広島市南区仁保新町の住宅街の一角に、木工体験のできるシェア工房があるのをご存知でしょうか。ここでは子ども向けのワークショップや、大人向けの本格的な家具作りまで、幅広いレベルに応じた木工体験ができます。初心者の方でも、丁寧にサポートを受けながら、本格的な機械を使って製作ができることで評判です。今回は代表の秋山さんにお話を伺いながら、木工体験初心者の編集部員が「編み座イス」作りを体験する様子をお届けします!
自分に合ったものづくりが楽しめる
入り口を入ると目の前には木製の椅子やテーブル、スツールといったインテリアや、組み木の玩具などが並ぶショールームのスペースがあり、その奥は広々とした工房スペースとなっています。
秋山:もともと鉄工所だった場所に機械を搬入して、工房にしています。このショールームに並んでいるインテリアやカトラリー、木の玩具などは全て、こちらの工房でお客様にも作っていただけるものになっています。
秋山:機械の使い方や作り方など、作る方のペースに合わせて丁寧に説明しながらサポートしますので、安心してください。機械もプロ用のもので使いやすいので、じっくり時間をかけて丁寧に行えば、初心者の方でも精度の高いプロレベルのものが作れますよ。
店名である「Slow&Polite=ゆっくり&丁寧に」ですね。安心しました。初めての方が取り組むのにおすすめのものはありますか?
秋山:バターナイフやスプーンといったカトラリーやプランターボックスなどの箱もの、他にもお子様だとやじろべえや木のコマなどが比較的短い時間で作ることができ、人気があります。
秋山:お子様連れの方は3組以上のグループでお申し込みいただけましたら、こちらの工房内で、やじろべえや木のコマ作りのワークショップを行うことができます。
大人の方で慣れてきた方は、時間貸しの「シェア工房」としてもご利用いただけます。工房内にある機械を使って、自由に創作していただけます。
編み座イス作りを体験!
よろしくお願いいたします!どのような流れで作っていくのでしょうか?
秋山:流れとしては、まず木から切り出したばかりの荒材を綺麗にして角材や板を作る「製材」作業、材料を削って面取りや曲線を作る「加工」作業を行います。その後はやすりがけ、組み立て、塗装の順番で作業をして、最後に座編みを行い完成となります。希望があれば製材は私の方で行い、加工作業から始めていただくことも可能です。
今回は、上記の「製材」の工程を体験させていただきました!
難しそうな工程も、教えていただきながら1つ1つ丁寧に行うと、私にもできるんだ!と嬉しくなります。
秋山:できることが増えるのも、ものづくりの良さだと思います。やったことがない人は完成形を見て「こんなもの自分には作れない」と思うかもしれませんが、地道に手を動かしてみると、案外できるものです。そんな成功体験も味わってみてほしいですね。
まだ1日目ですが、すでに愛着が生まれているのを感じます。完成が楽しみです。
秋山:作る過程も含めて、その物の価値になっていきますし、作れるということは直せるということでもありますから、今後末長く使えるものになりますよ。完成まで一緒に頑張りましょう。
「つくる人をつくる」場所に
楽しい体験でした。秋山さんは、どのようなきっかけでこちらの工房を始められたのですか?
秋山:私は以前、自動車メーカーでエンジニアとして働いていました。仕事の中ではどうしても作られたもの=結果が注目されますが、私はその中でも構想・設計・デザインといった、プロセスこそが面白いと常々感じていました。そんな「過程」を含めたものづくりの楽しさを伝えたいと思い、会社を早期退職し、この工房を作りました。
秋山:今後は革製品やアイアンといった他の素材や、デジタル技術を取り入れた立体的なものづくりなど、もっと幅広いものづくり体験ができる場にしていきたいです。そして、ゆくゆくはお客様同士が「今、何を作ってる?」といった、ものづくりを通じたコミュニケーションが生まれる場所になっていくといいなと思っています。
作る過程を楽しむ場所「Slow&Polite」。時間やコストをかけずに物が入手できる時代の、ある意味逆を行くこの場所では、一つのものづくりにじっくりと丁寧に向き合うことで、その楽しさや出来上がった物への愛着を実感することができました。木工が初めての方も丁寧にサポートを受けながら製作できます。ぜひ体験してみてはいかがでしょう!