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米結|米の栽培から菓子の製造まで。米農家がすべてを手掛ける米粉の焼き菓子

ここ数年、広島のお菓子好きから注目を浴びているのが『米結』。広島三越内に店舗を構え、おいしさはもちろんお米の形をした見た目の可愛さや、玄米の米粉を使いグルテンフリーでつくられているという点からも人気が高まっている焼き菓子です。

スタンダードな「玄米プレーン」、世羅町でお茶作りをする「TEA FACTORY GEN」の茶葉を使用した「瀬戸内ほうじ茶」、広島県産レモンを使用した「広島レモン」など、広島・瀬戸内産の原料を使用した定番商品は5種類。そのほか、その時々の限定フレーバーがショーケースに並んでいます。

実はこのお菓子、米農家が自ら米の栽培からお菓子づくり、販売まですべてを担っているのが他と一味違うところ。日本の米づくりのより良い将来を願う生産者の思いから生まれた焼き菓子『米結』について、代表の西さんに聞きました。

生産だけに留まらない、農家の在り方を模索

『米結』が誕生するまでの経緯を教えてください。
西:世羅町出身で実家では米づくりをしていましたが、自分自身は大学を卒業して別の仕事をしていました。ただお米の需要や農家の後継者不足など、農業が抱える問題は気になっていたので、思いきって仕事を辞めて米農家になりました。
農業の問題の中で、西さんが特に気になったのはどんなことですか?
西:農業の問題にはさまざまなことが複雑に絡んでいますが、特に気になったのは農家が生産しか担っていないという点です。そこで、生産だけではない農家の在り方や、お米の新たな価値をつくりたいと考えました。それに加えて、土地を維持して日本の米づくりを未来につなげていきたいとも考えるようになりました。
西さんが世羅町で育てる〈じんでん米〉は、米・食味分析鑑定コンクールの国際大会でも高評価を得てベストファーマーに認定されている。
西:最初は米粉の創作料理店をオープンしました。自分が育てた米を米粉に製粉して、唐揚げや天ぷらなどにして提供しました。13年ほどお店の営業を続けて、農家が生産以外の分野も担えることが分かりましたし、途中からは製粉技術と米粉を生かしてお菓子づくりにも挑戦したいと考え始めました。自分の結婚式の引き菓子として米粉を使った焼き菓子を『you-ichi』さんに手掛けてもらったのですが、“ウチの米粉がこんな素敵なお菓子になるんだ!”と驚き、お菓子づくりの相談をしたことが『米結』誕生のきっかけです。
〈じんでん米〉の玄米粉を使用し、ふっくらしっとりと焼き上げた焼き菓子『米結』。

お米や農業への思いを、米粉の焼き菓子で表現

『米結』を立ち上げるにあたって大切にしたことは?
西:おいしいことは前提として、このお菓子を通してお米や農業に対する自分たちの思いを伝えていけるようコンセプトやストーリーづくりを大切にしました。自分が農業に携わった最初の頃の方に感じた、農家の在り方やお米の新たな価値づくり、米づくりを未来につなげていきたいという思いをお菓子やパッケージ、ブランド名などに反映できるように、you-ichiさんやデザイナーさん、多くの方の協力をいただきながら取り組みました。
焼き菓子がお米の形をしているので、米粉が使われていることもイメージできますね。
西:はい、形にもこだわっています。世羅町の「神田(じんでん)」と呼ばれる地域で育てた〈じんでん米〉の玄米粉を使っていて、卵も世羅町産です。「お米は育った土地の水で炊くと美味くなる」という言葉があり、同じ風土で育ったものは相性が良いので、ハチミツや茶葉、塩やレモンなどの素材も可能な限り広島県産を使用しています。
広島三越内の施設で、季節や天候に合わせて水分調整に工夫を凝らしながら自社スタッフが一つひとつ焼きあげる。
今年4月、広島三越に初の常設店がオープンとなりました。
西:2021年に『米結』が誕生してからイベントや催事、POP UPなどで期間限定出店してきて、この4月に常設店のオープンとなりました。お米の田植えから収穫、精米と製粉、製造、販売まで一貫して自分たちで行っています。米農家がすべてを担っている例は全国的にも珍しく、この店がお菓子のおいしさに触れていただき、お米や農業についても思いを馳せてもらえる場になればと思っています。
店頭ではバラ売りの他、手土産にもぴったりなギフトBOXも販売する。
今後はどんなことにチャレンジしていきたいですか?
西:広島県内の方に食べていただくことはもちろん、広島土産の選択肢の一つとして選ばれるようにもなっていきたいです。『米結』を通してお菓子の魅力と、広島のお米のおいしさ、その背景にある生産者の思いも広く伝わるようになればいいなと考えています。

ここ一年ほどの価格急騰で、日常におけるお米の存在について改めて見直すタイミングになった人も多いはず。新米の時期を迎えている今、生産者視点でつくられる『米結』をおいしく楽しく味わいながら、米づくりの背景にも少し思いを馳せる機会を持ってみませんか?

米結 広島三越店

広島市中区胡町5-1 広島三越B1F

TEL.070-8306-7402

OPEN.10:30~19:00(当日分なくなり次第終了)

定休.広島三越に準ずる

アクセス
広島電鉄・胡町電停から徒歩で約1分