食後の一杯やリラックスしたいときなど日常のさまざまなシーンで淹れるコーヒーは、自分好みの味わいにしたいもの。広島市西区にあるMOUNT COFFEE(マウントコーヒー)」の店主・山本昇平さんに、おいしい淹れ方を教わりました。
浅煎りと深煎りの違いを知って自分好みの味わいに
店内のディスプレイがとってもかっこいいですね。コーヒー豆は何種類ぐらい取り扱っているのですか?
山本:シングルオリジンコーヒー(※)が8種類とブレンドが6種類です。ブレンドは、朝食、昼食、夕食後などそれぞれの時間に味わいたいコーヒーをイメージして焙煎しています。
(※)・・・産地ごと、生産者ごとに細かくロットを分けたコーヒーのこと。
こちらで買ったコーヒーを自宅でおいしく飲むコツを教えてください。
山本:浅煎りと深煎りの違いを知っているだけでも違いますよ。浅煎りはコーヒーの色が薄いので味が薄く抽出されたように感じますが、実は浅煎りの方が濃く出るんです。
山本:逆に、深煎りの豆は焙煎で水分を飛ばしているからスカスカの状態。濃く淹れないと、薄いお茶のようになってしまいます。いつも深煎りを飲む人が浅煎りを淹れると濃くなりがちですね。
山本:「深煎りだから多めにしよう」「浅煎りだから少しでいいんだ」と、自分なりに理解できてくると、おいしく作れるようになるはずです。
店主直伝!上手なコーヒーの淹れ方
山本:豆を蒸らすお湯の量は多過ぎても少な過ぎてもだめ。何回かに分けて注ぎますが、私の場合、最初のお湯は豆の表面をちゃんと濡らすけど、まだコーヒーがサーバーに落ちてこない程度というのを基準にしています。
山本:2回目に注ぐときはゆっくり。フィルターにお湯が掛からないよう、中心部に注いでいきます。
山本:サーバーに、作りたい量の半分までじっくりと濃く淹れたら残りはそれを薄めるイメージで素早く。最後はフィルターを外したいところで取ります。
作ったコーヒーが濃いなら薄めて、薄いなら次は濃く淹れるという、自分なりの基準を作っていくんですね。
店舗から広げる人とのつながり
数年前、お店で取り扱うコーヒーの産地に足を運ばれていましたね。
山本:買い付けではなく、どういう人たちがどういうふうにコーヒーを作っているのか知りたくて。初めて向かった場所はグアテマラでした。
山本:コーヒー農園主と、そこで働くインディヘナという人たちの関係には、雇用主と作業者の間で乗り越えられない壁がある気がしました。けれど、現地の人にとってはそれが良くも悪くもない普通の社会。日本にいると分からないことでしたね。
山本:壁がある中での彼らの関係性、会話の空気感などを目の当たりにした経験が、帰国後のコーヒー作りにも影響しています。
インスタグラムやイベントでも現地のことを紹介されていました。
山本:豆をただ売るだけではなく、僕が海外の産地で感じて良かったことを、コーヒーと一緒に消費者へ伝えたいと思っています。そして、これからは逆に日本でコーヒーを飲んでいる人たちのことを産地の人に届けるのが面白そうだなと。どうすればいいかまだ模索中です。
フリーペーパー「YAMABON」は昨年12月にvol.7が出ましたね。
山本:自分たちが興味のある人から聞いた話を発信することで、MOUNT COFFEEが扱う商品、取り組む姿勢みたいなことを伝えていけると思っています。今後は、年に2回ほど作っていきたいです。
山本:今やっているいろいろな活動も、高須商店街にあるこのお店が拠点。海外に行ったりイベントに出たりしてもMOUNT COFFEEに戻ってきて、産地のことやコーヒーでつながった人たちのことをお客様に届けていきたいですね。
「コーヒーってすごいんです」と話す山本さん。異国の文化に触れたり、消費者や産地の人はもちろん、異業種の人と話ができたり。コーヒーは人とのつながりを生み、活動の幅を広げてくれます。山本さんのお話は、誰にでもその可能性があることを感じさせてくれました。そんな未来にワクワクしながら、教わった淹れ方でおいしいコーヒーを飲みましょうか。