三次市に、規格外のピオーネなど地元の農産物を使ってクラフトビールを造るマイクロブルワリーがあるとのうわさを聞きつけた広島CLiP 新聞編集部員。三次市三良坂ICからのどかな田園風景の中、車を走らせること数分。笑顔で出迎えてくれた『HIROSHIMA NOH BREWERY』(ヒロシマノウブルワリー)の醸造長・岡田アントニールイスさんに、クラフト“農”ビールについて教えていただきました。
規格外の農産物から生まれるクラフト“農”ビール
なぜ三次市でクラフトビールの醸造を始めようと思ったのですか?
岡田:2014年から三次市の地域おこし協力隊として、農業に携わる活動をしていました。野菜や果物を栽培しながら、青汁やジャムといった加工品を作って販売していたのですが、通年で販売できる商品を作りたいと考えていたところ、「クラフトビールならいろんな種類の農産物を使えるね」という妻の思いつきに僕が飛びついて、それから2年後の2022年に醸造所を開所しました。
すごいスピード感ですね!『HIROSHIMA NOH BREWERY』のビールの特徴を教えてください。
岡田:副原料に地元の新鮮野菜や果物を使っていることです。農作物を育てていると規格外って絶対出るんです。地域おこし協力隊の活動を通じて、規格外の農作物の処理に困っている農家さんが多いことも知っていたので、そうした社会課題を解決したいという思いもありました。実際、最近は「これをビールに使えないか」と相談をいただく機会も増えています。
岡田:現在商品化したものは21種類。そのうち、通年販売しているレギュラーは6種類です。でも試したレシピは多分100種類はあります。レギュラーの6種類のビールは本当にしのぎを削った6種なんです(笑)
岡田:「Hazy Pione」や「Pione Ale」で使うピオーネは、三次ワイナリーさんから規格外のピオーネを分けてもらっています。ぶどうは皮を使うと渋みが出てしまうので実を使っているんですよ。
「Hazy Pione」と「Pione Ale」をいただきましたが、フルーティな味わいとピオーネの香りがふわっと口の中に広がって、ビール初心者の方や女性にもぴったりだと思いました!
醸造家が教える!クラフト“農”ビールの飲み方
岡田: レギュラーの6種類の中で一番人気があるのはスタウト(※)の「Caramel Honey Stout」です。チョコレートとか、デミグラスソースを使うような甘味のある料理との相性が抜群です。
(※)スタウト:濃厚で苦みが強い、黒ビールの一種。
チョコレートとビールの組み合わせとは斬新ですね!他にもおすすめのペアリングはありますか?
岡田:うちで栽培・加工しているヤーコン茶をたっぷり入れた「CHA IPA」は、お茶の香ばしさが唐揚げなどの肉料理によく合いますし、ピオーネを使った「Hazy Pione」や「Pione Ale」はぶどうのフルーティーな香りが魚料理と合いますね。もち麦入りの「Mochimugi GOLD」はビールの王道的な味わいで、いわゆる居酒屋メニューならなんでも合うと思います。
聞いているだけでお腹が空いてきます(笑)。それにしても、どのビールも味をイメージしやすいネーミングが印象的です。
岡田:それは僕の前職での経験が役に立っているかもしれません。「IPA」とか「エール」とか、いわゆるビールスタイルを名前にするとクラフトビールに馴染みのない人は、どんな味なのかわかりにくいですよね。だから僕は中身に入っている食材を名前に入れて、味をイメージしやすいネーミングを心がけています。
目指すは世界一のクラフトビール
『HIROSHIMA NOH BREWERY』のビールはどこで飲むことができますか?
岡田:広島市内の飲食店にも置かせていただいているのですが、実は去年(2023年)、三次市役所の前に鉄板焼きの店「HIROSHIMA NOH BEER こっちゃん」をオープンしました。そこはうちのクラフトビールの全種類を飲んでいただけますし、生樽クラフトビールもありますよ。
わあ、いいですね!ぜひ伺いたいです!では最後に岡田さんの今後の目標を教えてください。
岡田:クラフトビールの世界大会に出品して一位を獲ることです。世界で開催される大会はビールのスタイル別に上位3位を選ぶ相対評価なので、その中で1位になれば世界1位と言えるんです。世界大会で1位を獲得して、「うちのビールは世界一です!」と言えるようになりたいです。
取材の帰り際、「HIROSHIMA NOH BREWERY」の敷地内に「けんとのはたけ」という可愛い看板を見つけました。最近、畑仕事に興味を持つようになった長男のけんと君の畑なのだと聞き、頬が緩みました。
仲良し岡田一家がのびのびと暮らす自然豊かな環境で丁寧に造られるクラフト“農”ビール。皆様もぜひ味わってみてくださいね。