爽やかなレモンをイメージさせるカラダの色に、ぷっくりとしたシルエット。見ているだけでなんだか癒されるこのキャラクターは、2023年に生まれた広島県のローカルキャラクターで、HITひろしま観光大使を務めています。生みの親は広島県観光連盟(HIT)とキャラクターを始めとした“たのしみなコンテンツ”づくりを手掛けるCHOCOLATE Inc.。
ひろくまの活動場所は、広島県内外で開催されているイベントやSNS。特にSNSで発信されるひろくまの“ゆるい日常”に、目が離せなくなっている人も多いのではないでしょうか。かくいう広島CLiP新聞編集部員もその一人。「ひろくまのことを改めて、もっと知りたい…!」。そんな思いが膨らんで、キャラクター制作を手掛けたCHOCOLATE Inc.のクリエイティブディレクター、島村さんに話を聞きました。
ご当地キャラだけど、見た目のご当地感はちょっと控えめ。
島村:広島県観光連盟(HIT)さんとお話しする中で、「修学旅行などで一度は訪れているものの、リピートする人が増えない」という点が広島の観光課題として挙がっていました。僕自身は広島県の観光に携わって5年目となりますが、その過程で観光のシンボルとなるようなキャラクターを作ってはどうかと考え、提案したのがきっかけです。
島村:ご当地キャラクターではありますが、パッと見たときにご当地の要素が出すぎていないという点です。くまモンのようなみんなが知っているレジェンドキャラクターたちも、実は見た目にはPR要素は少ない場合が多いんです。それでも人気があるのは、そのキャラクター自体に魅力があって、そこに引かれて好きになってくれる人が多いから。ひろくまもそういう存在になれればと思い、ご当地カラーが出すぎていないことを軸にしながらキャラクターを考えていきました。
公式プロフィールによると、レモンを食べすぎて体が黄色になってしまったとか。
島村:ひろくまは広島県に住んでいて、広島のおいしい食べ物が大好きです。特産のレモンを食べすぎて体が黄色なのですが、ご当地感はこの体の色くらいになっています。僕自身は広島県出身ではないのですが、何度も広島に行っていて食べ物がいつもおいしいなと感じています。そうした実体験は、ひろくまのキャラクター性にも表れていると思います。
島村:それに加えて、食いしん坊なところとか人間っぽい要素があると皆さんにより親近感を持ってもらえるかなとも思って、そうした背景を持つひろくまが誕生しました。
リアルな場とSNS、両方を通じて絆をつくる。
ひろくまの日常が描かれたアニメーションをSNSで見るのを、毎回楽しみにしています。
島村:SNSもキャラクターデザインと同様で、PR要素よりひろくま自体を好きになってもらえるような場にしたいと思っています。ひろくまのちょっとダメなところとか何かに失敗しているところ、日々の小さな幸せをかみしめている様子など、ひろくまのいろんな表情や姿を見て、何かしら共感してもらえたらいいなと思っています。
まさに共感している一人です(笑)。細かい部分ですが、アニメーションの動きのスピードとかも見ていて気持ち良いです。
島村:一つひとつのアニメーションのスピード、画角などに至るまでひろくまの生活の切り取り方に細かくこだわっているので、そう言っていただけてうれしいです。世の中にたくさんキャラクターがいるなかで、ひろくまは驚きや新しさを届けたいと考えています。グッズも今っぽさや洗練された雰囲気があって、実際に持ちたくなるようなデザインを目指してつくっています。
現在はSNSでの活動とイベントへの参加がひろくまの主な活動だと思いますが、2025年はどのような活動をしていく予定ですか?
島村:SNSでは今まで通り、ひろくまがちゃんと生きている姿や、ひろくまの人生をのぞき見できるような発信を続けていく予定です。イベントは、広島県はもちろん県外へもどんどん出かけていきたいですね。ここからが観光大使としての本格的な活動になっていくと思います。
島村:そうですね。お子さんから熱いメッセージをいただくことも増えてきたので、子どもと触れ合える場所にももっと出かけていきたいです。イベントなどリアルな場での体温のあるコミュニケーションと、SNSを通じたより多角的なコミュニケーションの両方で、ファンの方との絆をつくっていきたいです。広島のすごくポップで明るくて、バイタリティのある地域性や県民性をひろくまが体現する。そんなキャラクターに育っていけばいいなと思っています。
愛嬌のある表情や動きで、県内外の多くの人の心を掴みつつあるひろくま。なにより“人間っぽさ”が漂うところに、共感や引かれる理由があることに納得です。今はゆるキャラブーム全盛期ではないものの、広島を代表するキャラクターが活躍して、多くの人に愛されて、広島の魅力をより多くの人に知ってもらえるようになるのはうれしいこと。ひろくまの、これからの活動にますます期待です!