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こんにゃく彩家 ゆき乃庵|湯来の天然水から生まれた多彩なこんにゃく料理

「山ふぐ」と呼ばれ親しまれてきた、湯来温泉名物の刺身こんにゃく。清らかな水に恵まれた山あいの温泉地ならではの一品として、古くから旅館や家庭で愛されてきました。
広島市佐伯区湯来町、湯来ロッジの向かいに位置する『こんにゃく彩家 ゆき乃庵』は、伝統のこんにゃくづくりを続ける藤利(フジトシ)食品有限会社の製造直売店です。店内の食事処では、こんにゃくの新しい楽しみ方が広がるメニューを提供中。代表取締役の伊藤 剛さんに、お店のこと、そしてこんにゃくづくりへのこだわりを伺いました。

藤利食品のこんにゃく作りの歴史は?
伊藤:創業は昭和43年。父である先代が、湯来温泉街の板前として働く中で湯来町のこんにゃくの魅力に気づき、独学を経てこんにゃく屋を始めたのが始まりです。
代表取締役の伊藤 剛さん

こんにゃくはおよそ9割が水分。さらにアク抜きや冷却といった製造工程でも大量の水を必要とし、「水の質が味を決める」と言われています。近くの川にはオオサンショウウオが生息するほど、湯来は清らかな水に恵まれた土地。この豊かな水環境こそが、こんにゃくづくりに欠かせない条件なのだそう。

伊藤:湯来の天然地下水はミネラルが豊富で、私たちのこんにゃくは湯来町だからこそ生まれる味なんです。こんにゃく芋にもこだわりがあり、地元・湯来町や神石高原町のものなど選りすぐりの原材料を使用し、すべて国産で揃えています。

こんにゃくの新しい楽しみ方が広がる食事処

食事処には、こんにゃくを主役にしたユニークなメニューが並びます。パテの代わりにこんにゃくカツを挟んだ「こんにゃくバーガー」、こんにゃく麺を使った「こんにゃくラーメン」。さらに日替わり定食や山賊串焼き、天ぷらまで、まさに“こんにゃく尽くし”のラインナップです。

こんにゃくバーガー
「日替わり定食」には、メインにも小鉢にもこんにゃくがたっぷり使われれいます。
ヘルシーに楽しめるのも、こんにゃく料理ならではの魅力ですね。ユニークなメニューは、どんなふうに生まれているのでしょうか?
伊藤:実は、お客様からヒントをいただくことも多いんです。ある時「寿司屋で藤利さんのこんにゃくの天ぷらを食べました。すごく美味しかったですよ」と教えていただいたことがありまして。私たち自身、自分たちのこんにゃくがどんな料理に使われているかを知る機会は少ないので、とても新鮮でした。それをきっかけに、逆輸入のような形でメニューに加えたんですが、これが想像以上に好評だったんです。
「牛すじこんにゃく入りのゆきコロッケ」と「子持ちこんにゃくの天ぷら」。天ぷらは練り込まれた魚卵のプチプチとした食感が絶品で、気に入ったお客様が子持ちこんにゃくを買い求めて帰ることも多いそうです。
こんにゃく麺を使った「こんにゃくラーメン」。醤油ベースのスープとつるりとした麺がよく絡み合う、ヘルシーで満足感のある一品。
地元・砂谷牛乳を使った「こんにゃくミルク餅」は、もちもちプルプル食感に、やさしい甘さが広がるスイーツ。お店で購入することができます。

お店で人気No.1を誇るメニューは「こんにゃくと鶏肉の山賊串焼」。串に刺さっているのは「田舎こんにゃく」です。一般的なこんにゃくが、こんにゃく芋を乾燥させて粉末にしたものを原料とするのに対し、この田舎こんにゃくは生芋(なまいも)を使い、昔ながらの手法で手間暇かけて作られています。

伊藤:生芋を蒸したり湯がいたりして皮をむき、すりつぶしたものを炊き上げて作るんです。その分、風味や食感が格段に良く、味もしっかり染み込みます。この辺りでは昔から「田舎こんにゃく」と呼ばれて親しまれているんですよ。
田舎こんにゃくを使った「こんにゃくと鶏肉の山賊串焼」。鶏もも肉と一緒に出汁で味を付けてから焼き上げており、こんにゃく本来の味が楽しめる食べ応えのある一品です。
飲食スペースにはキッズチェアも完備。お子様連れでもゆっくり食事を楽しめます。

地元高校生とのコラボ『オオサンショウウオこんにゃく』

あの『オオサンショウウオこんにゃく』の誕生秘話を教えてください。
伊藤:地元広島県立湯来南高校の生徒たちが、町を元気にしようと取り組む「湯来町温泉同好会プロジェクト」の一環で、「オオサンショウウオの形をしたこんにゃくを作れませんか?」と、7年前に突然うちを訪ねてきたんです。正直びっくりしましたが、地元の子どもたちの頼みなら一度挑戦してみようと。そこから何度も試作を重ね、ようやく商品化に至りました。
その後、テレビやSNSで大きな話題になりましたね。
伊藤:最初は思うように売れませんでしたが、ある時お客様がSNSに投稿してくださった写真をきっかけに一気に拡散し、全国に広まりました。今では月に2,000〜3,000個が売れる人気商品に成長しています。ネット販売はもちろん、道の駅や観光施設でも取り扱っていただき、最近では宮島水族館や長崎屋さんといった広島を代表する場所でも販売されるようになりました。お土産としてのインパクトも抜群で、多くの方に喜んでいただいています。
「オオサンショウウオこんにゃく(大・小)」は、夏はバーベキューで串焼きに、冬は鍋の具材にと一年中楽しめる万能こんにゃく。しっかり味付けされているので、そのままでも美味しくいただけます。

“湯来のこんにゃく屋”として、地域の未来へつなぐ想い

広島市の中でも湯来町は人口わずか5,000人ほど。市全体の2〜3割の面積を占める広さを持ちながらも、意外と市民に知られていない地域です。だからこそ伊藤さんは「湯来」という地名に強いこだわりを持っています。

伊藤:藤利食品のこんにゃくを地域を代表する産品として認めてもらえるのは、本当にありがたいことです。広島の一部としてではなく、“湯来のこんにゃく屋”として発信していきたい。地域を盛り上げるためには、やはり地元の仲間と連携して取り組むしかありません。
店頭には「スモークこんにゃく」や「子持ちこんにゃくとメンマの醤油漬け」など珍しいこんにゃくのほか、地元生産者とコラボした商品も並びます。

「こんにゃくを通じて湯来町を知っていただき、地域の人たちと一緒に未来を築いていきたい。観光で訪れる方にも“湯来っていいところだな”と思ってもらえるように頑張りたいですね」と、伊藤さんは力強く語ってくださいました。
こだわりの詰まったユニークなこんにゃく料理を通して、湯来町の魅力を体感できる『こんにゃく彩家 ゆき乃庵』。休日のドライブがてら、訪れてみませんか?

こんにゃく彩家 ゆき乃庵

広島市佐伯区湯来町大字多田2576-3

TEL.0829-85-0551

OPEN.平 日 10:00~15:00(定休日:水曜日)
土日祝 10:00~16:00

定休.水曜日

アクセス
広島市中心部より車で約1時間