皆さんは、毎日着る服をどのように選んでいますか? 好きなもの、TPOに合わせて、仕事であれば制服を着ることもあると思います。どんなシーンであれ、自分に似合うものを身に付けられたら気分が上がり、1日を気持ちよく過ごせる。そんな服が持つチカラに着目し、一人ひとりに似合うデザインを提案する女性3人のチーム「makika」に、その想いや服を通して伝えたいことを尋ねました。
制服も、自分に似合うように着ていい
makika結成のきっかけはどのようなところからだったのですか?
徳永:かなえさんが営む島根県三瓶のカフェ『ドマカフェ』に来たことがきっかけです。一緒に来た友人たちと私で三瓶エリアを盛り上げるために何かできたらいいねという話をしていたんですが、そこにかなえさんも入ることになったんです。
いわたに:私はカフェをしながら服づくりの仕事をしていました。真紀さんのイメージコンサルタントの活動と私の服づくりの技術、それぞれを生かしてチームとして活動してはと熱く提案してくれたのがりえさんだったよね。
小谷:その人の似合うデザインが分かって、服をつくることもできる。「この2人、最強のコンビになれるじゃん!」とずっと考えていたんですよ。それで何回か2人にそれを伝えていたんですけど…。
徳永:最初は私もかなえさんもピンときていなくて(笑)。それでもりえさんが「やろう! 動こう!」と熱心に誘ってくれて、それならとチームで動き始めたんだよね。
3人がそれぞれ違うタイプだからこそ、チームとしてバランスが取れるのかもしれないですね(笑)。これまでに「似合わせデザインチーム」としてどんな活動をされてきたんですか?
徳永:活動の基本は、その人に似合う服を私が診断し、その似合う服をかなえさんがつくるということですね。最初は、鍵盤奏者ユニットの舞台衣装を制作しました。
小谷:ピアノやエレクトーンなどの鍵盤楽器を演奏するので、鍵盤の白と黒をテーマにしたんですよね。
徳永:ユニットの2人のパーソナルデザインが、グレースタイプとロマンスタイプと異なるので、それぞれに似合う形とユニットとしての統一感、演奏するとき足さばきも良いように…と、ニーズや見た目をマッチさせながら、細部まで工夫して似合うデザインを考えていきました。
いわたに:大人向けの公演も子ども向けの公演も両方あるので、3パターンくらい着方をアレンジできるように考えたんですよね。袖の付け替えができるようにしたりもして。
アーティストにとっては、衣装ってまさに一番輝ける場所で着るものだから、それが自分に似合っているんなら自信になりますよね。
徳永:そうですね。アーティストに限らず仕事の場で着る服という意味では、制服も近いと思います。ジェラート店のターバンをプロデュースしたときは、オーナーさんにもスタッフさんにも似合うものをということで、巻き方でアレンジできるものを制作しました。
いわたに:ターバンの形自体は同じでも、リボンを前でも後ろでも結べるようにして、それぞれ個性で遊びのあるものにしたんです。
制服って自由度がないイメージがありますけど、ある程度自分の好みや似合う形を選択できるなら着る側も気分が上がりそう!
徳永:本当にそうなんですよ。ジェラート店のオーナーさんは、従業員さんが働く際に少しでも気持ち良く、テンションが上がるようにという視点を制服に対しても大切に考えてくれていて。
いわたに:makikaとしては、たとえ制服であっても普段着であっても、似合う服が気持ちに良い影響を与えるということをもっと伝えていきたいと考えています。
小谷:2人が細部まで妥協せずにつくっていくので、本当にその人に似合うものを提供できるのがこのチームの強みですね。
服が人や社会に与える印象を考える
makikaでは、企業やお店からの依頼で0から似合わせデザインを考えていくことが多いんですか?
いわたに:0から考えていくものもあれば、すでにある服を一人ひとりの似合うデザインに直すという提案をすることもあります。広島のブライダル会社では、ウエディングプランナーさんの制服の形を直しました。
小谷:例えば袖丈を5㎜詰めるとか衿の形を変えるとか、一人ひとり細かく調整していくんです。近所のリフォーム屋さんでは対応できないくらいの細かさですよ。
いわたに:たまたまなんですけど、プランナーさんの制服が袖口に特徴のあるジャケットだったので、袖丈の調整も単純に袖を詰めることができなくて。肩で詰めることは珍しいんですが、そのときは肩で調整して少し大変でした(笑)。
徳永:そのちょっとのお直しで、その人個人のオーラがだいぶん変わるんですよ! 会社とはいえ人で仕事をしているので、制服が人の印象をどんな風に伝えるのかということを私たちも改めて考えるきっかけになりました。
ブライダルは特に、お客さんとプランナーさんとの信頼関係が大きいですしね。良い関係を築くためや安心感を持ってもらうための一つの要素として、服も含めて本人から醸し出される雰囲気は確かに重要だと思います。
徳永:仕事は人と人との信頼関係のうえに成り立つものなので、服の似合わせデザインでそのお手伝いをしていくことがmakikaのできることだと思っています。
編集部の男性陣、プチ診断体験
私は以前、真紀さんにイメージコンサルティングをしてもらったことがあるので、自分に似合う色や形を選ぶと何がどう変わるのか、身をもって体感しました。私の場合は、ベージュを顔周りにもってくると途端に顔色が悪く見えるんですよね…。
徳永:そうですね、ブルーベースだから黄みの強いベージュは似合いづらいとされている色ですね。
そういった似合う似合わないは、女性だけではなく男性にもあるんですか?
徳永:男性も女性も関係なくあるんですよ。男性なら、シャツやネクタイの色を変えると変化が分かりやすいかもしれません。
せっかくなので、編集部の男性陣がどうなのか、少し見てもらうことってできますか…?
徳永:もちろんです! ただ正確な診断は色布を使って行うので、今日はここで確認できるポイントだけ見てみますね。
小谷:そうなんですよ、嬉しそうにしているのを見るのが私も好きで(笑)。
徳永:男性も女性も、特に顔周りは似合う色を選ぶと顔色がよくなってイキイキとして見えるし、少し形を変えるだけでもぐんと印象が良くなるんですよ。
小谷:私はどちらかというとファッションが苦手だったので、似合う色や形が分かってから服に対する自分のモチベーションが上がって楽しくなりました。他の人にもそういう気持ちや変化を体感してもらいたいと思っているんです。
いわたに:個人レベルで服に興味のある方やファッションを苦手に思う方にも、似合わせの魅力を伝えていきたいですね。
似合せデザインで気持ちをちょっと豊かに
似合う色や形を知ることで自分を知ることにつながるし、似合う服を味方につけることで自分の気持ちが豊かになるのはいいですね。
小谷:そうですよね。似合う仕事服を着れば自信が持てるし、きっとパフォーマンスにもつながってくると思うんですよ。
いわたに:プライベートの場合でも、服を着る本人が自分自身を認める力になればいいなと考えていて。
徳永:似合う服を着ていると、自分が心地よくいれますよね。仕事も日々の暮らしもより前向きに自分らしく過ごすための方法の一つとして、makikaでは世の中に似合わせデザインを伝えていきたいと思っています。
「衣食住」という言葉があるように、人の暮らしに欠かせない要素の一つである服。思っている以上に、服はそのときの自分の気分を左右し、人からの印象も左右させます。どういう服を選べばいいのか、手持ちの服をどのように着れば似合うのか…。「服は自分の本質を伝えるために最高のアシストをするもの」と3人は話します。どんなシーンでも自分らしくいられる、自信の持てる服について改めて考えてみると、自身のまだ見ぬ可能性に出合えるかもしれません。