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子育てしながら働ける、「母親のための会社」設立への想い

『peekaboo』代表取締役の小村佳子さん。

子どもたちがのびのびと遊んでいるすぐそばで、ママもキャリアを磨きながら働ける。そんな母親のための理想の会社が広島にもありました。「子育て中のママが思うように働けないなら、自分でつくろう!」と保育園も設立した、『peekaboo』代表の小村佳子さん。理想の教育機関をつくるため海外まで研修に行ったガッツあふれる小村さんにお会いして、ママたちの選択肢を増やす取り組みについて聞きました。

社内は仕事のスペースと保育園が隣接している。

ママが安心して働ける会社を設立

結婚前はリクルートライフスタイルにいらっしゃったんですよね?
小村:はい。リクルートライフスタイルに入社して、HOT PEPPERの美容ページの提案や企画営業に携わっていました。入社1年目で営業成績1位をいただくなど、仕事は本当に楽しかったですね。
すごい! その頃から仕事ができる女性だったのですね。
小村:広島で入社後は京都や神戸など1年ごとに転勤をしていました。広島出身の夫と結婚して出産後半年で仕事に復帰はしたものの、転勤が多い会社ということもあり、今後のキャリアについてすごく悩んでいました。
子連れで女性が転勤というのは難しいですよね。
小村:仕事も会社も大好きだったので、子どもを連れて転勤しようかなとも考えていました。でも、出産後はだんだんと家族で一緒にいたいという気持ちが大きくなっていました。
ご自分で会社を起業されようと思ったきっかけはなんだったんですか?
小村:長男が病気がちで、保育園に1週間連続して行ってくれることがなかったんです。私もクライアントさまを持ちながら仕事をしていたので、子どもが病気になっても急遽休みを取ることがとても難しかったんですね。どうしようもなくなったときは、夫に仕事の途中で帰ってもらったり、義理のお母さんに頼んだりしていました。夫や義母が難しいときは、神戸から自分の母に来てもらったこともありました。
神戸から!
小村:企画書を持ってクライアントさまのところに訪問する2分前に、保育所から「お母さん、お子さんの熱が出てます」と電話がかかってきたことも。クライアントさまにも保育所にも迷惑をかけているのではと、気持ち的に相当追い込まれていました。
それは大変でしたね…。
小村:私はなんとか夫や周囲のサポートがあって働くことができましたが、世の中のお母さんはどうやって働いているのかなと思ったのが、peekabooを立ち上げるきっかけになったのです。
ニュージーランド教育を導入した幼稚舎。

