JR寺家駅から徒歩数分。2023年10月、新しい住宅地のそばにオープンした『あすなろベイキングカンパニー寺家店』。ここは、東広島市西条土与丸に本店を構える人気のパン屋『あすなろベイキングカンパニー』の姉妹店です。
平日でも多くのお客様でにぎわう寺家店。寺家エリアへ2号店を出店したきっかけやパンづくりへの思いなどを、オーナーシェフ・大野孝之さんに聞きました。
日常使いのパンが多くラインアップ
寺家エリアに新店舗をオープンしたきっかけを教えてください。
大野:本店は西条の中でも東側に店があるのですが、お客様から「もっと西の地域にも店があるといいな」という声をいただく機会がありました。本店オープンの頃から「美味しいパンは人を幸せにする」という思いを「あすなろ」という店名に込めてパンを焼いてきて、私自身ももっとその思いを追求したいという気持ちがあったところにこの寺家の場所とのご縁があり、新店舗をオープンすることになりました。
大野:パンのラインアップは本店とは異なる特徴があります。寺家店は住宅街が近くにあり、毎日の散歩の途中に来てくださる方も多いです。そうしたお客様のニーズに応えられるよう、食パンやロールパンといった毎日でも食べられる日常使いのパンを多く焼いています。それにプラスして、寺家店限定のパンもありますよ。
取材している今も、犬の散歩途中に寄られる方や子ども連れの方がたくさんいらっしゃっていますね。
大野:そうですね。寺家エリアは東広島市の中でもマンモス校になっている小学校があるので、ご家族で来られるお客様も多いです。店内のイートイン席やテラス席は寺家店にも設けているので、買ったパンを食べることもできます。
目指すのは、「地域のよろずや」
大野:お子様にぬり絵をお渡しして、色を塗ってお店へ持ってきてもらったらたまごパンをプレゼントする取り組みをしています。子ども向けのパン教室にも多く参加してもらっているんですよ。パンを食べる楽しみや手づくりする喜びなど、パンを通して食育にもつながる活動ができればと思っています。
大野:はい、大人向けのパン教室も定期的に開催しています。本店ではプロ仕様の窯を使ってプロの技をお伝えする形でやっていますが、寺家店では家庭用のオーブンを使っています。家で実践しやすく、より身近に感じてもらえるパン教室にしたいと思い、その形にしました。
パン屋でパンづくりを教えてもらえるのはテンションが上がります。
大野:本店も寺家店も変わらず、地域に密着した店でありたいと考えています。その中で、ただパンを買って食べるだけではなく「店に行けばなんか楽しいよね」と思ってもらえる場所でありたいです。私たちもお客様のニーズに応えられるパンを焼いて届けることはもちろん、パン屋を通して地域のよろずやのような存在になりたいと思っているんですよ。
大野:本店は少しずつ取り組んでいるのですが、例えば近隣の農家さんが野菜の販売場所に困っていたら店内で販売したり、パン教室のほかにワークショップを開催したり。私自身本店をオープンする前に東日本大震災のボランティアでパンの炊き出しに行った経験から、復興を応援するパンも毎年提供しています。
大野:パンやお店を通してお客様や困っている方の役に立てることはもっとあると思いますし、地域に貢献できることももっとあると思っています。「あすなろ」に込めた思いをさらに追求し、これからも少しずつしっかりと取り組んでいきたいです。
「この店が“住みやすい街”をつくる一つの大切な場所になれるようにしたい」と話す大野さん。パンそのものがおいしいことはもちろん、地域に暮らす人々の日常になじみ寄り添う店づくりを目指してパン屋の挑戦は続きます。