三次市三良坂町にある佐々木豆腐店は明治27年に創業し、今年2024年で130年を迎える老舗豆腐店です。三次産大豆と天然にがりを使用し、手作りの味わい深さが感じられる豆腐は人気が高く、遠方から多くのお客様が訪れます。また、併設された食堂では出来立ての豆腐を使った定食を楽しむことができます。佐々木豆腐店の魅力やおすすめのランチメニューについて、五代目の佐々木猛瑠(ささき たける)さんからお話を伺いました。
130年続くおいしさ、手作り豆腐の魅力
創業以来、手作りにこだわっていらっしゃるのはなぜでしょうか。
佐々木:原料の大豆は、育った時の環境などによってどうしても個体差が生まれてしまうため、同じように作っても同じ味にならないんです。自分たちの目と手で一丁ずつ出来を確認しながら作ることで、豆腐のきめ細かさや大豆の風味を引き出すよう心がけています。
豆腐作りにおいて、味を決めるポイントはどんな工程にあるのでしょうか?
佐々木:とっておきの工程や秘訣がある訳ではないんです。ただ製造過程の中で、大豆を水に浸す時間や豆をすり潰す際の粗さ、豆乳ににがりを添加するタイミングや量など、一連の流れの全てが豆腐の味に直結する大切な作業です。その作業を毎日丁寧に行っていることが、今に繋がっているのかなと思います。
細やかな調整の積み重ねがおいしさの秘訣なのですね。お店の看板商品は何ですか?
佐々木:看板商品はいくつかありますが、昔から変わらぬ味として親しまれているのがしっかりとした食べ応えと豆の豊かな旨味を堪能できる一徹豆腐です。また、柔らかでみずみずしい食感のおぼろ豆腐も人気があります。
佐々木:油揚げは手揚げで作っていて、ふっくらと肉厚で食べ応えがありますよ。そのまま焼いてお醤油やポン酢で食べるのがおすすめです。
工場併設の食堂で出来立ての豆腐を堪能
佐々木豆腐店では、新鮮な豆腐の味をその場で楽しんでいただけるよう、食堂を併設しています。料理の中で豆腐が主役になれるということを知ってほしいと、豆腐・油揚げ・厚揚げ・湯葉などさまざまな種類の豆腐ランチを提供しています。
佐々木:人気なのは「月替わりの膳」や「福々膳(ふくふくぜん)」です。平日限定ですが「生湯葉の膳」もおすすめです。どのメニューも膳に並ぶご飯には、三次産の三良坂産米を使用しています。
どのメニューもボリュームたっぷりでありながら、ヘルシーで嬉しいですね。
広島市内に出張販売所をオープン
2023年10月から、広島市中区に「佐々木豆腐店 西十日市出張販売所」をオープンしました。ここでは本店で通常販売されている豆腐の他に、お弁当やお惣菜も購入することができます。
広島市内に店舗をオープンされたきっかけは何ですか?
佐々木:ありがたいことに、三次の本店には連日たくさんのお客様が豆腐を買いに来てくださいます。そんな中、遠方のお客様の中には車がないため行けない、冬の時期には雪が怖くて行けないといった声もいただいていました。そこでなるべくたくさんの方に利用していただきたいという思いから、出張販売所をオープンしました。
我々にとっても、身近でおいしい豆腐を購入できるのは嬉しいです。他にも、今後新たに取り組んでいきたいことはありますか?
佐々木:できるだけ廃棄を出したくないという思いがあるので、現在豆腐作りの際にどうしても余ってしまっている豆乳などを使って、新しいスイーツを作りたいと考えています。
伝統的な製法と味にこだわり抜いた佐々木豆腐店は、定番のお豆腐はもちろん、油揚げ・湯葉・スイーツなど様々な形で手作りならではのおいしさを堪能することができます。ヘルシーなのにボリュームたっぷりで食べ応えのあるランチは、県北のドライブコースにもぴったりです。ぜひ現地に足を運んで老舗豆腐店の味わいを堪能してください。