広島初の企業主導型保育園

peekabooさんでは保育園も設立されていますよね。
小村:保育園に関しては知識がまったくなかったので、市役所に足しげく通いましたね。いろいろな方からアドバイスいただいて、広島県で初めて企業主導型保育園に採択されました。
立ち上げは大変ではなかったですか?
小村:一番苦労したのが、保育園の経営です。最初の頃は保育士さんたちとなかなかうまくコミュニケーションがとれませんでした。保育園を設立することがゴールになっていて、私自身が運営のノウハウを持っていなかったのが原因だと思います。
どういうカタチで立て直されたのですか?
小村:とても信頼していた園長先生が退職されたのがきっかけになりました。私が保育事業部の全てを担当することになったんです。これではダメだと幼児教育を一から学び直して、講師の資格を取得。世界中の教育文献や本を読んで知識を広げました。
ニュージーランドまで行って研修を受けられたのですよね?
小村:はい。ニュージーランドの幼稚園(幼稚舎)に行ってびっくりしたのが、子どもの目の輝きです。子どもたちみんな、目がキラキラしているんです。幼稚園で楽しく過ごしている子どもたちを見て、子どもたちが自分でやりたいことを選択できる環境を整えたいと、全国で初めてニュージーランド教育を軸とした幼稚舎を今年設立しました。
日本の幼稚園とどこが違うのですか?
小村:peekaboo幼稚舎では、キッズコーチングという指導法を採用していて、子どもたち一人ひとりの性格や発達にあわせた声かけをしています。子どもも聴覚、視覚、体感と優位なものが違うんですね。例えばいくらお母さんが注意しても体感が優位だとお母さんの声が届かず、子どもに声が届きません。そういったときは、まず抱きしめてから話をするなど、子どもと向き合う時間を持つのが大切なのです。きめ細やかな対応が必要なので、幼稚舎では子ども5人に対して1人の保育士がつくようにしています。
一人ひとりの個性を大切にした保育を行っている。
通常の保育の年中以上は子ども約30人に対して保育士1人ですよね。すごい!
小村:私も含め役員や正社員は働く時間が長く、子どもに習い事をさせるのが難しいんです。送迎とかもできないし。幼稚舎ではネイティブのティーチャーが常駐していたり、外部講師の造形、体操、クッキング、プリント、遠足は月1回など様々な体験型の活動があり、習い事に行く必要のないオリジナルのカリキュラムを採用しています。
土の感触を全身で体感できる遊具。
それは、ママは嬉しいかも!
小村:幼稚舎ではまた、フランスのフィロソフィなど世界中で良いと思った教育を取り入れています。フィロソフィとは哲学のこと。子どもたちと「なぜ人の気持ちを考えないといけないのか」といったことを、みんなで考えたりしています。あと、アメリカのショウ&テルというプレゼンの時間を設けたり、クッキングの時間にサイエンスの要素を取り入れた教育も行っています。
すごいですね。
小村:peekabooで働いているから子どもたちも充実した教育が受けられると、ママたちがステイタスを感じられるような環境になればと願っています。

オシャレな空間で働きながらリフレッシュ

事業内容としてはどんなことをされているのですか?
小村:WEBのライティングやアウトソーシング、フランチャイズ事業、メディア事業などを行っています。2020年4月には私自身が今まで行ってきた集客のノウハウを生かしながら、GoogleマイビジネスやSNS運用のサポート、新商品導入に関するプロモーション戦略の立案やHP制作などを行っています。
オフィスもオシャレで空間も贅沢に使われていますよね。
小村:家に帰ると主婦は忙しいし、現実と直面して気持ちが殺伐とするじゃないですか。オフィスではママがリフレッシュできるよう、音楽もかけてカフェっぽい空間を意識しています。以前ここのテナントは、ひな人形や五月人形などを販売する『人形の藤娘』さまが30年間営業されてきました。藤娘さまの床を残していたり、アンティークの木の机を使用したりしているのは【過去、現在、未来】を表現しています。ママたちの人生は決してブツ切りではなく、積み重ねている努力で成り立っているということを表現しています。子どもに「ここがママの働いているオフィスなんだよ」と自慢したくなるような場所になればといいなと。
空間が贅沢に使われているオフィス。
働いている横で子どもが安心して過ごせる環境があるのはいいですね。
小村:保育士さんもとても協力的で、子どもが急遽熱を出したんだけど打ち合わせが入っているときなどは「大丈夫。私たちが看ているので安心してください」と言ってくれるんです。仕事が立て込んでいて少し遅れても「お疲れ様でした」と声をかけてくれる。本当に感謝しています。

地域の皆さんの応援も力に!

