知的障害のあるアスリートたちの全国大会「2022年第8回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・広島」が11月4日(金)〜6日(日)、広島市、呉市、三原市、北広島町を舞台に計8会場で催されます。アスリートが日頃の練習の成果を発揮する4年に1度の場を支えるのは、全国から集うボランティア。大会実行委員長の崔希美(さいひみ)さんは、障害者への理解ある共生社会の実現を胸に抱きます。
中四国地方初の夏季ナショナルゲームが広島で
スペシャルオリンピックス(以下、SO)について教えてください。
崔:知的障害のある人たちに、IOCのオリンピック種目に準じたスポーツの場を提供する世界的な組織です。全て、善意の寄付とボランティアで成り立っています。
いよいよ開催日が近づいてきた中四国地方で初めての夏季ナショナルゲーム。どのような競技が実施されるのですか?
崔:陸上や競泳などの11競技とデモンストレーションの自転車競技で、計12競技を実施します。サッカーやバスケットボールといったチームスポーツもありますよ。
崔:アスリートが約900人、帯同するコーチ陣が約600人ほど参加予定です。
たくさんの人数のアスリートが全国から集まるのですね。
崔:大会期間の2泊3日、アスリートは保護者の元を離れ競技に参加します。大会はスポーツの成果を競うと同時に、障害者の自立を支援する側面もあります。障害者を育てる保護者にとっても挑戦の場なんです。
崔:大会前日の準備から最終日まで、延べ4000人のボランティアが手伝ってくれます。
崔:スポーツというツールを通して、知的に障害のある人たちにどの程度のサポートが必要なのか理解を深めてもらえたら。障害があってもなくても共にスポーツを楽しめる共生社会へ向かうきっかけの場でありたいです。
SOは障害者や保護者にとって未来が見える場所
崔さんがSO日本・広島に関わるようになったのはどんなきっかけからなのでしょうか?
崔:私にはダウン症の息子がいます。将来に不安を感じる日々でしたが、SOのアスリートが平日はお勤めし土日はスポーツで余暇を楽しんでいる姿を見て「健常者と変わらない。息子も大人になったらきっとこうなるんだ」と感動しました。
保護者にとっても先輩保護者とたくさん情報共有できますね。
崔:今大会が広島で開催されることで、「こんな大会があるんだ」「私の子どもも運動できるかな」と、問い合わせも増えています。以前の私のような保護者が一人でも多くSOを知ることができたら、不安という長いトンネルに光が差すはずです。
“見るボランティア”として、ぜひ会場で応援を
全国で実施した今大会のトーチリレー。その採火式が2022年4月に広島平和公園でありました。いかがでしたか?
崔:トーチへの点火は、SO日本の有森裕子理事長や大会サポーターの緒方孝一さんなど皆さんの手で風を避けながら何度もリトライしました。みんなで力を合わせれば困難も乗り越えることができると実感しましたね。
大会100日前イベントでは、広島工業大学の学生が制作したカウントダウンボードが披露されました。
崔:当初は障害者を包み込むような優しい色のボードをイメージしていましたが、完成したのはシックでありかわいいボード。障害者は守られるばかりの存在ではない、いちアスリートだということに気づかされ、若い世代に関わってもらって良かったと感じました。
崔:アスリートは応援してもらえるとすごく喜びます。”見るボランティア”として、ぜひ会場で応援してくださいね。
ハンディキャップを抱えるアスリートがどのように戦うのか。”知る”ことが共生社会への一歩です。ぜひ会場に足を運び、声援を送ってくださいね。
※2022年第8回スペシャルオリンピックス日本 夏季ナショナルゲーム・広島大会概要はこちら