。一点一点手作業で仕上げられた金具は、繊細さと重厚感をあわせ持ち、帯の美しさをより引き立てています。伝統技術と現代デザインが組み合わさった、存在感のあるコレクションです。

吉田佛檀金具製作所 吉田州伸さんの記事はこちら

金具に施された唐草模様には、繁栄や守りといった意味が込められているといいます。

また、着物をアップサイクルしたセミオーダーのスーツ「KIMONO SUIT」も展開。これまで着る機会の少なかった思い出の着物が、現代のビジネスシーンで活躍する一着としてよみがえります。上下のセットアップは、男性用着物や落ち着いた柄ほど上品に映えるのも特徴です。

今後はこうした取り組みをさらに広げながら、国内外への発信にも力を入れていく予定だといいます。将来的には、パリコレクションへの挑戦も視野に入れていると、力強く語ってくれました。

タンスの奥に眠っていた着物や帯に、新たな命を吹き込む『Re:ADY B』。その背景には、環境への配慮に加え、福祉や働き方、伝統文化の継承といったさまざまな視点があります。プロダクトはファッションとして楽しめるだけでなく、背景にあるストーリーも感じられるのが魅力です。着物の新たな可能性を感じさせるブランドとして、これからの展開にも注目が集まりそうです。

Re:ADY B 代表

Karin Noda

2012年より、gallery「18帖の空間。mosaic」企画・運営や、 「西条酒蔵芸術祭→ConnecT←」の運営統括などを務める。 2018年にアクセサリーブランド「Spancall88」を立ち上げ、 2020年に広島市横川商店街に「よこがわギルド」をOPEN。2021年に株式会社瀬戸内ミライデザイン 代表取締役に就任し、2024年12月に、アパレルとアート分野の経験を活かしたエシカルファッションブランド「Re:ADY B」を新規事業としてローンチ。プロダクトデザイン・プロトタイプ制作や、企業や事業所との連携を推進しながら、ブランディング全般を行う。

Re:ADY B

広島市西区横川町2-4-15

TEL.090-4806-5727

アクセス
広島電鉄・横川駅より徒歩4分