小村さんご自身は、休日はどのように過ごされているんですか?
小村:ずっと家族で休日に過ごせる古民家を探していました。ちょうど庄原にモダンな造りの家を見つけて、そこを借りることにしました。休日は庄原に泊まって家族で虫取りをしたり、自然の中で過ごすようにしています。
サテライトオフィスも庄原にありますよね?
小村:庄原の家で私たちが過ごすのは休日だけで平日は使っていないので、オフィス兼用にしているんです。社員やスタッフが短期間滞在し、心身をリフレッシュしながら業務をこなす「ワーケーション」の拠点になればいいなと。地元の方が栗拾いに連れて行ってくれたり、今後は田んぼも会社でつくらせてもらう予定にしています。将来的には子どもたちで苗を植えて、園で食べることができたらいいなと思っています。
地域とのつながりを大切にされているんですね。
小村:そうですね。八木オフィスの近くで畑を持たれている方がいるのですが、いつも子どもたちが遊びに行かせてもらっています。幼稚舎の畑もその方が監修してくださっているんですよ。アポリト(旧パワーズ)さんに協力してもらってハロウィンイベントを開催したり、周囲の方々の応援をたくさんもらっています。
子どもたちもみんなで楽しく畑仕事。
そういえば、園庭に畑がありました!
小村:私は周囲の方々に応援していただけない、社会に認められない事業は成り立たないと考えています。これからも皆様が応援してくださるような取り組みをしていけたらなと思います。

仕事と育児の両立を実現

社内を案内してもらってもいいですか?
小村:どうぞ! こちらはママたちが働いている空間です。
あ、キッチンまであるんですね!
小村:そうなんですよ。将来、ママ向けに料理教室ができたらいいなと思っています。
モデルハウスのようなオープンキッチン。
保育園のほうは窓から子どもたちの様子を見ることができるのもいいですね。
小村:授乳室も完備しているので、働きながら母乳育児を行うことも可能です。隣に子どもがいる環境で一番よかったなと感じるのは、災害のとき。万が一のことが起きたとき、親子が離れ離れになっていないということで安心感があります。コロナの緊急事態宣言が発令され学校が自粛になったときも小学生の学童保育がストップしたので、ママたちは社内に子どもを連れてきて仕事をしていたんですよ。子どもたちも仕事をしている母親を見ることができて、よかったんじゃないかな。
すりガラスから勤務の合間に子どもの様子を見ることができる。
どなたか働かれているママにお話しを聞いてもいいですか?
松本:こんにちは。frog事業部でインスタグラムを担当している松本です。
松本果南さん。小2,年中、2歳の3人の子どものママ。
peekabooで働かれる以前はどのようなお仕事をされていたんですか?
松本:百貨店で販売員をしていました。子どもがいたので、土日のシフトをはずしてもらったり、特別待遇で働かせてもらっていたのですが、他の方に迷惑をかけているのではとすごく気になっていました。
それはつらいですね。
松本:子どもを優先した生活をしたいと思っていたときにpeekabooを知り転職しました。現在は9時から16時まで働かせてもらっています。明るいうちにお迎えに行けて、家事とも両立ができるし、子どもとのコミュニケーションも増えて、毎日が充実しています。
それは最高ですね。小村さん、皆さんすごく喜ばれていますね。
小村:ママは自分らしく生きていくことが大切だと思っています。peekabooでは意気込んで働く必要もないし、これまでのキャリアがなくても大丈夫。企業理念が「人のために、人に尽くす」なので、そこを軸として働ける方ならどなたでもOKです。知識や経験の必要な仕事でスキルを身につけて、ママたちの将来の選択肢が増えたら本当に嬉しいですね。

子育て中のママが思うように働けないなら自分で保育園を!と行動した、バイタリティあふれる小村さんにたくさんの刺激をいただいた取材になりました。ママたちの社会復帰を全力で応援している小村さん。仕事でピンチに陥ったときは、社員ではなく自分自身がまず動くことをモットーにされています。新しい働き方はもちろん、考え抜かれた幼稚舎の取り組みなど、小村さん&peekabooからますます目が離せません。

peekaboo 代表取締役

小村 佳子さん

自ら子育て中に感じた想いをきっかけに『peekaboo』を設立、代表取締役に。企業主導型保育園の導入をはじめ、ママたちが働きやすい会社づくり&環境づくりを追求している。

peekaboo

広島市安佐南区八木1-20-12

TEL.082-873-3400

アクセス
広島CLiP新聞編集部(CLiP HIROSHIMA)から車で約40分