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濱口醤油店|170年受け継がれる島の味。江田島で醤油づくりを続ける老舗醤油店

広島市内から車でおよそ1時間。瀬戸内海に浮かぶ江田島に、江戸時代の終わり・天保年間から醤油づくりを続けてきた老舗があります。それが『濱口醤油店』です。昔ながらの味を大切に守りながら、時代に合わせた工夫を重ね、約170年にわたり醤油をつくり続けてきました。今回は、現在蔵を守る六代目・濱口督さんにお話を伺いました。

歴史を感じる、どっしりとした趣のある店構え。

170余年の醤油づくりの歴史

創業から170年以上の歴史を持つ老舗醤油店ですが、どのような思いで受け継がれてきたのでしょうか。
濱口:初代から受け継がれてきたのは、地域の人々に喜んでいただける醤油をつくりたいという思いです。魚介類が豊富な江田島では、料理の味を引き立てる醤油が欠かせません。食生活や醤油の使われ方が変化する中で厳しい時期もありましたが、試行錯誤を重ねながら醤油づくりに向き合ってきました。
濱口:そうした中で、近年は飲食店向けのオーダーメイド醤油にも力を入れています。料理や用途に合わせた味づくりを行い、現在では広島市内を中心に、多くの飲食店で『濱口醤油店』の醤油を使っていただいています。
『濱口醤油店』六代目・濱口督さん。
濱口:また、長い歴史の中で、当時の味を守りながら受け継がれてきたのが、代表銘柄の「玉萬寿醤油(たまますしょうゆ)」です。味付け醤油やポン酢など、『濱口醤油店』のさまざまな商品のベースとなっている醤油で、今でも変わらず自慢の看板商品です。
「玉萬寿醤油」の名前には、「玉のように意志を固くし、萬寿萬寿(ますます)励め」という意味が込められています。

昔から変わらない丁寧な醤油づくり。醤油蔵を見学

実際に醤油づくりが行われている醤油蔵を見学させていただきました。明治後期から大正初期に建てられたという醤油蔵には、当時の姿がそのまま残る場所もあり、随所から長い歴史を感じることができます。

濱口:現在は、麹づくりや発酵・熟成、もろみを圧搾する工程を、東広島市にある「中国醤油醸造協同組合」の工場で行っています。『濱口醤油店』では、圧搾された直後の「生揚(きあげ)醤油」を仕入れ、火入れやろ過といった仕上げの工程を、この蔵で行っています。
運ばれてきた醤油は、火入れの前に大きなタンクで保管されます。
濱口:生揚醤油を半日かけて丁寧に火入れし、その後、さらに半日かけて井戸水で冷却していきます。温度管理を行いながら塩や砂糖などを加え、風味を整えることで、旨みとコクのバランスの取れた味わいに仕上がります。
こちらの大きなタンクを使用し、密閉状態で火入れを行います。
火入れ後の醤油を青いタンクに移し、少し寝かせたあと、ろ過していきます。

また、ポン酢や「これ一本」シリーズといった加工調味料の調合や充填が行われる専用エリアでは、商品が次々と仕上がっていく様子を見ることができました。

充填機を使い、次々と商品が仕上がっていきます。
濱口:「素材の味を大切にし、かける食材を引き立てる醤油をつくる」という姿勢は、今も昔も変わりません。

多彩な商品展開と、家庭で楽しむ『濱口醤油店』の味

『濱口醤油店』では、醤油だけでも約50種類を製造されているそうですが、おすすめの商品を教えてください。
濱口:看板商品は「玉萬寿醤油」です。特級本醸造のこいくち醤油で、旨みとコクがあり、素材の味を引き立てます。また、人気が高いのは「愛情料理 これ一本 味付け醤油」です。漁業の盛んな江田島で、魚の煮付けを手軽においしくつくりたいという思いから生まれました。玉萬寿醤油をベースに、かつおや昆布、酒、砂糖を合わせ、煮物をはじめ幅広い和食に使える一本です。
写真左:看板商品の「玉萬寿醤油」、写真右:「愛情料理 これ一本 味付け醤油」
濱口:私の代で手がけた「いりこの白だし これ一本 うすいろ仕立て」もおすすめの商品です。江田島周辺では、昔から家庭でいりこだしを取る文化が根付いてきました。その味を次世代へつなぎたいという思いから生まれた白だしで、和食だけでなく、ポトフや洋風スープなどにアレンジしてもおいしく仕上がります。
「いりこの白だし これ一本 うすいろ仕立て」を使ったレシピ集をもとに、広島CLiP編集部員が自宅でポトフをつくってみました。とても簡単に本格的な味わいとなり、日々の料理の幅を広げてくれます。

また、週末限定で販売されるプリンやみたらし団子も、醤油店ならではの遊び心が感じられる商品です。みたらしのタレと塩ポン酢を組み合わせたプリンは、ここでしか味わえない一品です。

従来の商品に加え、「誰もつくったことのないような、ユニークで新しい商品づくりにも挑戦していきたい」と、今後の展望についても語ってくれました。これまで受け継がれてきた味や歴史を大切にしながら、時代に合わせて新しい醤油づくりに取り組むその姿勢こそが、『濱口醤油店』が長く愛され続けてきた理由の一つといえるのかもしれません。

「玉萬寿醤油」に柑橘果汁やいりこをブレンドしたドレッシングなど、新商品の開発は濱口さん自身が手がけています。

170年以上にわたり、江田島の地で醤油づくりを続けてきた『濱口醤油店』。家庭料理から飲食店の一皿まで、料理の味をさりげなく引き立てる『濱口醤油店』の醤油。日々の食卓に取り入れることで、いつもの料理を少し豊かにしてくれるでしょう。

濱口醤油店

江田島市大柿町柿浦2080

TEL.0823-57-2136

OPEN.8:00〜18:00

定休.日曜・祝日

アクセス
広島市内から車で約1時間