「家具は人生で何回買うと思いますか?」ファーニチャーショップFURN&coオーナーで家具コーディネーター、末好宏紀さんからの質問で始まった取材。思考を巡らせてみると、ダイニングテーブル、カップボード、ソファ、ベッドなど、いわゆる大型家具の購入回数は、多くの人が1〜2回程度ではないでしょうか。人生の中で、家具を買うことが意外と少ないことに気づきます。
理想は「家具に詳しい友だち」
家具コーディネーターとは、どのような職業でしょうか?
末好:人生で家具の購入回数は多い人で3回ぐらいです。そこから分かるように、「家具を買う」行為を経験している人は少ない。僕は、インテリアショップで働いていたときの経験と知識を生かし、お客様の家具選びをサポートしています。
確かに、家具を買うことって意外と少ないですね。
末好:洋服を買う行為に例えると、雑誌に載っていたハイカットスニーカーを気に入って手に入れても、いざ自分が履くと違和感を感じることがあります。雑誌のファッションは全身のトータルバランスが良いからかっこよく見えるのです。洋服だと何回もその経験をしてコーディネート感覚を養っていきますが、家具はそうはいきません。
インテリアもトータルバランスが大切なんですね。
末好:商品を選ぶことと空間を選ぶことは違います。客観的に判断し、トータルバランスを考えた買い方をできる人は多くありません。それもそのはず、ほとんどの人は経験がないのです。
インテリアコーディネーターとの違いはどんなところでしょうか?
末好:僕の解釈では、インテリアコーディネーターは広い範囲で家の内装を決めるディレクターという感じです。壁紙、床材、カーテンなどのほか、家具も取り扱うかもしれません。僕の場合はその家具の分野に特化したコーディネーターです。
家具は数多くあるので商品知識が豊富に必要ですね。
末好:僕は国内外問わず、ハイエンドからローエンドまで、たくさんの家具メーカーの商品を網羅しています。理想はお客様にとって“家具に詳しい友だち“になることです。「これどう思う?」って、家具について何でも聞くことのできる人が身近にいたらうれしいですよね。
お客様には個性派俳優よりカメレオン俳優
お客様にご提案するとき心掛けていることはどんなことでしょうか?
末好:お客様の立場になり切り、自分の好きなものを押し付けることはしません。個性派俳優よりカメレオン俳優という感じで、案件に合わせた立場に変化できる方がよりいい提案ができると思うんです。
知識が豊富だからこそ相手に合わせて自在に変化できるのですね。
末好:コーディネート術で惹きつける魅力は僕にはなく、誰もができることをやっていると思います。ただ、自分の知識と経験を生かし、あらゆる人に寄り添ったものを提案することを大切にしています。
これまでコーディネートを手掛けた部屋に住んでいる人はどんな暮らしをしていると思いますか?
末好:皆さん、インテリアへの意識レベルがとても高くなっているんです。家具でかっこいい空間ができて、次は部屋に合う時計や花瓶など「今度買う予定なんだけど、どんなのがいいと思う?」と、家具以外のこともいろいろ質問をいただくのでうれしいですね。
存在が当たり前になるように
今後の目標を教えてください。
末好:三年後に独立した自分たちのお店を持つことです。今はその助走期間と考えて、ファンになってくれる人を増やしたいですね。これまでのお客様やスタッフのためにも存在し続けられるよう今後も挑戦していきます。
仕事や学校から帰ってきて食事をするテーブル、ゆっくりくつろぐソファ、安眠するためのベッド…。一日の疲れを癒やし、リフレッシュする時間と空間には家具の存在が不可欠です。末好さんは家具選びを通して、依頼主の充実した毎日への第一歩を担っているのかもしれません。
株式会社FAH 代表取締役
末好 宏紀
広島修道大学卒業後、ワーキングホリデーでカナダ・バンクーバーへ。帰国後、2008年に株式会社フォー・アンツに入社し、ACTUS広島店に勤務。店長や取締役を担い、2020年に独立。株式会社FAHを立ち上げ現職に就く。
FURN &CO.(ファルン アンド コー)
広島県広島市西区観音新町4丁目14−35 マリーナホップ内
TEL.082-208-1204
OPEN.平日10:00〜17:00、土日祝10:00〜18:00
定休.広島マリーナホップの休館に準ずるほか、イレギュラーでお休みする場合もあり
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