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横島ファーム|福山の離島から伝統の「うつみ潮風豚」を広げる養豚場

福山市の小さな島・横島。人口1,000人に満たない自然豊かな島の一角にある、昔ながらの方法で豚を育てている『横島ファーム』。創業50年を超える養豚場を事業継承した2代目が、ブランド豚「うつみ潮風豚(しおかぜぶた)」で島を盛り上げようとしています。きっと食べたくなる!こだわりの育て方やオススメの食べ方も聞いてきました。

味を守る!こだわりの飼育法

事業継承してまもない頃の新田さん

元銀行員で現オーナーの新田龍二さんは、2020年に横島ファームを事業継承しました。そのきっかけは「同級生の家業の養豚場が廃業する」と聞き、軽い気持ちで訪ねて食べた豚肉の味に驚いたこと。「おみやげにもらったお肉がめちゃくちゃおいしかったんです。この味を子どもにも食べさせたかった」。

前職のお客様も買いに来てくれるそうで、「自分が頑張った分おいしいものができて、お客様が直接『おいしい』と言ってくれるので、すごくやりがいがあります」。 

養豚方法や豚の品種は、先代から引き継いで大事にしています。例えば、横島ファームでは豚舎の床におがくずを敷きません。

おがくずで飼育すると、衛生的な環境を保つのが難しいのだそう。

寝る場所、食べる場所、排泄する場所もしっかり分かれており、この豚舎の環境は肉質の良さや豚にとっての居心地の良さにも繋がっているそうです。

また、エサも先代が作った配合を守り続けています。新田さんが養豚場を継いですぐの頃、コロナ禍で飼料価格が高騰し一時的に配合を変えたことがありましたが、「味が変わった」と気付き、すぐに元に戻しました。肉質が戻るまで、なんと出荷を10か月ほど止めたそうです。

豚は、50年前に養豚場がスタートした当時から自家交配して肉質の良い母豚を継承した、昔ながらの手足が短い豚。その中でも「うつみ潮風豚」として直売所で販売するのは、肉質がきめ細かく柔らかいメス豚のみというこだわりです。

お惣菜も楽しめる直売所

「福山市水産物加工センター」という看板が残っていますが、ここが「うつみ直売所」。

横島ファームの豚肉を買える場所が、市内に2つある直売所です。

横島の隣、田島にある「うつみ直売所」では、様々な種類の精肉に加えて、曜日によっては揚げたての一口モモカツやコロッケ、春巻きも販売しています。

揚げたての春巻き(左)と一口モモカツ(右)。すぐ近くが海なので、眺めも最高です。

ロース、バラ、モモなどの馴染み深い肉から、ウデ・パイカ(バラ肉の軟骨部分)・チマキ(スネ肉)・豚足・タン・ミミガー・胃袋などの珍しい部位、ウインナーや肉まんなどの加工製品まで広く販売しています。

その中でも、ホルモン系を買えるのはこの直売所だけ!

冷蔵庫にはさまざまな部位のお肉がずらりと並んでいます。

もっちりした生地の手作り肉まん。冷凍で販売中。

新田さんによると、上半身はしっかり煮込む料理に向いていて、下半身はあまり火を入れない料理に向いているそう。

オススメの部位は、脂少なめのモモスライス。さっと焼いて塩コショウで食べるとおいしいです。

また粗挽きミンチは煮込んでも溶けにくく、みそ汁やカレーに入れると、料理全体の旨味がグンと増します。

イングランドパブなどもあるオシャレな商店街。

もう一つの店舗が、JR福山駅から歩いて5分の場所にある「大黒店」。赤レンガが敷かれたレトロな商店街・大黒町商店街の中に位置しています。このお店では、今後食べ歩きできる商品の展開も考えているそうです。

「うつみ潮風豚」で島を盛り上げる

少子高齢化が顕著に進む内海町の横島で、養豚事業を通じた新しい雇用の創出や島に人が訪れるきっかけ作りをしたいと新田さんは話します。

新田:開業した年は、ちょうど島にある学校が閉鎖となる年でした。島の特産品を通して地元の魅力を知ってもらい、大人になった時に思い出して島に帰ってくるきっかけになればと思い、ミンチを生徒全員に配りました。「うつみ潮風豚」のブランドが少しでも広まって、みんなが買いに来てくれて、島の飲食店やレジャーがにぎわうことにつながれば、こんなにうれしいことはありません。

『横島ファーム』の豚肉は、現在、島内や福山市内複数の飲食店で使われています。そこで味わった人がおいしかったからと直売所を訪れることもあり、「うつみ潮風豚」が広がっていこうとしています。

株式会社横島ファーム うつみ直売所

福山市内海町393-4

TEL.084-986-3660

OPEN.9:00~16:00

定休.水・不定期日曜日

アクセス
山陽自動車の福山西ICより車で約30分