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Teto teto(テトテト)|広島の人に地元産のお茶のおいしさを伝えたい

お茶といえば、静岡や京都。そんなイメージを持つ人が多いと思いますが、広島にも数少ないながら茶畑はあり、お茶が生産されています。

三次市上田町へ移住し、製茶業に励む「Teto teto(テトテト)」の延原真由子さん。ほうじ茶シロップの製造に始まり、今ではお茶の栽培から加工までを担い、広島のお茶文化を守り伝えています。

延原さんが管理する茶畑へ伺ってお茶づくりについて教えてもらいながら、お茶の世界に浸ってきました。

茶畑の景色に惹かれて家族で移住

Teto tetoを立ち上げたきっかけを教えてください。
延原:大阪で働き、子育てをきっかけに三次市へ移住しました。その頃は三次市内の中心部で暮らしていましたが、もっと自然に近い場所がいいと思い、『ほしはら山のがっこう』へ遊びに行っていました。この地域にある茶畑の景色がとても好きだったんです。何度か通ううちに空き家が見つかり、上田町へ身を寄せました。
延原さんが心を奪われたという茶畑のある風景。この畑は現在延原さんが管理し、化学肥料や農薬などを使用せずにチャノキを栽培している。
延原:引っ越しして地域の方との交流が増えていた頃、高齢化により継続が難しくなっていた「はぶ草茶」の栽培や販売を引き継がないかというお話をいただきました。それで「Teto teto」を立ち上げ、教えていただきながらはぶ草茶の販売をスタートしたのがきっかけです。
広島県北部で健康茶として親しまれてきたはぶ草茶。「Teto teto」のオンラインショップで購入可能。30g500円。
延原:はぶ草茶の製造でお世話になっていた貞野製茶園さんから、「ほうじ茶が大量に余っているから使っていいよ」と声をかけていただきました。このおいしいほうじ茶を何とかしたい、そんな思いからつくり始めたのがほうじ茶シロップです。
ほうじ茶シロップうらら 1本150ml 1,200円。牛乳や豆乳と混ぜてほうじ茶ラテに。アイスクリームやヨーグルト、パンケーキやフレンチトーストなどにも相性◎。
三次へ移住する前は、お茶に関することに携われていたのでしょうか?
延原:以前は福祉関係の仕事をしていました。そのため移住当初は、地域福祉という観点から何か仕事をしたいと思っていたんですよ。ご縁があってお茶と関わるようになり、2023年からは貞野製茶園さんから茶畑の一部を任せてもらい、「Teto teto」としてお茶の栽培や茶畑の管理、工場での製茶作業を行うようになり、今年2024年の5月には新茶を初収穫することができました。
「Teto teto」代表の延原真由子さん。屋号の「Teto teto」には、「人の手と手、人とのつながりから生まれる優しさや温かさを大事にしたい」との思いを込めた。

年間を通してお茶を楽しめるように

製茶業の魅力はどんなところですか?
延原:茶畑は山を開墾した場所にあるので畑では常に坂道を上り下りしています。工場での作業も重労働で、想像以上に大変だと感じたのが最初の印象です(笑)。私が美しいなと感じた茶畑の風景は、貞野さんの努力で守られていたことを身をもって感じています。ただやっぱり、新茶の時季に茶畑がキラキラしている様子や風になびいて茶葉が揺れる様子を見ると改めてきれいだと思いますし、製茶に携わる楽しさや喜びを感じます。
5月に初開催した新茶摘み体験の様子。参加者は茶畑での手摘み、製茶工場の見学、お茶を飲むなどして過ごした。
延原:今年5月には新茶摘み体験を初めて開催して、子どもから大人まで多くの方に参加していただきました。「茶葉に触れることができて楽しい」「こんな工場があるんだね」と皆さんが感動してくれて、その表情を見ると私も感動して。お茶に携わることができてよかったと感じましたね。
茶摘みも製茶工場も、普段なかなか体験したり見たりする機会は少ないですよね。
延原:広島は茶どころではないので、県内に暮らす人でも広島のお茶に触れる機会は少ないと思います。だからこそ広島の人に広島のお茶を知ってもらいたい、飲んでもらいたいと思い、イベントを開催しました。
確かに、広島にお茶のイメージはあまりなかったかもしれません。
延原:お茶の時季は新茶の時季だけではありません。5月に新茶を収穫した後は、7月ごろに二番茶を収穫してほうじ茶にします。製茶の作業でも、6月には和紅茶づくり、その後には番茶づくりを行っていきます。ほうじ茶シロップづくりで出る茶殻を使って染物もできますし、年間を通してさまざまにお茶を楽しんでもらう時間を提供していきたいと思っています。
甘みと旨みがしっかりとした「Teto teto」の新茶。品種はやぶきた。オンラインショップにて40g650円。

地域とともに上田町のお茶を守り、つなげていきたい

栽培から加工まで幅広く携わるようになり、考え方などに変化はありましたか?
延原:変化はあります。実際に茶畑へ入ったり工場で作業をしてみると、貞野製茶園のお父さんやお母さんがいかにおいしい新茶をつくることを大切に考えているのかが伝わってきます。貞野さんの手は、50年以上茶葉を触ってお茶をつくってきた職人の手です。その手や普段の作業の様子を間近にすると、お茶の存在が皆さんの暮らしの中にもっと入るようになってほしいとより思うようになりました。
工場には乾燥機や揉捻機など貴重な専門機器がズラリ。
今後はどのような活動を行っていきたいですか?
延原:茶畑を残すためには工場も製茶の技術も残していかなければいけないし、商品が売れるからこそそれが続けられるという面もあります。最初はこの上田町の景色やお茶文化をつないでいけるのか不安もありましたが、今は地域の方と一緒に栽培から加工まで行うことができ、地域とともに守っていきたいと自信を持って思えるようになりました。地域で働くことが地域貢献にもつながると考えているので、お茶を通して地域に仕事を生み出したいとも思っています。貞野さんから引き続き学び、お茶文化を守り、お茶のおいしさを広く伝えられるよう精一杯取り組んでいきたいです。

上田町の豊かな自然の中で、地域の人々とともに日々お茶づくりと向き合う延原さん。そんな延原さんが手掛けるお茶やシロップを購入して家で味わうのはもちろん、体験会の開催情報はSNSで随時告知されるので、茶摘みの時季やお茶に親しみ楽しむひととき「茶時(ちゃどき)」をぜひ一緒に楽しんでみませんか。

Teto teto 取り扱い店

三次市「川西郷の駅」「トレッタみよし」「平田観光農園」、広島市「長崎屋」、廿日市市「epilo」で取り扱い中。公式オンラインショップでも販売しています。

Teto teto

三次市上田町196

TEL.090-7509-3618

アクセス
山陽自動車道・西条ICから車で約1時間